資格ジュピター条文穴埋め・判例演習

第三編 債権/第二章 契約/第七節 賃貸借/第二款 賃貸借の効力

民法 第606条(賃貸人による修繕等)

分野:賃貸借

出題試験:宅建重要度 高行政書士重要度 中司法書士重要度 中賃貸不動産経営管理士重要度 高マンション管理士重要度 中管理業務主任者重要度 中

重要度は過去問の出題年度などをもとにした当サイトの評価です。

この条の要点

  • 修繕義務の帰属と賃借人の帰責事由による例外:修繕義務は原則賃貸人にあるが、賃借人の責めに帰すべき事由による修繕は例外として負わない。
  • 賃借人による修繕と賃貸人の承諾の不要:賃借人が自ら修繕するのに賃貸人の承諾は不要。通知後の相当期間経過か急迫が要件。

条文原文

色付きの語句は試験で問われる重要な語句です。

第606条(賃貸人による修繕等)

賃貸人は、賃貸物の使用及び収益に必要な修繕をする義務を負う。ただし、賃借人の責めに帰すべき事由によってその修繕が必要となったときは、この限りでない。

②賃貸人が賃貸物の保存に必要な行為をしようとするときは、賃借人は、これを拒むことができない。

条文の要点

賃貸人の修繕義務とは、賃貸物の使用収益に必要な修繕を貸主がする義務で、借主の責めに帰する修繕は対象外です(606条1項)。

貸主の帰責性は要件ではなく、不可抗力による損傷でも修繕が可能なら義務は残ります。この義務は任意規定で、借主に修繕を課す特約も有効です。

賃貸人の修繕義務の範囲と賃借人の役割

貸主が賃貸物の保存に必要な行為をするとき、借主は拒めません。借主には修繕の必要を知ったときの通知義務があり、通知後も貸主が相当期間修繕しない場合や急迫の事情があるときは、借主が自ら修繕できます。

項役割内容
1項効果賃貸物の使用収益に必要な修繕は貸主の義務(貸主の帰責性は要件でない)
1項ただし書例外借主の責めに帰する事由によって必要になった修繕は貸主の義務にならない
2項要件保存に必要な行為をしようとする貸主を借主は拒めない

具体例

AがBに建物を賃貸し、経年で給湯設備が使えなくなりました。BはAに修繕を求めました。

Aは使用収益に必要な修繕をする義務を負い、Bはその修繕を請求できます。不可抗力でも義務は残ります。

反例(結論が変わる)

同じ設定で、故障の原因がBの使い方の誤りだった場合に変えます。

借主の責めに帰する事由による修繕はAの義務の対象外で、Bが自分の負担で直します。

関連条との違い

  • 民法 第595条:使用貸借の借主は借用物の通常の維持費を負担する。賃貸借は貸主が修繕する
  • 民法 第607条の2:貸主が相当期間修繕しないときや急迫の事情があるときは、借主が自ら修繕できる
  • 民法 第615条:借主は修繕を要するとき遅滞なく貸主に通知しなければならない

過去問で誤りとされた肢の型

  • 賃管平成29年度 問17肢3

    不可抗力による損傷なら貸主の修繕義務がないとする誤り。貸主の帰責性は修繕義務の要件でない

  • 司法書士令和3年度 問19ウ

    借主の責めに帰する修繕でも貸主が義務を負うとする誤り。1項ただし書の例外を見落とす

  • マン管平成29年度 問15肢1

    隠れた瑕疵なら修繕請求はできないとする誤り。賃貸人の修繕義務により修繕請求ができる

ほかの誤り肢は「この条文を解説で参照する過去問」で確認できます。

法令版: 2026年6月24日施行版

この条文の〇×問題(2問)

修繕義務の帰属と賃借人の帰責事由による例外

賃借物に使用及び収益に必要な修繕が生じた場合、その修繕が必要となった原因が賃借人の責めに帰すべき事由にあるときでも、賃貸人は修繕する義務を免れない。

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正解 ×

誤り。賃貸人は賃借物の使用及び収益に必要な修繕をする義務を負うが、賃借人の責めに帰すべき事由によってその修繕が必要となったときはこの限りでないとされる。例えば賃借人の不注意で雨戸を壊したような場合の修繕は賃貸人の義務とならず、賃借人自身の負担となる。

学習ポイント:修繕義務は原則賃貸人にあるが、賃借人の責めに帰すべき事由による修繕は例外として負わない。

第606条第1項ただし書

賃借人による修繕と賃貸人の承諾の不要

賃借物に修繕が必要となった場合、賃借人がその旨を賃貸人に通知したにもかかわらず賃貸人が相当の期間内に修繕をしないときは、賃借人は賃貸人の承諾を得なくても自らその修繕をすることができる。

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正解 ○

正しい。賃借物の修繕が必要な場合において、賃借人が賃貸人に修繕が必要である旨を通知し、又は賃貸人がその旨を知ったにもかかわらず、賃貸人が相当の期間内に必要な修繕をしないときは、賃借人は自ら修繕をすることができる。賃貸人の承諾は要件ではなく、急迫の事情があるときは通知さえ不要である。

学習ポイント:賃借人が自ら修繕するのに賃貸人の承諾は不要。通知後の相当期間経過か急迫が要件。

関連:第607条の2第1項、第606条第1項

この条文を解説で参照する過去問

行政書士平成30年 問32イ

借主は、目的物の使用および収益に必要な修繕費を負担しなければならない。

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必要な修繕費の借主負担は使用貸借のみ(595条1項)。賃貸借では貸主の修繕義務(606条)。使用貸借のみ。

司法書士令和3年度 問19ウ

賃貸人は、賃借人の責めに帰すべき事由によって修繕が必要となったときでも、賃貸物の使用及び収益に必要な修繕をする義務を負う。

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誤り

誤り。賃貸人は使用収益に必要な修繕義務を負うが、賃借人の責めに帰すべき事由によって修繕が必要となったときは、この限りではない(606条1項但書)。

司法書士平成25年度 問10ウ

Bは、Aに対し、甲土地の使用及び収益に必要な修繕をする義務を負う。

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賃借権の場合にのみ正しい。賃貸人は使用収益に必要な修繕義務を負うが(民法606条1項)、地上権設定者にはこの義務はない。

宅建令和5年 問9肢1

甲建物の修繕が必要であることを、Aが知ったにもかかわらず、Aが相当の期間内に必要な修繕をしないときは、Bは甲建物の修繕をすることができる。

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正しい

正しい。貸主が修繕の必要を知りながら相当期間修繕しないときは借主が修繕できる(民法606条2項1号)。

宅建令和5年 問9肢3

Bの責めに帰すべき事由によって甲建物の修繕が必要となった場合は、Aは甲建物を修繕する義務を負わない。

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正しい

正しい。借主の責めに帰すべき事由による修繕必要は貸主の修繕義務の対象外(民法606条1項ただし書)。

宅建令和2年12月 問12肢1

当該建物の修繕が必要である場合において、BがAに修繕が必要である旨を通知したにもかかわらずAが相当の期間内に必要な修繕をしないときは、Bは自ら修繕をすることができる。

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正しい

正しい。貸主が相当期間内に修繕しないときは借主が自ら修繕できる(民法606条2項)。

宅建平成25年 問8肢4

建物の賃貸人が賃貸物の保存に必要な修繕をする場合、賃借人は修繕工事のため使用収益に支障が生じても、これを拒むことはできない。

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正しい

正しい。賃貸物の保存に必要な修繕を賃貸人が行う場合、賃借人はこれを拒むことができない(民法606条2項)。

賃管令和7年度 問3肢1

賃貸借契約において、賃貸人の修繕義務を免除し賃借人に修繕義務を課す特約も有効である。

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正しい

正しい。賃貸人の修繕義務は任意規定であり、賃借人に修繕義務を課す特約も有効である。

賃管令和3年度 問7肢4

震災等の不可抗力により賃貸住宅の設備の一部が損傷した場合、貸主はその修繕を拒むことができる。

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誤り

誤り。不可抗力による損傷でも貸主は建物の修繕義務を負い(民法606条)、修繕を拒むことはできない。

賃管平成30年度 問16肢1

地震により賃貸建物が一部滅失した場合、修繕が物理的経済的に可能であったとしても、貸主は修繕義務を負わない。

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誤り

誤り。一部滅失で修繕が可能な場合、不可抗力でも貸主は修繕義務を負う(民法606条)。

ほか3肢は、各過去問のページで確認できます。

問題で確認する

第606条の内容は2問の〇×問題と1問の条文穴埋めで確認できます。