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第三編 債権/第二章 契約/第六節 使用貸借

民法 第600条(損害賠償及び費用の償還の請求権についての期間の制限)

分野:消費貸借・使用貸借

出題試験:宅建重要度 中行政書士重要度 中司法書士重要度 高賃貸不動産経営管理士重要度 中マンション管理士重要度 中

重要度は過去問の出題年度などをもとにした当サイトの評価です。

条文原文

色付きの語句は試験で問われる重要な語句です。

第600条(損害賠償及び費用の償還の請求権についての期間の制限)

契約の本旨に反する使用又は収益によって生じた損害の賠償及び借主が支出した費用の償還は、貸主が返還を受けた時から一年以内に請求しなければならない。

②前項の損害賠償の請求権については、貸主が返還を受けた時から一年を経過するまでの間は、時効は、完成しない。

条文の要点

返還後の請求期間とは、使用貸借の損害賠償と借主が支出した費用の償還について、貸主が返還を受けた時から1年以内に請求しなければならない制限です(600条1項)。

対象は用法に反する使用収益による損害賠償と借主の費用償還です。返還前にも請求できますが、返還後は1年以内の請求が必要です。損害賠償請求権に限り、その1年の間は消滅時効が完成しません。

返還後の請求期間の期間の性格

1年は請求権の行使を制限する期間で、時効の完成猶予とは別の層です。費用償還請求権には2項の完成猶予がなく、消滅時効は費用を支出した時から別途進みます。賃貸借にも同じ制限が準用されるため、賃貸借と使用貸借で期間の長さに違いはありません。

項役割内容
1項期間用法に反する使用収益による損害賠償と借主の費用償還は、貸主が返還を受けた時から1年以内に請求する
2項期間損害賠償請求権の時効は、返還を受けた時から1年が経過するまで完成しない

具体例

AがBに建物を無償で貸し、Bが用法に反する使い方をして建物を傷めました。Aは返還を受けてから7か月後にBへ損害賠償を請求しました。

返還から1年以内なので、Aは損害賠償を請求できます。

反例(結論が変わる)

同じ設定で、Aが返還を受けてから1年2か月後に初めて請求した場合に変えます。

返還から1年以内に請求していないので、Aは用法違反による損害賠償を請求できません。借主の費用償還とは請求する側が異なります。

関連条との違い

  • 民法 第622条:同じ1年の期間制限が622条で賃貸借にも準用される。損害賠償と費用償還について賃貸借・使用貸借の区別はない
  • 民法 第166条:166条の通常の消滅時効とは別に返還後1年以内の請求が必要。600条2項の完成猶予は損害賠償だけにかかり、費用償還にはない

過去問で誤りとされた肢の型

  • 宅建令和4年 問6肢4

    用法違反の損害賠償は賃貸借なら5年・使用貸借なら1年とした誤り。どちらも返還から1年以内

  • 賃管令和5年度 問23肢3

    明渡しから1年半後の必要費償還請求を賃貸人は拒めないとした誤り。返還から1年を過ぎれば請求できない

  • マン管令和3年度 問17肢4

    契約終了と目的物の返還で償還請求権そのものが消滅するとした誤り。返還から1年以内なら請求できる

ほかの誤り肢は「この条文を解説で参照する過去問」で確認できます。

法令版: 2026年6月24日施行版

この条文を解説で参照する過去問

行政書士平成30年 問32オ

契約の本旨に反する使用または収益によって生じた損害の賠償および借主が支出した費用の償還は、貸主が借主から目的物の返還を受けた時から1年以内に請求しなければならない。

正誤と理由を見る

損害賠償・費用償還請求の返還時から1年の期間制限は600条と賃貸借への準用により双方に共通。両方にあてはまる。

司法書士令和7年度 問22オ

配偶者居住権を取得したBが善良な管理者の注意を怠って居住建物の使用又は収益をしたことによって生じた損害の賠償は、甲建物の所有者がBから甲建物の返還を受けた時から1年以内に請求しなければならない。

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正しい

正しい。配偶者居住権者の善管注意義務違反による損害賠償請求は、所有者が返還を受けた時から1年以内にしなければならない(1036条が準用する600条1項)。

司法書士令和4年度 問18ア

契約の本旨に反する借主の使用又は収益によって生じた損害の賠償請求権については、貸主が返還を受けた時から1年を経過するまでの間は、時効は、完成しない。

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正しい

正しい。契約の本旨に反する使用収益による損害賠償請求権は、貸主が返還を受けた時から1年間は時効が完成しない(600条2項)。

司法書士平成25年度 問18ア

賃借人が支出した必要費の償還は、賃貸人が目的物の返還を受けた時から1年以内に請求しなければならないが、この1年の期間とは別に、賃借人が必要費を支出した時から消滅時効が進行する。

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正しい

正しい。借主が支出した費用の償還は貸主が返還を受けた時から1年以内に請求しなければならないが(民法622条・600条1項。出題当時は旧621条・600条)、この期間は除斥期間であり、消滅時効は支出時から別途進行する。

宅建令和4年 問6肢4

甲土地について契約の本旨に反するBの使用によって生じた損害がある場合に、Aが損害賠償を請求するときは、①では甲土地の返還を受けた時から5年以内に請求しなければならないのに対し、②では甲土地の返還を受けた時から1年以内に請求しなければならない。

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誤り

誤り。損害賠償請求は賃貸借・使用貸借とも返還から1年以内(民法600条・622条による準用)。

宅建令和2年12月 問6肢2

Cの用法違反によって甲建物に損害が生じた場合、AはBに対して、甲建物の返還を受けた時から1年以内に損害賠償を請求しなければならない。

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正しい

正しい。賃借人は転借人の用法違反についても損害賠償責任を負い、その請求は返還から1年以内(民法600条・622条)。

賃管令和5年度 問23肢3

賃貸借契約が終了し、賃貸住宅を明け渡してから1年半が経過した時点で、賃借人が必要費を支出していたことを思い出し、賃貸人に対して必要費償還請求権を行使した場合、賃貸人は支払を拒むことができない。

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誤り

誤り。費用償還請求権は賃貸物の返還を受けた時から1年間行使しないときは消滅し、1年半経過後は時効となる。

賃管令和元年度 問17肢1

貸主が借主の用法遵守義務違反を理由に損害賠償請求をする場合、賃貸物件の返還を受けた時から 1 年以内に行使しなければならない。

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正しい

正しい。用法遵守義務違反による損害賠償請求権は、返還を受けた時から1年の期間制限がある(民法600条)。

マン管令和3年度 問17肢4

Aが、賃貸借契約終了の2ヵ月前に、404号室についてBの負担に属する必要費を支出した場合であっても、その必要費の償還を請求しないまま賃貸借契約が終了し、同室をBに返還したときは、その後は、Aは、Bに対し、その必要費の償還を請求することができない。

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誤り

誤り。必要費の償還請求権は賃貸借の終了や返還によって消滅せず、賃貸人が返還を受けた時から1年以内であれば請求できる(民法608条1項・622条・600条1項)。

問題で確認する

第600条の内容は1問の条文穴埋めで確認できます。