資格ジュピター条文穴埋め・判例演習

第二編 物権/第四章 地上権

民法 第269条の2(地下又は空間を目的とする地上権)

分野:用益物権(地上権・永小作権・地役権)

出題試験:宅建行政書士重要度 中司法書士重要度 中

重要度は過去問の出題年度などをもとにした当サイトの評価です。

条文原文

色付きの語句は試験で問われる重要な語句です。

第269条の2(地下又は空間を目的とする地上権)

地下又は空間は、工作物を所有するため、上下の範囲を定めて地上権の目的とすることができる。この場合においては、設定行為で、地上権の行使のためにその土地の使用に制限を加えることができる。

②前項の地上権は、第三者がその土地の使用又は収益をする権利を有する場合においても、その権利又はこれを目的とする権利を有するすべての者の承諾があるときは、設定することができる。この場合において、土地の使用又は収益をする権利を有する者は、その地上権の行使を妨げることができない。

条文の要点

区分地上権とは、工作物を所有するため、土地の地下又は空間に上下の範囲を定めて設定する地上権です(269条の2第1項)。

土地の一部を立体的に切り出して使うため、地下駐車場や線路などの用地確保に使われます。第三者に土地の使用収益権があるときは、その権利とこれを目的とする権利を持つ全員の承諾があれば設定でき、承諾者は行使を妨げられなくなります。

区分地上権の承諾の範囲

承諾の対象は地上権・永小作権・賃借権・地役権など土地を使用収益する権利を持つ者すべてで、権利の種類で扱いは変わりません。これらの権利を目的とする権利(地上権を目的とする抵当権等)を持つ者も含まれます。一部の者の承諾だけでは設定できず、承諾した者は後から地上権の行使を妨げることができなくなります。

項役割内容
1項前段要件工作物を所有する目的で、地下又は空間に上下の範囲を定める
1項後段効果設定行為で地上権の行使のため土地の使用に制限を加えられる
2項前段要件使用収益権を持つ第三者がいるときは、その権利とこれを目的とする権利を持つ全員の承諾が要る
2項後段効果承諾を与えた使用収益権者は区分地上権の行使を妨げられない

具体例

Bの所有する土地をAが賃借して使用中、BとCがその地下に駐車場を造るため区分地上権を設定しようとします。

土地の使用収益権者Aの承諾がなければ区分地上権を設定できません。Aが承諾すれば設定でき、Aは以後Cの地下利用を妨げられません。

反例(結論が変わる)

同じ設定で、土地に使用収益権を持つ第三者がおらずBが自分で使っているだけだった場合に変えます。

承諾を集める相手がいないため、上下の範囲を定めたBとCの設定行為だけで区分地上権を設定できます。

関連条との違い

  • 民法 第265条:通常の地上権は他人の土地の利用範囲を上下に限定しない。区分地上権は地下又は空間に上下の範囲を限り、設定行為で土地使用に制限を加えられる
  • 民法 第280条:地役権は要役地の便益のために他人の土地を使う権利で工作物所有を目的としない。区分地上権は工作物を所有するための権利

過去問で誤りとされた肢の型

  • 司法書士平成26年度 問10エ

    承諾が要るのは地上権・永小作権の場合だけで地役権者には要らないとする誤り。土地の使用収益権を持つ者は権利の種類を問わず承諾の対象

ほかの誤り肢は「この条文を解説で参照する過去問」で確認できます。

法令版: 2026年6月24日施行版

この条文を解説で参照する過去問

行政書士令和元年 問30オ

Cが、地上権設定行為に基づいて甲土地上に丙建物を築造していたところ、期間の満了により地上権が消滅した場合において、Aが時価で丙建物を買い取る旨を申し出たときは、Cは、正当な事由がない限りこれを拒むことができない。

正誤と理由を見る

地上権消滅時の建物買取請求に対しAが時価買取を申出た場合、Cは正当な事由なく拒めない(民法269条の2…買取請求権)。妥当。

行政書士平成29年 問29ア

他人の土地の地下または空間の一部について、工作物を所有するため、上下の範囲を定めて地上権を設定することは認められない。

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地下・空間の一部に上下の範囲を定めた地上権(区分地上権)の設定は認められる(269条の2)。妥当でない。

司法書士令和7年度 問48ア

区分地上権の設定の登記を申請する場合において、区分地上権の設定契約においてその区分地上権の行使のためにその土地の使用に制限を加える旨が定められたときは、その定めを申請情報の内容とすることができる。

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正しい

正しい。区分地上権の行使のためその土地の使用に制限を加える旨の定めは登記事項となる(78条5号・民269条の2第1項後段)ため、その定めを申請情報の内容とする(できる——登記すべき事項として記載する)。

司法書士令和3年度 問10イ

AがBの所有する甲土地に建物を所有することを目的として地上権の設定を受け、その旨の登記がされている場合には、Cが甲土地の地下に区分地上権の設定を受けるためには、Aの承諾を得なければならない。

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正しい

正しい。土地に使用収益権を有する者(地上権者等)がいる場合、その全員の承諾がなければ区分地上権を設定できない(269条の2第2項)。

司法書士平成26年度 問10エ

対抗要件を備えた用益物権が設定されている土地の下に地下駐車場を所有するための地上権を設定しようとする場合には、当該用益物権が地上権又は永小作権であるときは、その地上権者又は永小作人の承認を得る必要があるのに対し、当該用益物権が通行地役権であるときは、その通行地役権者の承諾を得る必要はない。

正誤と理由を見る

誤り

誤り。土地の使用収益を目的とする対抗要件を備えた用益物権がある場合、その地下に地上権を設定するには当該用益物権者の承諾を要し(民法269条の2第1項3号)、通行地役権者であるか否かで異なる扱いではない。

問題で確認する

第269条の2の内容は1問の条文穴埋めで確認できます。