第三編 債権/第二章 契約/第七節 賃貸借/第二款 賃貸借の効力
民法 第611条(賃借物の一部滅失等による賃料の減額等)
重要度は過去問の出題年度などをもとにした当サイトの評価です。
この条の要点
- 一部使用不能による賃料減額の帰責要件:一部使用不能による当然減額は、賃借人に責めのない事由が条件。自分の過失では賃料は減らない。
- 全部使用不能と一部使用不能の効果の違い:全部の使用不能なら当然終了、一部なら減額と条件付きの解除。滅失の範囲で効果を分ける。
条文原文
色付きの語句は試験で問われる重要な語句です。
第611条(賃借物の一部滅失等による賃料の減額等)
賃借物の一部が滅失その他の事由により使用及び収益をすることができなくなった場合において、それが賃借人の責めに帰することができない事由によるものであるときは、賃料は、その使用及び収益をすることができなくなった部分の割合に応じて、減額される。
②賃借物の一部が滅失その他の事由により使用及び収益をすることができなくなった場合において、残存する部分のみでは賃借人が賃借をした目的を達することができないときは、賃借人は、契約の解除をすることができる。
この条文の〇×問題(2問)
一部使用不能による賃料減額の帰責要件
賃借している建物の一部が火災で焼失して使えなくなった場合、たとえ火災が賃借人の過失によって起きたものでも、賃料は使えなくなった部分の割合に応じて当然に減額される。
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正解 ×
誤り。民法611条1項の当然減額は、使用収益できなくなったことが賃借人の責めに帰することができない事由による場合に限られる。賃借人の過失で焼失した部分について賃料は減額されず、むしろ賃借人が損害賠償責任を負い得る。
学習ポイント:一部使用不能による当然減額は、賃借人に責めのない事由が条件。自分の過失では賃料は減らない。
第611条1項
全部使用不能と一部使用不能の効果の違い
賃借している建物が全焼して使用収益が全くできなくなった場合、賃貸借は解除の意思表示を待たずに終了する。一部だけが失われた場合はこの扱いにならず、残った部分だけでは賃借の目的を達せられないときに限り、賃借人が契約を解除できる。
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正解 ○
正しい。民法616条の2は、賃借物の全部が滅失その他の事由により使用収益できなくなった場合に賃貸借が終了すると定め、解除の意思表示を要しない。611条2項は一部使用不能について、残存部分だけでは賃借の目的を達成できないときに限り賃借人の解除を認める。
学習ポイント:全部の使用不能なら当然終了、一部なら減額と条件付きの解除。滅失の範囲で効果を分ける。
第611条2項、関連:第616条の2
根拠・関連条文
この条文を解説で参照する過去問
司法書士令和7年度 問19ウ
賃借人の責めに帰すべき事由によって賃借物の一部が滅失し、使用及び収益をすることができなくなった場合において、残存する部分のみでは賃借人が賃借をした目的を達することができないときは、賃借人は、賃貸借の解除をすることができる。
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正しい
正しい。賃借物の一部が滅失等により使用収益できなくなった場合、残存部分のみでは賃借の目的を達せられないときは賃借人は解除できる(611条2項)。平成29年改正により賃借人の帰責事由の有無を問わなくなった。
司法書士令和3年度 問19オ
賃借物の一部が滅失し、使用及び収益をすることができなくなった場合であっても、それが賃貸人の責めに帰すべき事由によるものでなければ、その賃料が減額されることはない。
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誤り
誤り。賃借物の一部が滅失等により使用収益ができなくなった場合、賃借人の責めに帰することができない事由によるときは、その部分の割合に応じて賃料が当然に減額される(611条1項)。賃貸人の帰責事由は不要である。
賃管令和7年度 問3肢3
賃貸人が修繕を怠ったことにより賃貸物件を全く使用収益することができなかった場合、賃借人はその期間の賃料支払義務を免れる。
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正しい
正しい。賃貸人の修繕怠りにより全く使用収益できない期間については賃料支払義務を免れる。
賃管令和4年度 問23肢1
大地震により賃貸住宅の一部が倒壊し、契約の目的を達することができなくなった場合、賃貸借契約は終了し、借主の賃料支払義務は消滅する。
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誤り
誤り。一部滅失で契約の目的を達することができなくなっても賃貸借は当然には終了せず、借主が解除することができるにとどまる。
賃管令和4年度 問23肢2
大地震により賃貸住宅の一部が滅失した場合(ただし、契約の目的を達することは未だできるものとする。)、借主が賃料の減額請求をすることで賃料は減額される。
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誤り
誤り。一部滅失による賃料の減額は請求を要せず当然に生じ、減額請求は形成権ではない。
解説で第611条を参照している問
問題で確認する
第611条の内容は2問の〇×問題と1問の条文穴埋めで確認できます。