資格ジュピター条文穴埋め・判例演習

第四章 行政指導

行政手続法 第35条(行政指導の方式)

分野:行政指導・第四章の二 処分等の求め

出題試験:行政書士

この条の要点

  • 口頭行政指導への書面交付請求:口頭指導は求めがあれば趣旨・内容・責任者の書面交付義務。4項の除外あり。
  • 書面交付義務の適用除外:その場完了型・通知済みの指導は書面交付不要。

条文原文

色付きの語句は試験で問われる重要な語句です。

第35条(行政指導の方式)

行政指導に携わる者は、その相手方に対して、当該行政指導の趣旨及び内容並びに責任者を明確に示さなければならない。

②行政指導に携わる者は、当該行政指導をする際に、行政機関が許認可等をする権限又は許認可等に基づく処分をする権限を行使し得る旨を示すときは、その相手方に対して、次に掲げる事項を示さなければならない。

一 当該権限を行使し得る根拠となる法令の条項

二 前号の条項に規定する要件

三 当該権限の行使が前号の要件に適合する理由

③行政指導が口頭でされた場合において、その相手方から前二項に規定する事項を記載した書面の交付を求められたときは、当該行政指導に携わる者は、行政上特別の支障がない限り、これを交付しなければならない。

④前項の規定は、次に掲げる行政指導については、適用しない。

一 相手方に対しその場において完了する行為を求めるもの

二 既に文書(前項の書面を含む。)又は電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。)によりその相手方に通知されている事項と同一の内容を求めるもの

条文の要点

行政指導の方式とは、行政指導に携わる者が趣旨・内容・責任者を相手方に明確に示すこと等を求める規律です(35条1項)。

許認可権限の行使を示す指導では根拠法令の条項・要件・適合理由の明示が加わり、口頭の指導には書面交付の請求権があります。ただしその場で完了する行為の求めなどには書面交付の規定が及びません。

行政指導の方式の明示義務の強さ

趣旨・内容・責任者の明示は『示さなければならない』義務で、努力義務ではありません。口頭の指導への書面交付も行政上特別の支障がない限り交付義務があります。書面交付の適用外は、その場で完了する行為を求めるものと、通知済み事項と同一内容を求めるものの2類型です。

項役割内容
1項要件趣旨・内容・責任者を相手方に明確に示す義務
2項要件許認可等の権限行使を示すときは根拠法令の条項・要件・適合の理由も示す
3項効果口頭の指導で書面の交付を求められたときは行政上特別の支障がない限り交付する
4項例外その場で完了する行為の求めと通知済みの同一内容の求めには書面交付の規定を適用しない

具体例

行政機関Bの職員が口頭で事業者Aに1週間後の営業方法の改善を求めました。事前の書面等の通知はなく、Aが書面交付を求め、特別の支障はありません。

その場で完了する行為でも通知済み事項でもなく、特別の支障もないため、Bの職員は書面を交付しなければなりません。

反例(結論が変わる)

同じ指導で、Aが同一内容を既に書面で通知されていることだけを変えます。

35条4項2号により書面交付の規定が適用されず、改めての交付義務は生じません。

関連条との違い

  • 行政手続法 第32条:32条は行政指導の一般原則として従わないことへの不利益取扱いの禁止等を定める。35条は個別の指導における明示と書面交付の方式規定
  • 行政手続法 第36条:36条は複数の者を対象とする行政指導で行政指導指針を定める規定。35条は個別の相手方への指導の方式

過去問で誤りとされた肢の型

  • 行政書士平成28年 問12肢4

    趣旨・内容・責任者の明示は努力義務にすぎないという誤り。35条は『示さなければならない』義務規定

  • 行政書士令和5年 問11肢4

    明示義務が違法行為の是正を求める指導に限られるという誤り。行政指導全般に及ぶ義務

ほかの誤り肢は「この条文を解説で参照する過去問」で確認できます。

法令版: 2026年7月24日施行版

この条文の〇×問題(2問)

口頭行政指導への書面交付請求

その場で完了する行為を求めるものなどの適用除外に当たらない口頭の行政指導について、相手方からその趣旨・内容・責任者を記した書面の交付を求められたとき、行政指導に携わる者は行政上特別の支障がない限りこれを交付しなければならない。

正解と解説を見る

正解 ○

正しい。行政指導に携わる者は、その趣旨及び内容並びに責任者を明確に示さなければならず(35条1項)、口頭でされた行政指導について相手方から書面の交付を求められたときは、行政上特別の支障がない限りこれを交付しなければならない(同条3項)。ただし、その場で完了する行為を求めるものや、既に文書等で通知した事項と同一内容のものは除かれる(同条4項)。

学習ポイント:口頭指導は求めがあれば趣旨・内容・責任者の書面交付義務。4項の除外あり。

第35条1項・3項・4項

書面交付義務の適用除外

その場で完結する行為を求める趣旨の行政指導であっても、相手方から求めがあれば、担当者は内容等を記した書面を交付する義務を免れない。

正解と解説を見る

正解 ×

誤り。口頭の行政指導に対する書面交付の規定は、相手方に対しその場において完了する行為を求めるもの、及び既に文書・電磁的記録で同一内容が通知されている事項を求めるものには適用されない。即座に完了する求めには書面交付義務はない。

学習ポイント:その場完了型・通知済みの指導は書面交付不要。

第35条4項

この条文を解説で参照する過去問

行政書士令和7年 問12イ

勧告に携わる者は、その相手方に対し、勧告の趣旨および内容並びに責任者を明確に示さなければならない。

正誤と理由を見る

行政指導に携わる者は相手方に勧告の趣旨・内容・責任者を明確に示さなければならない(行手35条1項)。

行政書士令和6年 問12ア

行政指導に携わる者は、当該行政指導をする際に、行政機関が許認可等をする権限を行使し得る旨を示すときは、その相手方に対して、当該権限を行使し得る根拠となる法令の条項等、行政手続法が定める事項を示さなければならない。

正誤と理由を見る

行政指導で許認可権限の行使を示すときは、その根拠法令の条項等を示さなければならない(行手35条2項)。

行政書士令和5年 問11肢4

行政指導に携わる者が、その相手方に対して、当該行政指導の趣旨および内容並びに責任者を明確に示さなければならないのは、法令に違反する行為の是正を求める行政指導をする場合に限られる。

正誤と理由を見る

妥当でない

行政指導の趣旨・内容・責任者の明示義務は是正を求める指導に限られず、行政指導全般に及ぶ(行手35条)。

行政書士令和3年 問13イ

行政指導に携わる者は、当該行政指導をする際に、行政機関が許認可等をする権限を行使し得る旨を示すときは、その相手方に対して、行政手続法が定める事項を示さなければならず、当該行政指導が口頭でされた場合において、これら各事項を記載した書面の交付をその相手方から求められたときは、行政上特別の支障がない限り、これを交付しなければならない。

正誤と理由を見る

許認可権限を行使し得る旨を示す行政指導では法定事項を示す義務があり、口頭の場合は書面交付を求められれば支障ない限り交付義務がある(行手35条)。正しい。

行政書士令和元年 問11肢4

行政指導が口頭でされた場合において、その相手方から当該行政指導の趣旨および内容ならびに責任者を記載した書面の交付を求められたときは、当該行政指導に携わる者は、行政上特別の支障がない限り、これを交付しなければならない。

正誤と理由を見る

正しい

口頭の行政指導で相手方から書面交付を求められた場合、行政上特別の支障がない限り交付義務がある(行手35条3項)。正しい。

行政書士平成28年 問12肢4

行政指導について、その相手方に対して、当該行政指導の趣旨および内容ならびに責任者を示すことは、当該行政指導に携わる者の努力義務にとどまり、義務とはされていない。

正誤と理由を見る

誤り

行政指導の趣旨・内容・責任者の明示は『義務』(行手35条は『示さなければならない』)。誤り(正答)。

問題で確認する

第35条の内容は2問の〇×問題と1問の条文穴埋めで確認できます。