資格ジュピター条文穴埋め・判例演習

第二編 第一審の訴訟手続/第四章 証拠/第五節 書証

民事訴訟法 第223条(文書提出命令等)

分野:第一審の訴訟手続/証拠/書証・第一審の訴訟手続/証拠/第五節の二 電磁的記録に記録された情報の内容に係る証拠調べ

出題試験:司法書士

この条の要点

  • 第三者への文書提出命令の審尋:第三者への文書提出命令には第三者の審尋が必須。
  • 文書提出命令決定への不服申立て:文書提出命令の申立てに対する決定には即時抗告可。不服不可ではない。

条文原文

色付きの語句は試験で問われる重要な語句です。

第223条(文書提出命令等)

裁判所は、文書提出命令の申立てを理由があると認めるときは、決定で、文書の所持者に対し、その提出を命ずる。この場合において、文書に取り調べる必要がないと認める部分又は提出の義務があると認めることができない部分があるときは、その部分を除いて、提出を命ずることができる。

②裁判所は、第三者に対して文書の提出を命じようとする場合には、その第三者を審尋しなければならない。

③裁判所は、公務員の職務上の秘密に関する文書について第二百二十条第四号に掲げる場合であることを文書の提出義務の原因とする文書提出命令の申立てがあった場合には、その申立てに理由がないことが明らかなときを除き、当該文書が同号ロに掲げる文書に該当するかどうかについて、当該監督官庁(衆議院又は参議院の議員の職務上の秘密に関する文書についてはその院、内閣総理大臣その他の国務大臣の職務上の秘密に関する文書については内閣。以下この条において同じ。)の意見を聴かなければならない。この場合において、当該監督官庁は、当該文書が同号ロに掲げる文書に該当する旨の意見を述べるときは、その理由を示さなければならない。

④前項の場合において、当該監督官庁が当該文書の提出により次に掲げるおそれがあることを理由として当該文書が第二百二十条第四号ロに掲げる文書に該当する旨の意見を述べたときは、裁判所は、その意見について相当の理由があると認めるに足りない場合に限り、文書の所持者に対し、その提出を命ずることができる。

一 国の安全が害されるおそれ、他国若しくは国際機関との信頼関係が損なわれるおそれ又は他国若しくは国際機関との交渉上不利益を被るおそれ

二 犯罪の予防、鎮圧又は捜査、公訴の維持、刑の執行その他の公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれ

⑤第三項前段の場合において、当該監督官庁は、当該文書の所持者以外の第三者の技術又は職業の秘密に関する事項に係る記載がされている文書について意見を述べようとするときは、第二百二十条第四号ロに掲げる文書に該当する旨の意見を述べようとするときを除き、あらかじめ、当該第三者の意見を聴くものとする。

⑥裁判所は、文書提出命令の申立てに係る文書が第二百二十条第四号イからニまでに掲げる文書のいずれかに該当するかどうかの判断をするため必要があると認めるときは、文書の所持者にその提示をさせることができる。この場合においては、何人も、その提示された文書の開示を求めることができない。

⑦文書提出命令の申立てについての決定に対しては、即時抗告をすることができる。

条文の要点

文書提出命令とは、文書提出命令の申立てを理由があると認めるときに、裁判所が決定で文書の所持者にその提出を命ずる裁判です(223条1項)。

取り調べる必要がない部分や提出義務がないと認める部分を除いて提出を命ずることができます。第三者に命ずるときはその第三者を審尋しなければならず、申立てについての決定には即時抗告ができます。

文書提出命令の手続保障

公務員の職務上の秘密に関する文書について220条4号を原因とする申立てでは、明らかに理由がない場合を除き監督官庁の意見を聴きます。国の安全や捜査等への支障を理由とする4項の意見が述べられたときは、その意見に相当の理由があると認めるに足りない場合に限り命令できます。6項の提示は220条4号イからニの該当性判断のためで、提示文書の開示は何人も求められません。

項役割内容
1項効果申立てに理由があれば決定で所持者に提出を命ずる。不要な部分や義務がない部分は除ける
2項手続第三者に提出を命じようとするときは、その第三者を審尋しなければならない
3項・4項手続公務秘密文書について220条4号を原因とする申立てでは原則として監督官庁の意見を聴く。4項に列挙する危険を理由とした意見には相当理由の限定がある
6項手続220条4号イからニへの該当性判断に限り所持者に提示させられる。提示文書は開示されない
7項効果申立てについての決定には即時抗告ができる

具体例

A対Bの損害賠償訴訟で、Aが訴訟外の第三者Cの帳簿について提出命令を申し立てた。裁判所はCを審尋し、申立てに理由があると認め、取調べ不要な部分を除いて提出を命じた。

第三者審尋を経ているため2項の要件を満たす。Cは命じられた部分を提出する義務を負い、決定には即時抗告できる。

反例(結論が変わる)

同じ設定で、裁判所がCを審尋しないまま提出を命じた場合に変える。

2項の第三者審尋は必須なので、審尋を欠いた提出命令は許されない。

関連条との違い

  • 民事訴訟法 第220条:220条は文書提出義務の範囲と例外を定める実体的規定。223条はその義務を前提に裁判所が提出を命ずる手続の規定
  • 民事訴訟法 第222条:222条は文書を特定するための前段の手続。223条は特定された文書への命令の要件と効果
  • 民事訴訟法 第224条:224条は命令に従わない場合や文書を滅失させた場合の効果。223条は命令が出されるまでの要件

過去問で誤りとされた肢の型

  • 司法書士令和8年度 問38エ

    第三者は文書提出命令に即時抗告できないとする誤り。命令を受けた第三者も即時抗告できる

  • 司法書士平成30年度 問38エ

    文書の一部に提出義務がない部分があれば申立ての全部を却下しなければならないとする誤り。その部分を除いて命令できる

  • 司法書士平成26年度 問38ウ

    刑事事件に係る訴訟に関する書類(220条4号ホ)でも所持者に提示させられるとする誤り。提示はイからニの判断に限られる

ほかの誤り肢は「この条文を解説で参照する過去問」で確認できます。

法令版: 2026年6月24日施行版

この条文の〇×問題(2問)

第三者への文書提出命令の審尋

訴訟に関わっていない第三者の手元にある文書について提出を命じようとするとき、裁判所はまずその第三者の言い分を聴かなければならない。

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正解 ○

正しい。第三者に対して文書の提出を命じようとする場合はその第三者を審尋しなければならない。訴訟外の第三者に負担を課すため事前の手続保障が要求されている。第223条2項は第三者への命令に審尋を義務付ける。

学習ポイント:第三者への文書提出命令には第三者の審尋が必須。

第223条2項

文書提出命令決定への不服申立て

文書の提出を命じるかどうかの決定には、申立てた側からも所持する側からも不服を申し立てる術が用意されていない。

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正解 ×

誤り。文書提出命令の申立てについての決定に対しては即時抗告をすることができる。認容・却下のいずれの決定にも不服申立ての道が開かれている点が、訴え提起前の証拠収集処分等とは異なる。第223条7項は決定への即時抗告を認める。

学習ポイント:文書提出命令の申立てに対する決定には即時抗告可。不服不可ではない。

第223条7項

この条文を解説で参照する過去問

司法書士令和8年度 問38ア

裁判所は、挙証者が文書の所持者に対してその閲覧を求めることができる場合において、証拠調べの必要性を欠くときは、文書提出命令の申立てを却下することができる。

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正しい

正しい。証拠調べの必要性を欠く場合は文書提出命令の申立てを却下できる(181条1項・223条1項)。

司法書士令和8年度 問38エ

第三者に対して文書提出命令がされた場合には、当該第三者は、即時抗告をすることができない。

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誤り

誤り。文書提出命令を受けた第三者は即時抗告をすることができる(223条7項)。

司法書士令和3年度 問39ウ

裁判所は、第三者に対して文書の提出を命じようとする場合には、その第三者を審尋しなければならない。

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正しい

正しい。裁判所は、第三者に対して文書の提出を命じようとする場合には、その第三者を審尋しなければならない(民訴223条2項)。

司法書士平成30年度 問38エ

裁判所は、文書提出命令の申立てに係る文書の一部に提出の義務があると認めることができない部分がある場合には、その部分以外の部分につき当該申立てを理由があると認めるときであっても、当該申立ての全部を却下しなければならない。

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誤り

誤り。文書の一部に提出義務を認められない部分があるときは、その部分を除いて提出を命ずることができ(民訴223条1項)、全部を却下する必要はない。

司法書士平成26年度 問38ウ

裁判所は、文書提出命令の申立てに係る文書が刑事事件に係る訴訟に関する書類に該当するかどうかの判断をするため必要があると認めるときは、文書の所持者にその提示をさせることができる。

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誤り

誤り。文書の所持者に提示をさせることができるのは、文書が220条4号イからニまでに掲げる文書に該当するかを判断する場合であり(民事訴訟法223条6項)、刑事事件に係る訴訟に関する書類(同号ホ)は対象外である。

司法書士平成25年度 問39イ

公務員の職務上の秘密に関する文書について、当該監督官庁が、当該文書の提出により他国との信頼関係が損なわれるおそれがあることを理由として、当該文書がその提出により公共の利益を害し、又は公務の遂行に著しい支障を生ずるおそれがあるものに該当する旨の意見を述べたときは、裁判所は、その提出を命ずることができない。

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誤り

誤り。監督官庁の意見について裁判所が相当の理由があると認めるに足りないときは文書提出を命ずることができ、意見が述べられれば提出を命ずることができないわけではない(民訴法223条4項)。

司法書士平成25年度 問39ウ

裁判所は、第三者に対して文書の提出を命じようとする場合には、その第三者を審尋しなければならない。

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正しい

正しい。裁判所は、第三者に対して文書の提出を命じようとする場合には、その第三者を審尋しなければならない(民訴法223条2項)。

司法書士平成25年度 問39オ

証拠調べの必要性を欠くことを理由として文書提出命令の申立てを却下する決定に対しては、その必要性があることを理由として独立に不服の申立てをすることはできない。

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正しい

正しい。証拠調べの必要性を欠くことを理由として文書提出命令の申立てを却下する決定に対しては、その必要性があることを理由として独立に不服の申立てをすることはできない(最決平12.3.10)。文書提出命令の申立てについての決定に対する即時抗告(民事訴訟法223条7項)でも、この点は争えない。

問題で確認する

第223条の内容は2問の〇×問題と3問の条文穴埋めで確認できます。