第三編 債権/第一章 総則/第三節 多数当事者の債権及び債務/第五款 保証債務/第一目 総則
民法 第457条(主たる債務者について生じた事由の効力)
重要度は過去問の出題年度などをもとにした当サイトの評価です。
条文原文
色付きの語句は試験で問われる重要な語句です。
第457条(主たる債務者について生じた事由の効力)
主たる債務者に対する履行の請求その他の事由による時効の完成猶予及び更新は、保証人に対しても、その効力を生ずる。
②保証人は、主たる債務者が主張することができる抗弁をもって債権者に対抗することができる。
③主たる債務者が債権者に対して相殺権、取消権又は解除権を有するときは、これらの権利の行使によって主たる債務者がその債務を免れるべき限度において、保証人は、債権者に対して債務の履行を拒むことができる。
条文の要点
保証債務の附従性とは、主たる債務者に生じた事由の効力が保証人にも及ぶ性質で、時効の完成猶予・更新は保証人にも効力を生じます(457条1項)。
保証人は主債務者が主張できる抗弁で債権者に対抗でき、主債務者が相殺権・取消権・解除権を持てば、その行使で免れる限度で履行を拒めます。ただし附従性にも限界があり、主債務の加重や主債務者の時効利益の放棄は保証人に及びません。
保証債務の附従性の範囲
及ぶのは主債務者に生じた事由で、通常の保証では保証人側の事由は主債務者に及びませんが、連帯保証では458条の準用があります。主債務が消滅すれば保証債務も消え、保証人は主債務の消滅時効を抗弁として主張できます。主債務者が時効の利益を放棄してもその効力は保証人に及ばず、保証人自身の援用は失われません。主債務が保証契約の後に加重されても、保証人の負担は増えません。
| 項 | 役割 | 内容 |
|---|---|---|
| 1項 | 効果 | 主債務者への履行請求等による時効の完成猶予・更新は、保証人にも及ぶ |
| 2項 | 効果 | 保証人は、主債務者が主張できる抗弁で債権者に対抗できる |
| 3項 | 効果 | 主債務者の相殺権・取消権・解除権の行使で免れる限度で、保証人は履行を拒める |
具体例
AはBのCへの借入債務を保証しています。CがBに履行の請求をして時効の完成が猶予されました。
完成猶予の効力はAにも及び、保証債務の時効も完成しなくなります。
反例(結論が変わる)
同じ設定で、Bの借入債務がすでに消滅時効で消えていた場合に変えます。
Aは主債務の消滅を主張して保証債務を免れられます。Bが時効の利益を放棄してもAの援用は残ります。
関連条との違い
過去問で誤りとされた肢の型
- 宅建令和2年10月 問7肢2
主債務の加重が保証人の負担を重くし、時効利益の放棄が保証人に及ぶとする誤り。附従性には限界があり、加重も利益放棄も及ばない
ほかの誤り肢は「この条文を解説で参照する過去問」で確認できます。
法令版: 2026年6月24日施行版
この条文を解説で参照する過去問
行政書士令和6年 問31肢3
BのAに対する履行の請求その他の事由による時効の完成猶予および更新は、Cに対しても、その効力を生ずる。
正誤と理由を見る
正しい
主債務への時効の完成猶予・更新は保証人Cにも効力を生ずる(民法457条1項)。
司法書士平成29年度 問6オ
Bは、平成27年6月1日、本件貸金債権に係る債務の一部の弁済をした。BとCは、同年7月1日、Aを害することを知りながら、Bの唯一の財産である土地について贈与契約を締結し、Cへの所有権の移転の登記がされた。それを知ったAは、平成28年12月1日、当該贈与契約の取消しを求める詐害行為取消請求訴訟を提起した。この場合、Cは、同月20日に本件貸金債権の消滅時効を援用することができない。
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正しい
正しい。Bの一部弁済による承認で時効が中断し、その効力はCにも及ぶため、Cは消滅時効を援用できない。
宅建令和2年10月 問7肢2
主たる債務の目的が保証契約の締結後に加重されたときは、保証人の負担も加重され、主たる債務者が時効の利益を放棄すれば、その効力は連帯保証人に及ぶ。
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誤り
誤り。主債務の加重は保証人の負担を加重せず、主債務者の時効利益放棄の効力は連帯保証人に及ばない(民法457条・458条)。
マン管令和3年度 問16肢3
Bの賃料支払債務が時効により消滅した場合、Bが時効の利益を放棄しても、Cは自ら賃料支払債務の消滅時効を援用し、保証債務を免れることができる。
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正しい
正しい。主債務者が時効の利益を放棄しても、保証人は自ら消滅時効を援用して保証債務を免れることができる(民法457条)。
マン管平成28年度 問13肢3
AがBに対する借入金債務を承認したことによる時効の中断は、Cに対してもその効力を生じ、本件保証契約に基づくCの債務についても時効の中断の効力が生じる。
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正しい
正しい。主債務者に生じた時効の完成猶予・更新は保証人にも効力が及ぶ(現行民法457条1項)。本肢の出題当時の「中断」は、現行法の承認による更新に対応する。
問題で確認する
第457条の内容は1問の条文穴埋めで確認できます。