第三編 債権/第一章 総則/第三節 多数当事者の債権及び債務/第四款 連帯債務
民法 第439条(連帯債務者の一人による相殺等)
重要度は過去問の出題年度などをもとにした当サイトの評価です。
条文原文
色付きの語句は試験で問われる重要な語句です。
第439条(連帯債務者の一人による相殺等)
連帯債務者の一人が債権者に対して債権を有する場合において、その連帯債務者が相殺を援用したときは、債権は、全ての連帯債務者の利益のために消滅する。
②前項の債権を有する連帯債務者が相殺を援用しない間は、その連帯債務者の負担部分の限度において、他の連帯債務者は、債権者に対して債務の履行を拒むことができる。
条文の要点
連帯債務者の相殺とは、連帯債務者の一人が債権者への反対債権を相殺に使う仕組みで、援用すれば債務は全員の利益のために消滅します(439条1項)。
相殺の援用は絶対効の事由で、効果はその者の負担部分に限られません。反対債権を持つ者が援用しない間は、他の連帯債務者はその者の負担部分の限度で履行を拒めますが、相殺を援用すること自体はできません。
連帯債務者の相殺の援用権者と効果
相殺を援用できるのは反対債権を持つ連帯債務者本人だけです。他の連帯債務者に認められるのは、その者の負担部分の限度での履行の拒絶にとどまります。負担部分を超えて支払請求を拒むことはできません。援用されれば相殺の対象額の全部について全連帯債務者の利益のために債務が消え、効果を負担部分に限定することはできません。
| 項 | 役割 | 内容 |
|---|---|---|
| 1項 | 効果 | 反対債権を持つ連帯債務者が相殺を援用すれば、債務は全連帯債務者の利益のために消滅する |
| 2項 | 効果 | 援用しない間は、他の連帯債務者はその者の負担部分の限度で履行を拒める |
| 2項 | 要件 | 相殺の援用は、反対債権を持つ連帯債務者本人に限られる |
具体例
BとCがDに対して600万円の連帯債務(負担部分各300万円)を負い、CはDに600万円の代金債権を持っています。Cが相殺を援用しました。
連帯債務は全額消滅し、Bも支払義務を免れます。効果はCの負担部分に限られません。
反例(結論が変わる)
同じ設定で、Cが援用しないままDがBに600万円を請求した場合に変えます。
BはCの負担部分300万円の限度で履行を拒めますが、残りは支払う必要があり、B自身が相殺を援用することはできません。
関連条との違い
過去問で誤りとされた肢の型
- 司法書士令和4年度 問16ウ
反対債権を持つ者が援用しない間、他の連帯債務者が負担部分について相殺を援用できるとする誤り。認められるのは履行の拒絶だけ
- 管業令和3年度 問2肢3
反対債権の全額について履行を拒めるとする誤り。拒めるのはその連帯債務者の負担部分の限度
- 行政書士令和7年 問32肢3
相殺を援用してもその者の負担部分だけしか他者の利益にならないとする誤り。絶対効で全額が全員のために消滅する
ほかの誤り肢は「この条文を解説で参照する過去問」で確認できます。
法令版: 2026年6月24日施行版
この条文を解説で参照する過去問
行政書士令和7年 問32肢3
Aが、Cに対して400万円の反対債権を有する場合において、Aが相殺を援用したときは、Aの負担部分の200万円についてのみ、Bの利益のためにも、その効力を生ずる。
正誤と理由を見る
妥当でない
相殺は絶対効事由で、Aが相殺を援用すれば反対債権全額(400万円)についてBも義務を免れる。『Aの負担部分のみ』は誤り(民法439条)。
行政書士令和5年 問30ウ
連帯債務者の一人が債権者に対して債権を有する場合において、その連帯債務者がした相殺の援用
正誤と理由を見る
相殺の援用は絶対効事由(民法439条)。効力が生じる。
司法書士令和8年度 問16ウ
連帯債務者の一人が債権者に対して債権を有する場合には、その連帯債務者が相殺を援用しない間は、その連帯債務者の負担部分について他の連帯債務者が相殺を援用することができる。
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誤り
誤り。連帯債務者の一人が相殺を援用しない間は、他の連帯債務者はその者の負担部分について履行を拒み得るにとどまり、相殺を援用することはできない(439条2項)。
司法書士令和4年度 問16ウ
連帯債務者の一人が債権者に対して債権を有する場合において、その連帯債務者が相殺を援用しない間は、その連帯債務者の負担部分について他の連帯債務者が相殺を援用することができる。
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誤り
誤り。反対債権を有する連帯債務者が相殺を援用しない間は、他の連帯債務者はその負担部分の限度で履行を拒むことはできるが(439条2項)、相殺を援用することはできない。
宅建令和7年 問9肢3
連帯債務者の一人が債権者に対して債権を有する場合において、その連帯債務者がした相殺の援用
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誤り
誤り。相殺の援用は絶対効の事由(民法439条1項)。
宅建令和3年10月 問2肢4
AとDとの間に更改があったときは、300万円の債権は、全ての連帯債務者の利益のために消滅する。
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正しい
正しい。更改は絶対的効力を有し、全連帯債務者の利益のために債権は消滅する(民法439条)。
管業令和3年度 問2肢3
Cが、Dに対して有する600万円の代金債権との相殺を援用しない場合に、Aは、Dから900万円の支払請求を受けたときは、CがDに対して当該債権を有することを理由に600万円についてDの支払請求を拒むことができる。
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誤り
誤り。相殺を援用しない間に他の連帯債務者が履行を拒めるのは負担部分300万円の限度であり、600万円は拒めない。
問題で確認する
第439条の内容は1問の条文穴埋めで確認できます。