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第二編 物権/第八章 先取特権/第四節 先取特権の効力

民法 第338条(不動産工事の先取特権の登記)

分野:先取特権

出題試験:宅建重要度 中行政書士司法書士重要度 中

重要度は過去問の出題年度などをもとにした当サイトの評価です。

条文原文

色付きの語句は試験で問われる重要な語句です。

第338条(不動産工事の先取特権の登記)

不動産の工事の先取特権の効力を保存するためには、工事を始める前にその費用の予算額を登記しなければならない。この場合において、工事の費用が予算額を超えるときは、先取特権は、その超過額については存在しない。

②工事によって生じた不動産の増価額は、配当加入の時に、裁判所が選任した鑑定人に評価させなければならない。

条文の要点

不動産工事の先取特権とは、工事の設計・施工・監理をする者が工事費用の担保として不動産に持つ先取特権で、着工前の予算額登記で効力を保存します(338条1項)。

登記した予算額を工事費用が超えた場合、その超過部分には先取特権が成立しません。増価額の評価は配当加入の時に裁判所の選任した鑑定人が行い、優先弁済は工事による増価が現存する範囲に限られます(327条2項)。

不動産工事の先取特権の保存登記の時期

不動産保存の先取特権は保存行為完了後直ちに、不動産売買の先取特権は売買契約と同時に登記しますが、工事は着工前に限られます。完成後の登記では効力を保存できません。登記する金額は確定した工事費用ではなく予算額で、実際の費用が予算を上回っても超過分の権利は生じません。

項役割内容
1項前段要件効力を保存するには、工事を始める前に費用の予算額を登記しなければならない
1項後段効果工事費用が予算額を上回った部分には、先取特権が成立しない
2項手続増価額の評価は、配当加入の時に裁判所の選任した鑑定人が行う

具体例

A社はBの土地で建物の新築工事を請け負い、工事を始める前に工事費用の予算額の登記をしました。

着工前登記の要件を満たすので、A社は工事による増価が現存する範囲で先取特権を行使できます。

反例(結論が変わる)

同じ設定で、A社が建物の完成後に確定した工事費用の額を登記しようとした場合に変えます。

着工前の予算額登記が要件なので効力を保存できず、先取特権としての優先弁済を受けられません。

関連条との違い

  • 民法 第337条:不動産保存の先取特権は保存行為の完了後直ちに登記する。工事は着手前と時期が逆で、完成後では間に合わない
  • 民法 第340条:不動産売買の先取特権は売買契約と同時に、代価・利息の未弁済の旨を登記する。工事は登記内容が費用の予算額である点が異なる
  • 民法 第339条:登記をした保存・工事の先取特権は抵当権に先立って行使できる。登記を欠くとこの優先効力を失う

過去問で誤りとされた肢の型

  • 司法書士平成26年度 問11イ

    保存登記を新築後に確定した工事費用の額でするとする誤り。工事着手前の予算額の登記が要件

ほかの誤り肢は「この条文を解説で参照する過去問」で確認できます。

法令版: 2026年6月24日施行版

この条文を解説で参照する過去問

行政書士平成28年 問30肢2

不動産工事の先取特権は、工事によって生じた不動産の価格の増加が現存する場合に限り、その増価額についてのみ存在する。

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正しい

不動産工事の先取特権は工事による増価が現存する場合に限り増価額について存在(338条)。正しい。

司法書士令和8年度 問56ウ

所有権の登記がある建物の附属建物を新築する場合において、当該附属建物の工事代金債権を担保するために不動産工事の先取特権の保存の登記を申請するときは、添付情報として新築する附属建物の設計書の内容を証する情報を提供しなければならない。

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正しい

正しい。附属建物新築の工事先取特権の保存登記には、工事完了前なので新築する附属建物の設計書の内容を証する情報の提供を要する(338条・先例)。

司法書士令和5年度 問47ア

更地である甲土地に新築された表題登記のある乙建物を目的とし、乙建物の新築工事に要した費用を被担保債権として申請する不動産工事の先取特権の保存の登記

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不可

不可。不動産工事の先取特権の保存は、工事を始める前に費用の予算額を登記しなければならず(民法338条1項前段)、完成後の建物については保存の登記ができない。

司法書士平成28年度 問58オ

所有権の移転の登記の申請と同時に申請しなければならない。

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②のみ当てはまる

②のみ当てはまる。不動産売買の先取特権は売買契約と同時に保存の登記をしなければならず(民法340条)、所有権の移転の登記と同時に申請する。不動産工事の先取特権は工事を始める前に保存の登記をする(338条1項)。

司法書士平成26年度 問11イ

建物を新築する場合における不動産工事の先取特権の効力を保存するためには、当該建物の新築後直ちにその工事の費用の額を登記しなければならない。

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誤り

誤り。不動産工事の先取特権の効力を保存するには、工事を始める前に工事費用の予算額を登記しなければならない(民法338条1項)。新築後の登記ではない。

問題で確認する

第338条の内容は1問の条文穴埋めで確認できます。