第三編 債権/第二章 契約/第七節 賃貸借/第三款 賃貸借の終了
民法 第622条(使用貸借の規定の準用)
重要度は過去問の出題年度などをもとにした当サイトの評価です。
条文原文
第622条(使用貸借の規定の準用)
第五百九十七条第一項、第五百九十九条第一項及び第二項並びに第六百条の規定は、賃貸借について準用する。
条文の要点
使用貸借規定の準用とは、期間満了による終了・附属物の収去・返還後の請求期間の使用貸借の規定が、賃貸借にもそのまま適用されることです(622条)。
賃貸借も期間の満了で終わり、借主が付けた附属物は収去義務を負いつつ収去でき、用法違反の損害賠償と費用償還は返還から1年以内に請求する制限がかかります。借主の死亡で終わる規定は準用されません。
使用貸借規定の準用の範囲の切り分け
準用されるのは列挙された規定だけです。借主の死亡による終了が外れるのは、賃借権が財産権として相続の対象になるからです。損傷の原状回復が外れるのは、賃貸借に固有の原状回復義務の規定があるからです。
| 項 | 役割 | 内容 |
|---|---|---|
| 597条1項の準用 | 効果 | 期間の定めがある賃貸借はその期間の満了で終了する |
| 599条1項・2項の準用 | 効果 | 借主が附属させた物は、終了時に収去する義務を負い、収去することもできる |
| 600条の準用 | 期間 | 用法違反の損害賠償と借主の費用償還は、貸主が返還を受けた時から1年以内に請求する |
| 準用の対象外 | 例外 | 借主の死亡による終了と、損傷の原状回復義務の使用貸借の規定は賃貸借に準用されない |
具体例
AがBに展示台を期間5年で賃貸しました。更新はせず、5年が経過し、Bは返還時に自分で取り付けた分離容易な照明を外しました。
期間の満了で賃貸借は終了し、Bは附属させた照明を収去できます。
反例(結論が変わる)
同じ設定で、期間満了ではなく借主Bが途中で死亡した場合に変えます。
使用貸借と違って契約は終わらず、賃借権はBの相続人Cに承継されます。
関連条との違い
過去問で誤りとされた肢の型
- 宅建令和4年 問6肢4
用法違反の損害賠償は賃貸借だと返還から5年とした誤り。600条の準用で賃貸借でも1年
- マン管令和3年度 問17肢4
賃貸借の終了と返還で必要費の償還請求権が消えるとした誤り。準用される規定は返還から1年の請求を認める
ほかの誤り肢は「この条文を解説で参照する過去問」で確認できます。
法令版: 2026年6月24日施行版
この条文を解説で参照する過去問
行政書士平成30年 問32ウ
借主は、目的物を返還するときに、これに附属させた物を収去することはできない。
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附属させた物の収去は、使用貸借でも賃貸借でも借主の権利として認められる(出題当時の民法598条・616条。現行法では599条2項・622条)。記述は共にあてはまらない。
司法書士平成25年度 問18ア
賃借人が支出した必要費の償還は、賃貸人が目的物の返還を受けた時から1年以内に請求しなければならないが、この1年の期間とは別に、賃借人が必要費を支出した時から消滅時効が進行する。
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正しい
正しい。借主が支出した費用の償還は貸主が返還を受けた時から1年以内に請求しなければならないが(民法622条・600条1項。出題当時は旧621条・600条)、この期間は除斥期間であり、消滅時効は支出時から別途進行する。
宅建令和4年 問6肢4
甲土地について契約の本旨に反するBの使用によって生じた損害がある場合に、Aが損害賠償を請求するときは、①では甲土地の返還を受けた時から5年以内に請求しなければならないのに対し、②では甲土地の返還を受けた時から1年以内に請求しなければならない。
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誤り
誤り。損害賠償請求は賃貸借・使用貸借とも返還から1年以内(民法600条・622条による準用)。
宅建令和2年12月 問6肢2
Cの用法違反によって甲建物に損害が生じた場合、AはBに対して、甲建物の返還を受けた時から1年以内に損害賠償を請求しなければならない。
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正しい
正しい。賃借人は転借人の用法違反についても損害賠償責任を負い、その請求は返還から1年以内(民法600条・622条)。
マン管令和3年度 問17肢4
Aが、賃貸借契約終了の2ヵ月前に、404号室についてBの負担に属する必要費を支出した場合であっても、その必要費の償還を請求しないまま賃貸借契約が終了し、同室をBに返還したときは、その後は、Aは、Bに対し、その必要費の償還を請求することができない。
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誤り
誤り。必要費の償還請求権は賃貸借の終了や返還によって消滅せず、賃貸人が返還を受けた時から1年以内であれば請求できる(民法608条1項・622条・600条1項)。