会社法52条の過去問
会社法52条を根拠にした本試験の過去問を、行政書士・司法書士の2試験から7問・8肢集めました。 試験ごとの問われ方と、肢ごとの正誤の理由を確認できます。
会社法第52条の条文
第1項株式会社の成立の時における現物出資財産等の価額が当該現物出資財産等について定款に記載され、又は記録された価額(定款の変更があった場合にあっては、変更後の価額)に著しく不足するときは、発起人及び設立時取締役は、当該株式会社…
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第1項株式会社の成立の時における現物出資財産等の価額が当該現物出資財産等について定款に記載され、又は記録された価額(定款の変更があった場合にあっては、変更後の価額)に著しく不足するときは、発起人及び設立時取締役は、当該株式会社に対し、連帯して、当該不足額を支払う義務を負う。
第2項前項の規定にかかわらず、次に掲げる場合には、発起人(第二十八条第一号の財産を給付した者又は同条第二号の財産の譲渡人を除く。第二号において同じ。)及び設立時取締役は、現物出資財産等について同項の義務を負わない。
一 第二十八条第一号又は第二号に掲げる事項について第三十三条第二項の検査役の調査を経た場合
二 当該発起人又は設立時取締役がその職務を行うについて注意を怠らなかったことを証明した場合
第3項第一項に規定する場合には、第三十三条第十項第三号に規定する証明をした者(以下この項において「証明者」という。)は、第一項の義務を負う者と連帯して、同項の不足額を支払う義務を負う。ただし、当該証明者が当該証明をするについて注意を怠らなかったことを証明した場合は、この限りでない。
出典:e-Gov法令検索(2026年8月12日施行版)/会社法の条文一覧で見る
出題実績(7問)
| 試験 | 年度 | 問題 | 論点 | 根拠になった肢 |
|---|---|---|---|---|
| 行政書士 | 令和7年 | 問37 | 発起人の地位と設立手続 | 肢3 |
| 行政書士 | 令和3年 | 問37 | 株式会社設立に関する責任 | 肢1 |
| 行政書士 | 平成30年 | 問37 | 株式会社設立時の発起人等の責任 | ア |
| 行政書士 | 平成26年 | 問37 | 株式会社設立時の出資 | エ |
| 司法書士 | 令和6年度 | 問27 | 発起人の義務と責任 | イ |
| 司法書士 | 令和2年度 | 問27 | 発起人等の出資に関する責任 | ア・イ |
| 司法書士 | 平成27年度 | 問27 | 発起設立の調査と設立無効 | ウ |
当サイトの自作解説で会社法52条を根拠として特定した肢を集計しています(解説を確認中の肢・図表が必要な問題・不成立の問題は除く)。
試験別の問われ方と肢別の正誤
行政書士(4問・4肢)
設立の責任を総合的に問う問題の一肢として出題されます。1項・2項の要件(検査役の調査と無過失の証明による除外)、不足額の支払義務を負う者の範囲(発起人と設立時取締役であり、募集設立の引受人ではない)、総株主の同意による免除が問われました。
設立時募集株式と引換えに給付した現物出資財産の価額が当該現物出資財産について定款に記載され、または記録された価額に著しく不足するときは、当該現物出資財産を給付した引受人は、発起人および設立時取締役と連帯して、株式会社に対し当該不足額を支払う義務を負う。
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正誤:誤り
解説:誤り。現物出資財産の価額が著しく不足する場合に会社に対して不足額の支払義務を負うのは、発起人及び設立時取締役(連帯。会社法52条1項)と証明者(同条3項)であり、設立時募集株式の引受人は含まれない(現物出資をするのは発起人である)。
株式会社の成立の時における現物出資財産等の価額が定款に記載または記録された価額に著しく不足するときは、発起人および設立時取締役は、検査役の調査を経た場合および当該発起人または設立時取締役がその職務を行うについて注意を怠らなかったことを証明した場合を除いて、当該株式会社に対して、連帯して、当該不足額を支払う義務を負う。
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正誤:正しい
解説:現物出資財産の価額不足の場合、発起人・設立時取締役は検査役調査経過または無注意証明を除き連帯して不足額支払義務を負う(会社法52条)。
株式会社の成立の時における現物出資財産等の価額が当該現物出資財産等について定款に記載または記録された価額に著しく不足するときは、発起人および設立時取締役は、当該株式会社に対し、連帯して、当該不足額を支払う義務を負い、この義務は、総株主の同意によっても、免除することはできない。
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正誤:誤り
解説:誤り。52条1項の不足額の支払義務は、総株主の同意がなければ免除できない(55条)が、同意があれば免除できる。「同意によっても免除できない」とする点が誤り。
発起人または設立時募集株式の引受人が払い込む金銭の額および給付する財産の額の合計が、定款に定められた設立に際して出資される財産の価額またはその最低額に満たない場合には、発起人および設立時取締役は、連帯して、その不足額を払い込む義務を負う。
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正誤:妥当ではない
解説:発起人・設立時取締役の連帯責任が及ぶのは現物出資財産等の価額が定款記載額に著しく不足する場合で(52条)、払込金銭と給付財産の合計の不足全般ではない。妥当ではない。
司法書士(3問・4肢)
発起設立と募集設立の違いが中心です。発起設立では設立時取締役は無過失を証明すれば支払義務を負わない一方、募集設立では免責が検査役の調査を経た場合に限られること、現物出資財産を給付した発起人は無過失を証明しても免れないことが問われました。
発起人は、自らが給付した現物出資財産の価額が定款に記載された価額に著しく不足する場合であっても、その職務を行うについて注意を怠らなかったことを証明したときは、株式会社に対して当該不足額を支払う義務を負わない。
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正誤:誤り
解説:誤り。自ら現物出資財産を給付した発起人は、注意を怠らなかったことを証明しても不足額支払義務を免れない(52条2項の免責は給付した者以外の発起人・設立時取締役に限られる)。
募集設立の場合には、株式会社の成立の時における現物出資財産の価額が当該現物出資財産について定款に記載された価額に著しく不足するときであっても、当該現物出資財産の給付を行った発起人以外の発起人は、その職務を行うについて注意を怠らなかったことを証明したときは、当該株式会社に対し、当該不足額を支払う義務を負わない。
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正誤:誤り
解説:誤り。募集設立では、現物出資財産の価額不足についての責任を免れる場合は検査役の調査を経たときに限られ、給付をした発起人以外の発起人であっても、職務を行うについて注意を怠らなかったことを証明しただけでは免責されない(会社法52条2項・103条1項)。
株式会社の成立の時における現物出資財産の価額が当該現物出資財産について定款に記載された価額に著しく不足する場合には、定款に記載された価額が相当であることについて証明をした弁護士は、当該証明をするについて注意を怠らなかったことを証明したときを除き、当該不足額を支払う義務を負う。
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正誤:正しい
解説:正しい。定款記載の現物出資財産の価額が相当であることの証明をした弁護士は、注意を怠らなかったことを証明した場合を除き、会社に対し不足額の支払義務を負う(会社法52条3項)。
株式会社の成立の時における現物出資財産の価額が当該現物出資財産について定款に記載された価額に著しく不足する場合には、設立時取締役は、その職務を行うについて注意を怠らなかったことを証明したときであっても、当該株式会社に対し、当該不足額を支払う義務を負う。
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正誤:誤り
解説:誤り。発起設立では、設立時取締役は、職務を行うについて注意を怠らなかったことを証明すれば、現物出資財産の価額不足の支払義務を負わない(会社法52条2項2号)。なお、募集設立では無過失の証明による免責はない(103条1項)。
間違えやすいポイント
現物出資の不足額を支払う責任は、発起設立と募集設立で免責の範囲が違います。発起設立では、検査役の調査を経た場合のほか、発起人・設立時取締役が職務について注意を怠らなかったことを証明すれば免責されます(2項)。募集設立では2項2号(無過失の証明)が適用されず(103条1項)、検査役の調査を経た場合に限られます。どちらでも、現物出資財産を給付した発起人や財産引受の譲渡人である発起人は免責されません。出資の履行を仮装した場合の責任は、別条の52条の2です。
| 論点 | 発起設立 | 募集設立 |
|---|---|---|
| 検査役の調査を経た場合(2項1号) | 免責される | 免責される |
| 注意を怠らなかったことの証明(2項2号) | 免責される(発起人・設立時取締役) | 免責されない(103条1項) |
| 現物出資財産を給付した発起人・財産引受の譲渡人である発起人 | 免責されない | 免責されない |
| 義務の免除 | 総株主の同意がなければ免除できない(55条) | 同左 |
よくある質問
- 現物出資の価額が不足した場合、誰が支払義務を負いますか?
- 成立の時における現物出資財産等の価額が定款記載の価額に著しく不足するときは、発起人と設立時取締役が連帯して不足額を会社に支払います。価額が相当であることを証明した弁護士・公認会計士・税理士等も、注意を怠らなかったことを証明できなければ連帯して責任を負います(3項)。
- この責任は免除できますか?
- 総株主の同意がなければ免除できません(55条)。裏を返せば、総株主の同意があれば免除できます。「同意によっても免除できない」とする記述は誤りです。
- 募集設立で、現物出資をした引受人も支払義務を負いますか?
- 負いません。現物出資をするのは発起人で、支払義務を負うのは発起人と設立時取締役(と証明者)です。募集設立の引受人は金銭の払込みをする者で、52条の支払義務者には含まれません。
次に解く・確認する
会社法のほかの条の過去問
論点・試験別の説明の確認日:2026.10.08。現行条文(第1項〜第3項)・55条・103条1項と各肢の自作解説の結論との整合。令和2年度・平成27年度の司法書士の肢、令和7年度・平成30年度の行政書士の肢の説明を同日修正した。払込みの仮装を問う肢は52条の2へ、設立登記の添付書面を問う令和8年度司法書士の肢は根拠条の誤りのため52条から外した