第三編 債権/第四章 不当利得
民法 第708条(不法原因給付)
重要度は過去問の出題年度などをもとにした当サイトの評価です。
この条の要点
- 受益者にのみ不法な原因がある給付:不法原因が給付者と受益者の双方にあるときのみ返還不可で、受益者のみにあれば請求できる。
- 不法原因給付における所有権の移転:不法原因の給付でも目的物の所有権は受益者に移転し、否定されるのは返還請求だけである。
条文原文
色付きの語句は試験で問われる重要な語句です。
第708条(不法原因給付)
不法な原因のために給付をした者は、その給付したものの返還を請求することができない。ただし、不法な原因が受益者についてのみ存したときは、この限りでない。
この条文の〇×問題(2問)
受益者にのみ不法な原因がある給付
暴力団員に脅されて金銭を交付した者は、不法な原因のために給付をした者にあたるため、その交付した金銭の返還を請求することができない。
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正解 ×
誤り。不法な原因のために給付をした者は原則として返還を請求できないが、不法な原因が受益者についてのみ存したときは例外として請求できる。脅されて交付した者には不法な原因がなく、受益者たる暴力団員にのみ不法性があるため、返還を請求できる。
学習ポイント:不法原因が給付者と受益者の双方にあるときのみ返還不可で、受益者のみにあれば請求できる。
第708条ただし書
不法原因給付における所有権の移転
不法な原因のために金銭の給付がなされた場合でも、金銭の所有権は受益者に移転し、給付者は原則としてその返還を請求することができない。
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正解 ○
正しい。不法な原因のために給付がなされても、目的物の所有権は受益者に移転する。給付者には返還請求が認められないだけであり、所有権が移転しないとする理解は誤り。原因の不法性と給付の効力を混同しないことが肝要である。
学習ポイント:不法原因の給付でも目的物の所有権は受益者に移転し、否定されるのは返還請求だけである。
第708条
根拠・関連条文
この条文を解説で参照する過去問
行政書士令和7年 問34肢3
違法な賭博を目的とする契約に基づいて賭金を支払った者は、いつでも当該契約が無効であることを理由として、相手方に対して賭金の返還を求めることができる。
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妥当でない
不法原因給付(賭博の賭金)は民法708条により返還を請求できない。
行政書士平成25年 問34肢2
甲建物が未登記建物である場合において、Aが甲建物をBに引き渡したときには、Aは、Bに対して甲建物の返還を請求することはできない。
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正しい
不法原因給付(民法708条)として、未登記建物を引き渡した以上、Aは返還を請求できない(判例)。正しい。
行政書士平成25年 問34肢3
甲建物が未登記建物である場合において、Aが甲建物をBに引き渡した後に同建物についてA名義の保存登記をしたときには、Aは、Bに対して甲建物の返還を請求することができる。
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誤り
引渡し後にA名義の保存登記をしても不法原因給付は既に成立しており、返還請求はできない(判例)。誤り。
行政書士平成25年 問34肢5
贈与契約のいきさつにおいて、Aの不法性がBの不法性に比してきわめて微弱なものであっても、Aが未登記建物である甲建物をBに引き渡したときには、Aは、Bに対して甲建物の返還を請求することはできない。
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誤り
給付者Aの不法性が受益者Bに比して著しく微弱なときは708条ただし書により返還を請求しうる(判例)。誤り。
行政書士平成22年 問33イ
Aは、賭博に負けたことによる債務の弁済として、Bに高価な骨董品を引き渡したが、その後、A・B間でBがこの骨董品をAに返還する旨の契約をした。この場合に、Aは、Bに対し、この骨董品の返還を請求することができる。
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正しい
不法原因給付でも、その後に返還を約する別個の契約があれば、その契約に基づく返還請求ができる(判例)。正しい。
行政書士平成22年 問33エ
Aは、Bとの愛人関係を維持するために、自己の有する未登記建物をBに贈与し、これを引き渡した。この場合に、Aは、Bに対し、不当利得としてこの建物の返還を請求することができる。
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誤り
愛人関係維持目的の贈与は不法原因給付(708条)にあたり、不法の原因が給付者にある以上返還請求できない(判例)。誤り。
解説で第708条を参照している問
問題で確認する
第708条の内容は2問の〇×問題と1問の条文穴埋めで確認できます。