資格ジュピター条文穴埋め・判例演習

第四編 親族/第五章 後見/第三節 後見の事務

民法 第860条(利益相反行為)

分野:後見

出題試験:宅建重要度 中行政書士重要度 中司法書士重要度 中

重要度は過去問の出題年度などをもとにした当サイトの評価です。

条文原文

色付きの語句は試験で問われる重要な語句です。

第860条(利益相反行為)

第八百二十六条の規定は、後見人について準用する。ただし、後見監督人がある場合は、この限りでない。

条文の要点

後見人の利益相反行為とは、後見人又はその代表する者と被後見人との利益が相反する行為で、後見人がそのまま代表できないものです(860条)。

利益が相反する行為では後見人は被後見人を代表できず、家庭裁判所に特別代理人の選任を請求しなければなりません。ただし後見監督人があるときは、監督人が被後見人を代表します。

後見人の利益相反行為の扱い

特別代理人の選任請求は後見人がするもので、家庭裁判所の許可を受ける手続ではありません。後見監督人がいる場合は選任請求は不要で、利益相反行為については監督人が被後見人を代表します。後見人が代表する数人の被後見人どうしの利益が相反する行為も対象です。

項役割内容
1項要件後見人と被後見人、又は後見人の代表する者どうしの利益が相反する行為であること
1項効果後見人は被後見人のために特別代理人の選任を家庭裁判所に請求する(826条の準用)
1項ただし書例外後見監督人があるときは特別代理人の請求は要らず、監督人が代表する

具体例

成年後見人Aが、被後見人Bの不動産に、A自身の借入れの担保として抵当権を設定しようとしています。

AとBの利益が相反するため、AはBのために特別代理人の選任を家庭裁判所に請求しなければなりません。

反例(結論が変わる)

同じ設定で、Bに後見監督人Cが選任されている場合に変えます。

特別代理人の選任請求は要らず、監督人CがBを代表して、その利益を守る立場で設定の可否を判断します。

関連条との違い

  • 民法 第826条:826条は親権者と子の利益相反を定め、860条がこれを後見人に準用する。要件は準用元の条文を見て確かめる
  • 民法 第108条:任意代理の利益相反行為は無権代理の行為とみなされ、本人の許諾があれば有効。後見は特別代理人や監督人を立てて処理する
  • 民法 第851条:後見監督人の職務に利益相反行為での代表が挙げられており、860条ただし書の例外の根拠になる

過去問で誤りとされた肢の型

  • 司法書士平成27年度 問21ウ

    利益相反行為には家庭裁判所の許可が要るとする誤り。必要なのは許可ではなく特別代理人の選任

  • 司法書士令和4年度 問21オ

    後見監督人が特別代理人の選任を請求しなければならないとする誤り。監督人があるときは監督人が代表し請求は不要

  • 行政書士平成23年 問35肢2

    後見監督人がいても後見人は特別代理人の選任を請求しなければならないとする誤り。ただし書が請求を不要にする

ほかの誤り肢は「この条文を解説で参照する過去問」で確認できます。

法令版: 2026年6月24日施行版

この条文を解説で参照する過去問

行政書士平成23年 問35肢2

後見人と被後見人との利益が相反する行為については、後見監督人がある場合でも、後見人は、被後見人のために特別代理人を選任することを家庭裁判所に請求しなければならない。

正誤と理由を見る

誤り

利益相反行為について後見監督人があるときは監督人が被後見人を代理する(851条4号・860条ただし書)ので、特別代理人の選任請求は不要。誤り。

司法書士令和4年度 問21オ

成年後見監督人は、成年後見人と成年被後見人との利益が相反する行為については、成年被後見人のために特別代理人を選任することを家庭裁判所に請求しなければならない。

正誤と理由を見る

誤り

誤り。利益相反行為について特別代理人の選任請求をするのは成年後見人であり、後見監督人があるときは不要である(860条但書)。

司法書士平成28年度 問21ウ

未成年後見人が数人あるときは、家庭裁判所は、その中から、職権で、未成年被後見人の財産を管理する者を定めなければならない。

正誤と理由を見る

誤り

誤り。未成年後見人が数人あるとき、家庭裁判所は職権で財産を管理する者を定めることができるのであって、必須ではない(民法860条2項)。

司法書士平成27年度 問21ウ

成年後見人は、成年被後見人との利益が相反する行為をするには、家庭裁判所の許可を得なければならない。

正誤と理由を見る

誤り

誤り。成年後見人と成年被後見人の利益が相反する行為については特別代理人の選任を要するものであり、家庭裁判所の許可を要するものではない(民法860条・826条)。

マン管令和元年度 問17肢1

Bが金融機関から自己を債務者として融資を受けるに当たり、201号室の区分所有権全部について抵当権を設定しようとする場合に、Cの持分に係る抵当権の設定については、BはCのために特別代理人を選任することを家庭裁判所に請求しなければならない。

正誤と理由を見る

正しい

正しい。Bが自己の債務のためCの持分を含む区分所有権に抵当権を設定するのは利益相反行為で、Cのための特別代理人選任を要する。

問題で確認する

第860条の内容は1問の条文穴埋めで確認できます。