資格ジュピター条文穴埋め・判例演習

第七編 雑則/第二章 訴訟/第一節 会社の組織に関する訴え

会社法 第839条(無効又は取消しの判決の効力)

分野:解散命令・訴訟・非訟

出題試験:行政書士司法書士

条文原文

色付きの語句は試験で問われる重要な語句です。

第839条(無効又は取消しの判決の効力)

会社の組織に関する訴え(第八百三十四条第一号から第十二号の二まで、第十八号及び第十九号に掲げる訴えに限る。)に係る請求を認容する判決が確定したときは、当該判決において無効とされ、又は取り消された行為(当該行為によって会社が設立された場合にあっては当該設立を含み、当該行為に際して株式又は新株予約権が交付された場合にあっては当該株式又は新株予約権を含む。)は、将来に向かってその効力を失う。

条文の要点

無効判決の将来効とは、会社の設立や組織再編などの無効・取消しを認める判決が確定したとき、その行為は将来に向かってのみ効力を失うことです(839条)。

設立無効の認容判決が確定しても会社は初めから存在しなかったことにならず、清算の目的の範囲で存続します。確定前の取引や権利義務は、設立無効の判決を理由として遡って覆されません。

無効判決の将来効の及ぶ範囲

設立無効の判決前の取引を初めから無効にするものではありません。設立無効では475条・476条による清算に移りますが、合併無効では843条による旧会社間の財産・債務処理があり、同じ後処理とは限りません。株主総会決議の取消しは839条の将来効の対象外です。

項役割内容
1項効果設立・株式発行・組織再編等の無効と持分会社の設立取消し(834条1〜12の2・18・19号)の認容判決が確定すると、対象行為は将来に向かって失効する
1項括弧書効果その行為で会社が設立されたときは設立自体が、株式・新株予約権が交付されたときはその株式・新株予約権も、同じく将来に向かって失効する

具体例

株式会社Aの設立無効の認容判決が確定しました。Aは確定前にBから通常の営業用の商品を仕入れる売買契約を結んでいます。清算に必要な仕入れではありません。

設立は将来に向かってのみ効力を失い、Aは清算株式会社として清算手続に入ります。確定前のBとの売買は有効なまま残り、清算の中で処理されます。

反例(結論が変わる)

同じ売買の設定で、Bとの契約を結ぶ時点だけを判決確定後に変えます。商品は通常の営業用仕入れで清算に必要な取引ではありません。

確定後は設立の効力が失われているので、Aは清算の目的の範囲を超える新規の取引をすることができません。

関連条との違い

  • 会社法 第838条:838条は認容判決が第三者にも効力を及ぼす対世効の条。839条はその効力が時間的にどこまで遡るかを定め、遡及しないとします
  • 会社法 第840条:新株発行の無効が確定すると株式は将来に向かって失効し、840条は会社に株主への払込金額相当の金銭支払いを課します。払込みの関係が遡って返還になるわけではありません

過去問で誤りとされた肢の型

  • 司法書士令和8年度 問33オ

    新設合併の無効判決で新会社が初めから存在しなかったことになるとする誤り。839条は将来効を定め、合併後の財産・債務は843条の規律に従って旧会社間で処理します

  • 司法書士平成31年度 問67ア

    新株発行無効の登記で資本金の額まで抹消・回復するとする誤り。商業登記規則70条は66条1項を準用しますが、株式発行無効では資本金の額の登記を除外します

  • 司法書士平成30年度 問27ア

    設立無効の判決確定で発起人が設立時募集株式の引受人への払込金返還責任を負うとする誤り。設立は将来に向かって失効するだけで、後の処理は清算手続で行います

ほかの誤り肢は「この条文を解説で参照する過去問」で確認できます。

法令版: 2026年8月12日施行版

この条文を解説で参照する過去問

司法書士令和8年度 問33オ

新設合併の無効の訴えに係る請求を認容する判決が確定した場合には、当該新設合併により設立する会社は、当初から存在しなかったことになる。

正誤と理由を見る

誤り

誤り。新設合併無効の判決確定の効力は将来に向かってのみ生じ、設立した会社は清算の目的の範囲内で存続する(839条——当初不存在にはならない)。

司法書士令和3年度 問27オ

株式会社の設立を無効とする判決が確定したときは、将来に向かって設立の効力が失われ、その株式会社について清算が開始される。

正誤と理由を見る

正しい

正しい。設立を無効とする判決が確定したときは、将来に向かってのみ設立の効力が失われ(839条)、当該株式会社は清算会社となって清算が開始される(475条2号)。

司法書士平成31年度 問67ア

株式会社において、株式会社の成立後における株式の発行の無効の訴えに係る請求を認容する判決が確定した場合において、裁判所書記官の嘱託により株式会社の成立後における株式の発行の無効の登記をするときは、登記官は、発行済株式の総数及び資本金の額に関する登記を抹消する記号を記録するとともに、当該登記により抹消する記号が記録された登記を回復する。

正誤と理由を見る

誤り

誤り。株式発行無効の判決は将来に向かってのみ効力を生じ(会社法839条)、遡及的に登記を回復する手続はない。

司法書士平成30年度 問27ア

募集設立の場合において、株式会社の成立後、定款に記載された設立に際して出資される財産の最低額に相当する出資がなかったことを原因として当該株式会社の設立の無効の訴えに係る請求を認容する判決が確定したときは、発起人は、設立時募集株式の引受人に対し、連帯して、払込金を返還する責任を負う。

正誤と理由を見る

誤り

誤り。設立無効の判決は将来に向かってのみ効力を失わせ(会社法839条)、払込金返還責任ではなく清算手続で処理される(475条2号)。56条の発起人責任は会社不成立の場合である。

司法書士平成26年度 問27オ

株式会社の設立の無効の訴えに係る請求を認容する判決が確定した場合には、設立は、初めから無効となる。

正誤と理由を見る

誤り

誤り。設立無効の判決が確定しても設立は将来に向かってのみ効力を失うのであって、初めから無効となるわけではない(会社法839条)。

問題で確認する

第839条の内容は1問の条文穴埋めで確認できます。