第四編 親族/第六章 保佐及び補助/第一節 保佐
民法 第876条の4(保佐人に代理権を付与する旨の審判)
重要度は過去問の出題年度などをもとにした当サイトの評価です。
条文原文
色付きの語句は試験で問われる重要な語句です。
第876条の4(保佐人に代理権を付与する旨の審判)
家庭裁判所は、第十一条本文に規定する者又は保佐人若しくは保佐監督人の請求によって、被保佐人のために特定の法律行為について保佐人に代理権を付与する旨の審判をすることができる。
②本人以外の者の請求によって前項の審判をするには、本人の同意がなければならない。
③家庭裁判所は、第一項に規定する者の請求によって、同項の審判の全部又は一部を取り消すことができる。
条文の要点
保佐人の代理権付与とは、家裁が被保佐人の利益のため個別の行為について保佐人に代理人の権限を与える審判です(876条の4第1項)。
保佐開始の審判では保佐人に代理権は当然には付かず、別個の審判が要ります。本人以外が請求する場合は本人の同意が必要で、付与の審判はあとから全部又は一部を取り消せます。
保佐人の代理権付与の手続
請求できるのは11条本文の者・保佐人・保佐監督人で、被保佐人本人が請求するなら同意は要りません。代理権の対象は特定の法律行為に限られ、財産全体への包括的な代理権は付きません。
| 項 | 役割 | 内容 |
|---|---|---|
| 1項 | 効果 | 家裁は特定の法律行為について保佐人に代理権を付与する審判ができる |
| 1項 | 手続 | 請求できるのは11条本文に規定する者・保佐人・保佐監督人 |
| 2項 | 要件 | 本人以外の者の請求には本人の同意が要る |
| 3項 | 効果 | 同じ請求権者の請求で審判の全部又は一部を取り消せる |
具体例
被保佐人Aの保佐人Bが、A名義の不動産の売却を代理したいため、保佐監督人Cが代理権付与の審判を請求します。
本人A以外のCの請求なのでAの同意が要り、同意があれば家裁は特定の売却行為に限りBに代理権を与える審判ができます。
反例(結論が変わる)
同じ設定で、審判を請求したのが本人Aだった場合に変えます。
本人の請求なら別途本人の同意を得る手続は不要で、家裁は特定行為の代理権付与を審判できます。
関連条との違い
- 民法 第859条:成年後見人は財産に関する法律行為について別途の代理権付与審判なしに包括的に被後見人を代表する。保佐人は特定行為ごとに審判で代理権を得る
- 民法 第13条:保佐人の同意権は13条1項の列挙行為に法律上当然に付く。代理権は法定の効力ではなく個別の審判で付く
- 民法 第876条の9:補助人への代理権付与も同じ構造だが、補助は開始の審判にも本人以外の請求では同意が要り、同意なしにも始まる保佐と立場が違う
過去問で誤りとされた肢の型
- 司法書士令和5年度 問4ウ
保佐開始の審判で保佐人に財産上の包括的な代理権が付くとする誤り。代理権は特定行為ごとに別個の審判が要る
- 宅建令和4年 問3肢3
保佐人に代理権が付与されることはないとする誤り。特定の法律行為について審判で付与できる
ほかの誤り肢は「この条文を解説で参照する過去問」で確認できます。
法令版: 2026年6月24日施行版
この条文を解説で参照する過去問
行政書士令和2年 問27肢2
保佐人は、民法が定める被保佐人の一定の行為について同意権を有するほか、家庭裁判所が保佐人に代理権を付与する旨の審判をしたときには特定の法律行為の代理権も有する。
正誤と理由を見る
正しい
保佐人は法定の同意権のほか家裁の審判で特定法律行為の代理権を付与される(民法13条・876条の4)。正しい。
司法書士令和5年度 問4ウ
保佐人は、保佐開始の審判により、被保佐人の財産に関する法律行為について被保佐人を代表する。
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誤り
誤り。保佐開始の審判によって保佐人に代理権は当然には付与されない。代理権付与には家庭裁判所の別個の審判を要する(876条の4第1項)。
司法書士平成29年度 問4オ
BがAの法定代理人として不動産を購入するには、Bにその代理権を付与する旨の家庭裁判所の審判がなければならない。
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正しい(被保佐人のみ)。保佐人に代理権を付与するには家庭裁判所の審判を要する(民法876条の4第1項)。成年後見人は包括的な代理権を有し(民法859条1項)、審判を要しない。
司法書士平成25年度 問4イ
成年後見人は、成年被後見人の財産を管理し、かつ、その財産に関する法律行為について成年被後見人を代表するが、保佐人は、保佐開始の審判とは別に、保佐人に代理権を付与する旨の審判があった場合に限り、特定の法律行為についての代理権を有する。
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正しい
正しい。保佐人は代理権付与の審判があった場合に限り特定の法律行為について代理権を有し(民法876条の4第1項)、成年後見人は財産に関する法律行為について当然に代表権を有する(同859条1項)。
宅建令和4年 問3肢3
成年後見人は成年被後見人の法定代理人である一方、保佐人は被保佐人の行為に対する同意権と取消権を有するが、代理権が付与されることはない。
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誤り
誤り。保佐人にも特定行為について代理権を付与することができる(民法876条の4)。
管業平成28年度 問1肢3
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誤り
誤り。イは、出題当時の民法876条の4第2項で保佐人への代理権付与の審判に被保佐人の同意が必要とされており正しい記述。
問題で確認する
第876条の4の内容は1問の条文穴埋めで確認できます。