第五編 相続/第七章 遺言/第四節 遺言の執行
民法 第1014条(特定財産に関する遺言の執行)
重要度は過去問の出題年度などをもとにした当サイトの評価です。
この条の要点
- 預貯金債権の解約申入れに対する限定:預貯金の解約申入れは債権全部が遺言目的のときだけ。一部なら払戻請求のみ可能。
- 対抗要件を備えるための遺言執行者の権限:遺言執行者は特定財産承継遺言で、承継者が相続分超過部分の対抗要件を備える行為ができる。
条文原文
色付きの語句は試験で問われる重要な語句です。
第1014条(特定財産に関する遺言の執行)
前三条の規定は、遺言が相続財産のうち特定の財産に関する場合には、その財産についてのみ適用する。
②遺産の分割の方法の指定として遺産に属する特定の財産を共同相続人の一人又は数人に承継させる旨の遺言(以下「特定財産承継遺言」という。)があったときは、遺言執行者は、当該共同相続人が第八百九十九条の二第一項に規定する対抗要件を備えるために必要な行為をすることができる。
③前項の財産が預貯金債権である場合には、遺言執行者は、同項に規定する行為のほか、その預金又は貯金の払戻しの請求及びその預金又は貯金に係る契約の解約の申入れをすることができる。ただし、解約の申入れについては、その預貯金債権の全部が特定財産承継遺言の目的である場合に限る。
④前二項の規定にかかわらず、被相続人が遺言で別段の意思を表示したときは、その意思に従う。
この条文の〇×問題(2問)
預貯金債権の解約申入れに対する限定
遺言により相続財産の中の預貯金債権の一部だけを特定の共同相続人に承継させる旨が定められている場合でも、遺言執行者はその口座の預金または貯金の契約を解約する申入れを行う権限を有する。
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正解 ×
誤り。特定財産承継遺言の目的が預貯金債権である場合、遺言執行者は払戻しの請求及び解約の申入れをすることができるが、解約の申入れは預貯金債権の全部が遺言の目的である場合に限られる。一部のみが目的である場合は払戻しの請求にとどまり、解約はできない。
学習ポイント:預貯金の解約申入れは債権全部が遺言目的のときだけ。一部なら払戻請求のみ可能。
第1014条3項ただし書
対抗要件を備えるための遺言執行者の権限
遺産の分割の方法の指定として特定の財産を共同相続人の一人に承継させる旨の遺言がある場合、遺言執行者は、その相続人が算定上の相続分を超える部分について第三者に対抗するために必要となる登記等の対抗要件を備えるための行為をすることができる。
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正解 ○
正しい。特定財産承継遺言があったとき、遺言執行者は、財産を承継する共同相続人が相続分を超える部分について対抗要件を備えるために必要な行為をすることができる。相続による権利の承継は、算定上の相続分を超える部分について対抗要件を備えなければ第三者に対抗できないため、この連携規定が設けられている。
学習ポイント:遺言執行者は特定財産承継遺言で、承継者が相続分超過部分の対抗要件を備える行為ができる。
第1014条2項、関連:第899条の2第1項
根拠・関連条文
この条文を解説で参照する過去問
司法書士令和4年度 問55オ
令和4年1月1日に遺産の分割の方法の指定としてAの遺産に属する甲不動産を共同相続人の1人であるBに承継させる旨の遺言がされ、その後にAが死亡した場合には、当該遺言に係る遺言執行者は、単独で、甲不動産について、AからBへの相続を原因とする所有権の移転の登記を申請することができる。
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正しい
正しい。特定財産承継遺言の場合、遺言執行者は対抗要件の登記を備えるために必要な行為をでき(1014条2項)、単独で相続による移転登記を申請できる(令元.6.27民二68号通達)。
司法書士令和3年度 問23イ
遺産分割方法の指定として遺産に属する特定の不動産を共同相続人の1人に承継させる旨の遺言がされた場合には、遺言執行者は、単独で、当該遺言に基づいて被相続人から当該共同相続人の1人に対する所有権の移転の登記を申請することはできない。
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誤り
誤り。特定財産承継遺言(「相続させる」旨の遺言)の場合、遺言執行者は承継相続人が法定相続分を超える相続財産の対抗要件を備えるために必要な行為ができ、単独で所有権移転登記を申請できる(1014条2項)。従前の判例(最判平7.1.24)は変更された。
解説で第1014条を参照している問
問題で確認する
第1014条の内容は2問の〇×問題と1問の条文穴埋めで確認できます。