会社法108条の過去問
会社法108条を根拠にした本試験の過去問を、行政書士・司法書士の2試験から7問・17肢集めました。 試験ごとの問われ方と、肢ごとの正誤の理由を確認できます。
会社法第108条の条文
第1項株式会社は、次に掲げる事項について異なる定めをした内容の異なる二以上の種類の株式を発行することができる。ただし、指名委員会等設置会社及び公開会社は、第九号に掲げる事項についての定めがある種類の株式を発行することができない…
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第1項株式会社は、次に掲げる事項について異なる定めをした内容の異なる二以上の種類の株式を発行することができる。ただし、指名委員会等設置会社及び公開会社は、第九号に掲げる事項についての定めがある種類の株式を発行することができない。
一 剰余金の配当
二 残余財産の分配
三 株主総会において議決権を行使することができる事項
四 譲渡による当該種類の株式の取得について当該株式会社の承認を要すること。
五 当該種類の株式について、株主が当該株式会社に対してその取得を請求することができること。
六 当該種類の株式について、当該株式会社が一定の事由が生じたことを条件としてこれを取得することができること。
七 当該種類の株式について、当該株式会社が株主総会の決議によってその全部を取得すること。
八 株主総会(取締役会設置会社にあっては株主総会又は取締役会、清算人会設置会社(第四百七十八条第八項に規定する清算人会設置会社をいう。以下この条において同じ。)にあっては株主総会又は清算人会)において決議すべき事項のうち、当該決議のほか、当該種類の株式の種類株主を構成員とする種類株主総会の決議があることを必要とするもの
九 当該種類の株式の種類株主を構成員とする種類株主総会において取締役(監査等委員会設置会社にあっては、監査等委員である取締役又はそれ以外の取締役。次項第九号及び第百十二条第一項において同じ。)又は監査役を選任すること。
第2項株式会社は、次の各号に掲げる事項について内容の異なる二以上の種類の株式を発行する場合には、当該各号に定める事項及び発行可能種類株式総数を定款で定めなければならない。
一 剰余金の配当当該種類の株主に交付する配当財産の価額の決定の方法、剰余金の配当をする条件その他剰余金の配当に関する取扱いの内容
二 残余財産の分配当該種類の株主に交付する残余財産の価額の決定の方法、当該残余財産の種類その他残余財産の分配に関する取扱いの内容
三 株主総会において議決権を行使することができる事項次に掲げる事項
イ 株主総会において議決権を行使することができる事項
ロ 当該種類の株式につき議決権の行使の条件を定めるときは、その条件
四 譲渡による当該種類の株式の取得について当該株式会社の承認を要すること当該種類の株式についての前条第二項第一号に定める事項
五 当該種類の株式について、株主が当該株式会社に対してその取得を請求することができること次に掲げる事項
イ 当該種類の株式についての前条第二項第二号に定める事項
ロ 当該種類の株式一株を取得するのと引換えに当該株主に対して当該株式会社の他の株式を交付するときは、当該他の株式の種類及び種類ごとの数又はその算定方法
六 当該種類の株式について、当該株式会社が一定の事由が生じたことを条件としてこれを取得することができること次に掲げる事項
イ 当該種類の株式についての前条第二項第三号に定める事項
ロ 当該種類の株式一株を取得するのと引換えに当該株主に対して当該株式会社の他の株式を交付するときは、当該他の株式の種類及び種類ごとの数又はその算定方法
七 当該種類の株式について、当該株式会社が株主総会の決議によってその全部を取得すること次に掲げる事項
イ 第百七十一条第一項第一号に規定する取得対価の価額の決定の方法
ロ 当該株主総会の決議をすることができるか否かについての条件を定めるときは、その条件
八 株主総会(取締役会設置会社にあっては株主総会又は取締役会、清算人会設置会社にあっては株主総会又は清算人会)において決議すべき事項のうち、当該決議のほか、当該種類の株式の種類株主を構成員とする種類株主総会の決議があることを必要とするもの次に掲げる事項
イ 当該種類株主総会の決議があることを必要とする事項
ロ 当該種類株主総会の決議を必要とする条件を定めるときは、その条件
九 当該種類の株式の種類株主を構成員とする種類株主総会において取締役又は監査役を選任すること次に掲げる事項
イ 当該種類株主を構成員とする種類株主総会において取締役又は監査役を選任すること及び選任する取締役又は監査役の数
ロ イの定めにより選任することができる取締役又は監査役の全部又は一部を他の種類株主と共同して選任することとするときは、当該他の種類株主の有する株式の種類及び共同して選任する取締役又は監査役の数
ハ イ又はロに掲げる事項を変更する条件があるときは、その条件及びその条件が成就した場合における変更後のイ又はロに掲げる事項
ニ イからハまでに掲げるもののほか、法務省令で定める事項
第3項前項の規定にかかわらず、同項各号に定める事項(剰余金の配当について内容の異なる種類の種類株主が配当を受けることができる額その他法務省令で定める事項に限る。)の全部又は一部については、当該種類の株式を初めて発行する時までに、株主総会(取締役会設置会社にあっては株主総会又は取締役会、清算人会設置会社にあっては株主総会又は清算人会)の決議によって定める旨を定款で定めることができる。この場合においては、その内容の要綱を定款で定めなければならない。
出典:e-Gov法令検索(2026年8月12日施行版)/会社法の条文一覧で見る
出題実績(7問)
| 試験 | 年度 | 問題 | 論点 | 根拠になった肢 |
|---|---|---|---|---|
| 行政書士 | 令和5年 | 問38 | 種類株式の内容と制限 | 肢1・肢2・肢3・肢4・肢5 |
| 行政書士 | 令和2年 | 問38 | 自己株式の取得と制限 | 肢1 |
| 行政書士 | 平成28年 | 問38 | 公開会社の株式の内容 | ア・イ・ウ・エ・オ |
| 行政書士 | 平成23年 | 問40 | 公開会社の剰余金配当 | 肢5 |
| 司法書士 | 令和5年度 | 問29 | 種類株式の内容と種類株主総会 | イ |
| 司法書士 | 平成30年度 | 問66 | 種類株式の変更登記 | オ |
| 司法書士 | 平成29年度 | 問28 | 公開会社の種類株式 | ア・エ・オ |
当サイトの自作解説で会社法108条を根拠として特定した肢を集計しています(解説を確認中の肢・図表が必要な問題・不成立の問題は除く)。
試験別の問われ方と肢別の正誤
行政書士(4問・12肢)
「どの内容の種類株式を、どの会社が発行できるか」を肢ごとに問います。1株に複数の議決権を与える種類株式は発行できないこと、種類株主総会で取締役・監査役を選任する種類株式は公開会社と指名委員会等設置会社では発行できないこと、議決権制限株式や全部取得条項付株式は全部の株式の内容としては定められないことが出題されました。
株式会社が2以上の種類の株式を発行する場合には、各々の種類の株式について発行可能種類株式総数を定款で定めなければならない。
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正誤:正しい
解説:2以上の種類株式を発行する場合、各種類について発行可能種類株式総数を定款で定める必要がある(会社法37条・108条)。
公開会社および指名委員会等設置会社のいずれでもない株式会社は、1つの株式につき2個以上の議決権を有することを内容とする種類株式を発行することができる。
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正誤:誤り
解説:誤り。種類株式で定められるのは議決権を行使できる事項の制限(108条1項3号)であり、1株につき2個以上の議決権を与える内容は定められない。公開会社でなくても同じである(本問は単元株式の定めも、株主ごとに異なる取扱いの定め(109条2項)もない前提)。
株式会社は、株主総会または取締役会において決議すべき事項のうち、当該決議のほか、当該種類の株式の種類株主を構成員とする種類株主総会の決議を必要とすることを内容とする種類株式を発行することができる。
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正誤:正しい
解説:正しい。種類株主総会の決議を要する旨の定めを内容とする種類株式(拒否権付種類株式)は発行することができる(会社法108条1項8号)。
公開会社および指名委員会等設置会社のいずれでもない株式会社は、当該種類の株式の種類株主を構成員とする種類株主総会において取締役または監査役を選任することを内容とする種類株式を発行することができる。
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正誤:正しい
解説:正しい。公開会社でも指名委員会等設置会社でもない会社は、種類株主総会で取締役・監査役を選任する種類株式を発行することができる(会社法108条1項ただし書・9号)。
株式会社は、株主総会の決議事項の全部について議決権を有しないことを内容とする種類株式を発行することができる。
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正誤:正しい
解説:議決権制限株式(全部について議決権を有しないものを含む)は発行可能(会社法108条1項3号)。
株式会社は、その発行する全部または一部の株式の内容として、当該株式について、株主が当該株式会社に対してその取得を請求することができることを定めることができる。
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正誤:正しい
解説:株主が会社に取得を請求できる取得請求権付株式を定められる(会社法107条・108条)。正しい。
会社は、その発行する全部の株式の内容として、株主総会の決議によってその全部を会社が取得する旨の定款の定めがある株式を発行することができる。
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正誤:誤り
解説:誤り。全部取得条項付株式は108条1項7号の種類株式としてのみ定めることができ、発行する全部の株式の内容として定めることはできない(107条1項は譲渡制限・取得請求権・取得条項の3つに限る)。
会社は、その発行する全部の株式の内容として、株主総会において議決権を行使することができる事項について制限がある旨の定款の定めがある株式を発行することができる。
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正誤:誤り
解説:誤り。議決権制限株式は108条1項3号の種類株式としてのみ定めることができ、発行する全部の株式の内容として定めることはできない(107条1項参照)。
会社は、譲渡による当該種類の株式の取得について、会社の承認を要する旨の定款の定めがある種類株式を発行することができる。
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正誤:正しい
解説:正しい。譲渡制限株式は種類株式として発行することができる(108条1項4号)。
会社は、株主が当該会社に対して当該株主の有する種類株式を取得することを請求することができる旨の定款の定めがある種類株式を発行することができる。
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正誤:正しい
解説:正しい。株主が会社に対して取得を請求できる取得請求権付種類株式は発行することができる(108条1項5号)。
会社は、当該種類の株式の種類株主を構成員とする種類株主総会において、取締役または監査役を選任する旨の定款の定めがある種類株式を発行することができる。
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正誤:誤り
解説:誤り。種類株主総会で取締役・監査役を選任する内容の種類株式は、公開会社(及び指名委員会等設置会社)では発行できない(108条1項ただし書・9号)。
剰余金配当請求権は、株主が会社から直接経済的利益を受ける重要な権利であるため、剰余金配当請求権を付与しない旨の定款の定めを置くことは許されない。
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正誤:誤り
解説:種類株式として剰余金配当請求権を付与しない旨の定款の定めを置くことは許される(108条1項3号)。誤り。
司法書士(3問・5肢)
公開会社が発行できる種類株式の範囲が中心です。役員選任権付種類株式の禁止(1項ただし書・9号)、拒否権付種類株式は公開会社でも発行できること(8号)、議決権制限株式の株主も種類株主総会では議決権を行使できることのほか、登記の要否と結びつけた出題があります。
株主総会において決議をすることができる事項の全部につき議決権を行使することができない種類の株式の株主であっても、当該種類の株式の種類株主を構成員とする種類株主総会においては議決権を行使することができる。
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正誤:正しい
解説:正しい。議決権制限株式を発行できるが(108条1項3号)、種類株主総会における議決権の行使は種類株式の内容として制限できないため、当該種類株主は種類株主総会で議決権を行使できる。
現にA種種類株式及びB種種類株式を発行し、B種種類株式につき譲渡により取得するためには会社の承認を要する旨の定款の定めを設けている会社が、新たな種類の株式として、当該種類の株式の種類株主を構成員とする種類株主総会において取締役を選任することができる種類株式についての定款の定めを設けた場合には、発行可能種類株式総数及び発行する各種類の株式の内容の変更の登記の申請をしなければならない。
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正誤:誤り
解説:誤り。A種種類株式には譲渡制限の定めがないため、この会社は公開会社であり、公開会社は種類株主総会で取締役を選任する内容の種類株式を発行することができない(会社法108条1項ただし書・9号)。そのような定款の定めは設けられず、変更の登記を申請することもない。
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正誤:誤り
解説:誤り。議決権制限株式は、株主総会において議決権を行使できる事項の全部又は一部につき議決権を行使できない内容の株式であり、種類株主総会を含める記述は誤り(会社法108条1項3号)。
この肢の記述は問題ページで確認してください。
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正誤:正しい
解説:正しい。指名委員会等設置会社及び公開会社は、種類株主総会で取締役又は監査役を選任する内容の種類株式を発行することができない(会社法108条1項但書・9号)。
この肢の記述は問題ページで確認してください。
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正誤:正しい
解説:正しい。取締役会で決議すべき事項の一部について種類株主総会の決議を必要とする内容の種類株式(拒否権付種類株式)は、公開会社でも発行できる(会社法108条1項8号)。
間違えやすいポイント
役員選任権付種類株式(9号)は公開会社と指名委員会等設置会社では発行できませんが、拒否権付種類株式(8号)は公開会社でも発行できます。また、議決権制限株式や全部取得条項付株式は種類株式としてだけ定められ、発行する全部の株式の内容としては定められません(全部の株式の内容として定められるのは、107条1項の譲渡制限・取得請求権付・取得条項付の3つだけ)。公開会社かどうかは会社全体で判断され、一部の種類にだけ譲渡制限があり他の種類には譲渡制限がない会社は公開会社です。
| 号 | 異なる定めをする事項 | 公開会社・指名委員会等設置会社での発行 |
|---|---|---|
| 1号 | 剰余金の配当 | できる |
| 2号 | 残余財産の分配 | できる |
| 3号 | 株主総会で議決権を行使できる事項(議決権制限株式) | できる(公開会社では、発行済株式総数の2分の1を超えたときの是正義務がある。115条) |
| 4号 | 譲渡による取得について会社の承認を要すること(譲渡制限) | できる |
| 5号 | 株主が会社に取得を請求できること(取得請求権付) | できる |
| 6号 | 一定の事由が生じたときに会社が取得できること(取得条項付) | できる |
| 7号 | 株主総会の決議で会社がその全部を取得すること(全部取得条項付) | できる |
| 8号 | 株主総会等の決議のほか、種類株主総会の決議を要すること(拒否権付) | できる |
| 9号 | 種類株主総会で取締役・監査役を選任すること(役員選任権付) | できない(1項ただし書) |
よくある質問
- 公開会社でも発行できる種類株式はどれですか?
- 9つの種類のうち、役員選任権付種類株式(9号)を除くものは公開会社でも発行できます。拒否権付種類株式(8号)も発行できます。ただし、公開会社の議決権制限株式の数が発行済株式の総数の2分の1を超えるに至ったときは、直ちに2分の1以下にするための必要な措置をとらなければなりません(115条)。
- 種類株式を発行するとき、定款には何を定めますか?
- 2種類以上の株式を発行する場合には、各号に定める事項と発行可能種類株式総数を定款で定めなければなりません(2項)。剰余金の配当などの細目は、その種類の株式を初めて発行する時までに株主総会等の決議で定める旨を定款で定め、内容の要綱を定款に記載する方法もあります(3項)。
- 議決権制限株式の株主は、種類株主総会でも議決権を行使できませんか?
- 108条1項3号が制限できるのは株主総会で議決権を行使できる事項です。株主総会の決議事項の全部で議決権を行使できない種類の株式の株主であっても、その種類の株主を構成員とする種類株主総会では議決権を行使できると出題されています。
次に解く・確認する
会社法のほかの条の過去問
論点・試験別の説明の確認日:2026.10.08。現行条文(第1項〜第3項)・107条1項・115条と各肢の自作解説の結論との整合。令和2年度行政書士の肢は根拠条が107条1項3号のため108条から外し、平成28年度行政書士・平成30年度司法書士の肢は誤った根拠条・説明を同日に修正した