第二章 抗告訴訟/第一節 取消訴訟
行政事件訴訟法 第31条(特別の事情による請求の棄却)
この条の要点
- 事情判決の要件と違法宣言:事情判決は違法宣言を主文に置いたうえで請求を棄却する。
- 事情判決における違法宣言の場所:事情判決では違法宣言が主文に必須。理由だけでは足りない。
条文原文
色付きの語句は試験で問われる重要な語句です。
第31条(特別の事情による請求の棄却)
取消訴訟については、処分又は裁決が違法ではあるが、これを取り消すことにより公の利益に著しい障害を生ずる場合において、原告の受ける損害の程度、その損害の賠償又は防止の程度及び方法その他一切の事情を考慮したうえ、処分又は裁決を取り消すことが公共の福祉に適合しないと認めるときは、裁判所は、請求を棄却することができる。この場合には、当該判決の主文において、処分又は裁決が違法であることを宣言しなければならない。
②裁判所は、相当と認めるときは、終局判決前に、判決をもつて、処分又は裁決が違法であることを宣言することができる。
③終局判決に事実及び理由を記載するには、前項の判決を引用することができる。
この条文の〇×問題(2問)
事情判決の要件と違法宣言
違法な処分でも、取り消せば公の利益に著しい障害が出る場合には、原告の損害の程度や賠償の可能性などあらゆる事情を考えて取消しが公共の福祉に合わないと判断したとき、裁判所は主文で違法を宣言して原告の請求を退けることができる。
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正解 ○
正しい。事情判決では、違法な処分を取り消すと公の利益に著しい障害が生ずる場合に、原告の損害の程度・賠償や防止の程度方法・一切の事情を考慮して公共の福祉に適合しないと認めるとき請求を棄却できる。ただし判決の主文で処分の違法を宣言しなければならない点が要件の核心である。
学習ポイント:事情判決は違法宣言を主文に置いたうえで請求を棄却する。
第31条1項
事情判決における違法宣言の場所
裁判所が事情判決により原告の請求を棄却する場合、処分の違法性を判決の主文で宣言することは許されず、違法性の判断は判決理由中の説示にとどめなければならない。
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正解 ×
誤り。事情判決の場合、当該判決の主文において処分又は裁決が違法であることを宣言しなければならないとされる。違法宣言はむしろ主文で必置のものであり、理由中の説示にとどめることを強制する規定はない。宣言の位置を逆にしたひっかけである。
学習ポイント:事情判決では違法宣言が主文に必須。理由だけでは足りない。
第31条1項後段
根拠・関連条文
この条文を解説で参照する過去問
行政書士令和6年 問18ア
裁判所は、相当と認めるときは、終局判決前に、判決をもって、処分が違法であることを宣言することができる。
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終局判決前に処分の違法を宣言する中間確認判決の制度がある(行訴31条2項…事情判決・中間的確認判決)。正しい。
行政書士令和元年 問19肢4
裁判所は、処分の取消しの訴えにおいて、当該処分が違法であっても、これを取り消すことにより公の利益に著しい障害を生ずる場合において、原告の受ける損害の程度、その損害の賠償または防止の程度および方法その他一切の事情を考慮した上、当該処分を取り消すことが公共の福祉に適合しないと認めるときは、当該訴えを却下することができる。
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誤り
事情判決の場合は『却下』ではなく違法を宣言して請求を棄却する(行訴31条)…事情判決は請求を棄却する判決であり『訴えを却下』は誤り(却下は訴訟要件欠如)。
解説で第31条を参照している問
問題で確認する
第31条の内容は2問の〇×問題と1問の条文穴埋めで確認できます。