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第三編 債権/第二章 契約/第六節 使用貸借

民法 第597条(期間満了等による使用貸借の終了)

分野:消費貸借・使用貸借

出題試験:宅建重要度 中行政書士重要度 中司法書士重要度 中賃貸不動産経営管理士重要度 中マンション管理士重要度 中

重要度は過去問の出題年度などをもとにした当サイトの評価です。

この条の要点

  • 借主の死亡による終了の一身専属性:死亡による終了は借主だけ。貸主の死亡では貸主の地位が相続されて契約は存続する。
  • 目的のみが定められた場合の貸主の解除制限:期間未定でも目的があれば目的に足りる期間の経過が解除の要件。目的もない場合のみいつでも解除可。

条文原文

色付きの語句は試験で問われる重要な語句です。

第597条(期間満了等による使用貸借の終了)

当事者が使用貸借の期間を定めたときは、使用貸借は、その期間が満了することによって終了する。

②当事者が使用貸借の期間を定めなかった場合において、使用及び収益の目的を定めたときは、使用貸借は、借主がその目的に従い使用及び収益を終えることによって終了する。

③使用貸借は、借主の死亡によって終了する。

条文の要点

使用貸借の終了とは、期間の満了、目的に従う使用収益の終了、借主の死亡のいずれかによって使用貸借が効力を失うことです(597条)。

期間の定めがあれば満了で終わり、期間がなく使用収益の目的だけがあれば、借主がその目的に従う使用収益を終えた時に終わります。借主の死亡は常に終了事由で、無償で使う地位は相続人に承継されません。

使用貸借の終了の事由と地位の承継

借主の無償使用の地位は一身専属的で相続の対象にならないため、借主の死亡で契約は終わります。他方、貸主が死亡しても契約は終わらず、貸主の地位は相続人に承継されます。目的達成前に貸主が終わらせるには、終了ではなく解除の規定を使います。

項役割内容
1項効果期間の定めがある使用貸借はその期間の満了で終了する
2項効果期間がなく使用収益の目的が定められているときは、借主が目的に従う使用収益を終えることで終了する
3項効果借主の死亡によって終了する

具体例

AがBに部屋を無償で貸して使わせていたところ、借主のBが死亡しました。

使用貸借は終了し、Bの相続人は無償で使う借主の地位を承継しません。

反例(結論が変わる)

同じ設定で、死亡したのが貸主のAだった場合に変えます。

契約は終了せず、貸主の地位はAの相続人に承継され、Bは引き続き部屋を使えます。

関連条との違い

  • 民法 第598条:終了と解除は別の仕組み。目的達成前に貸主が終わらせるには解除が要り、目的があれば足りる期間の経過後、期間も目的もなければいつでも解除できる
  • 民法 第1036条:配偶者居住権には期間満了と借主死亡の規定だけが準用され、延長・更新の制度はない。目的達成による終了や解除の規定は準用されない

過去問で誤りとされた肢の型

  • マン管令和5年度 問15肢3

    借主の死亡後も借主の地位が相続人に相続されるとした誤り。借主の死亡は終了事由で地位は承継されない

ほかの誤り肢は「この条文を解説で参照する過去問」で確認できます。

法令版: 2026年6月24日施行版

この条文の〇×問題(2問)

借主の死亡による終了の一身専属性

使用貸借は、借主が死亡したときに終了するほか、貸主が死亡したときも同様に当然に終了する。

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正解 ×

誤り。597条3項が終了事由とするのは借主の死亡のみである。借主が無償で使用収益をする地位は一身専属的で相続の対象とならないから死亡によって契約は終了するが、貸主が死亡したときは貸主の地位が相続人に承継され、使用貸借は存続する。

学習ポイント:死亡による終了は借主だけ。貸主の死亡では貸主の地位が相続されて契約は存続する。

第597条3項

目的のみが定められた場合の貸主の解除制限

使用貸借について期間の定めはないが使用及び収益の目的が定められている場合、貸主は、借主がその目的に従い使用及び収益をするのに足りる期間が経過するまでは、契約を解除することができない。

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正解 ○

正しい。期間未定でも使用収益の目的が定められているときは、597条2項により目的に従った使用収益を終えたときに契約が終了する。598条1項は、この場合に貸主が解除できるのは目的に従い使用収益をするに足りる期間の経過後に限るとする。いつでも解除できるのは期間も目的も定められていない場合だけである(598条2項)。

学習ポイント:期間未定でも目的があれば目的に足りる期間の経過が解除の要件。目的もない場合のみいつでも解除可。

第597条2項、関連:第598条1項・2項

この条文を解説で参照する過去問

行政書士令和5年 問33ア

使用貸借契約においては、期間や使用収益の目的を定めているか否かにかかわらず、借主は、いつでも契約の解除をすることができる。

正誤と理由を見る

使用貸借では借主は目的達成後等に返還義務を負い、『いつでも解除できる』のは貸主側の特則。借主の解除は制限がある…ではなく借主はいつでも解除できる(597条3項の反対解釈的整理)。妥当と評価。

司法書士令和4年度 問18エ

借主が死亡したときは、使用貸借は終了する。

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正しい

正しい。借主が死亡したときは使用貸借は終了する(597条3項)。

宅建令和4年 問6肢3

Bは、①では期間内に解約する権利を留保しているときには期間内に解約の申入れをし解約することができ、②では期間内に解除する権利を留保していなくてもいつでも解除することができる。

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正しい

正しい。賃貸借の期間内解約は解約権留保が必要だが、使用貸借の借主は留保なしにいつでも返還して契約を終了できる(民法597条1項)。

宅建令和3年10月 問4肢1

遺産分割協議でBの配偶者居住権の存続期間を20年と定めた場合、存続期間が満了した時点で配偶者居住権は消滅し、配偶者居住権の延長や更新はできない。

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正しい

正しい。配偶者居住権に延長・更新の制度はなく、存続期間の満了で消滅する(民法1036条による597条1項の準用)。

マン管令和5年度 問15肢3

使用貸借契約の締結後にBが死亡した場合には、使用貸借契約に基づく借主の地位はBの相続人に相続され、Bの相続人が202号室を無償で使用することができる。

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誤り

誤り。使用貸借は借主の死亡によって終了し、借主の地位は相続人に承継されない。

マン管令和5年度 問15肢4

使用貸借契約において、使用貸借の期間並びに使用及び収益の目的を定めなかったときは、Aは、いつでも使用貸借契約を解除することができる。

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正しい

正しい。使用貸借の期間並びに使用及び収益の目的を定めなかったときは、貸主はいつでも契約を解除することができる。

マン管令和4年度 問15肢2

Aが、Cとの間で、302号室を無償でCに貸す旨の使用貸借契約を成立させるためには、302号室の引渡しをする必要はない。

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正しい

正しい。使用貸借は諾成契約で成立に目的物の引渡しは不要(597条)。

マン管平成29年度 問15肢2

AC間の負担付でない使用貸借契約に基づき、Cが借主となった301号室に隠れた瑕疵があったときは、Aが隠れた瑕疵の存在を知らない場合は、特約のない限り、Cは、Aに対し、担保責任を追及することができない。

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正しい

正しい。使用貸借では貸主は瑕疵の存在を知っていた場合を除き担保責任を負わない。

問題で確認する

第597条の内容は2問の〇×問題と1問の条文穴埋めで確認できます。