資格ジュピター条文穴埋め・判例演習

第五編 組織変更、合併、会社分割、株式交換、株式移転及び株式交付/第三章 会社分割/第一節 吸収分割/第二款 株式会社に権利義務を承継させる吸収分割

会社法 第759条(株式会社に権利義務を承継させる吸収分割の効力の発生等)

分野:組織変更・合併・会社分割・株式交換等

出題試験:行政書士司法書士

この条の要点

  • 催告を受けなかった債権者の保護:催告を受けない異議権者は契約の請求排除を覆せる。限度は効力発生日の財産価額。
  • 残存債権者に対する承継会社の責任:分割会社の倒産手続開始で承継会社への請求は不可に。例外中の例外に注意。

条文原文

色付きの語句は試験で問われる重要な語句です。

第759条(株式会社に権利義務を承継させる吸収分割の効力の発生等)

吸収分割承継株式会社は、効力発生日に、吸収分割契約の定めに従い、吸収分割会社の権利義務を承継する。

②前項の規定にかかわらず、第七百八十九条第一項第二号(第七百九十三条第二項において準用する場合を含む。次項において同じ。)の規定により異議を述べることができる吸収分割会社の債権者であって、第七百八十九条第二項(第三号を除き、第七百九十三条第二項において準用する場合を含む。次項において同じ。)の各別の催告を受けなかったもの(第七百八十九条第三項(第七百九十三条第二項において準用する場合を含む。)に規定する場合にあっては、不法行為によって生じた債務の債権者であるものに限る。次項において同じ。)は、吸収分割契約において吸収分割後に吸収分割会社に対して債務の履行を請求することができないものとされているときであっても、吸収分割会社に対して、吸収分割会社が効力発生日に有していた財産の価額を限度として、当該債務の履行を請求することができる。

③第一項の規定にかかわらず、第七百八十九条第一項第二号の規定により異議を述べることができる吸収分割会社の債権者であって、同条第二項の各別の催告を受けなかったものは、吸収分割契約において吸収分割後に吸収分割承継株式会社に対して債務の履行を請求することができないものとされているときであっても、吸収分割承継株式会社に対して、承継した財産の価額を限度として、当該債務の履行を請求することができる。

④第一項の規定にかかわらず、吸収分割会社が吸収分割承継株式会社に承継されない債務の債権者(以下この条において「残存債権者」という。)を害することを知って吸収分割をした場合には、残存債権者は、吸収分割承継株式会社に対して、承継した財産の価額を限度として、当該債務の履行を請求することができる。ただし、吸収分割承継株式会社が吸収分割の効力が生じた時において残存債権者を害することを知らなかったときは、この限りでない。

⑤前項の規定は、前条第八号に掲げる事項についての定めがある場合には、適用しない。

⑥吸収分割承継株式会社が第四項の規定により同項の債務を履行する責任を負う場合には、当該責任は、吸収分割会社が残存債権者を害することを知って吸収分割をしたことを知った時から二年以内に請求又は請求の予告をしない残存債権者に対しては、その期間を経過した時に消滅する。効力発生日から十年を経過したときも、同様とする。

⑦吸収分割会社について破産手続開始の決定、再生手続開始の決定又は更生手続開始の決定があったときは、残存債権者は、吸収分割承継株式会社に対して第四項の規定による請求をする権利を行使することができない。

⑧次の各号に掲げる場合には、吸収分割会社は、効力発生日に、吸収分割契約の定めに従い、当該各号に定める者となる。

一 前条第四号イに掲げる事項についての定めがある場合同号イの株式の株主

二 前条第四号ロに掲げる事項についての定めがある場合同号ロの社債の社債権者

三 前条第四号ハに掲げる事項についての定めがある場合同号ハの新株予約権の新株予約権者

四 前条第四号ニに掲げる事項についての定めがある場合同号ニの新株予約権付社債についての社債の社債権者及び当該新株予約権付社債に付された新株予約権の新株予約権者

⑨前条第五号に規定する場合には、効力発生日に、吸収分割契約新株予約権は、消滅し、当該吸収分割契約新株予約権の新株予約権者は、同条第六号に掲げる事項についての定めに従い、同条第五号ロの吸収分割承継株式会社の新株予約権の新株予約権者となる。

⑩前各項の規定は、第七百八十九条(第一項第三号及び第二項第三号を除き、第七百九十三条第二項において準用する場合を含む。)若しくは第七百九十九条の規定による手続が終了していない場合又は吸収分割を中止した場合には、適用しない。

この条文の〇×問題(2問)

催告を受けなかった債権者の保護

吸収分割で異議を述べることができる分割会社の債権者が各別の催告を受けなかった場合、分割契約で分割会社への履行請求が排除されていても、分割会社に対して効力発生日に有していた財産の価額を限度として履行を請求できる。

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正解 ○

正しい。吸収分割で異議を述べることができる債権者が各別の催告を受けなかった場合、分割契約で分割会社への履行請求を排除する定めがあっても、分割会社に対し効力発生日に有していた財産の価額を限度に履行を請求できる。未催告債権者を保護する特則である。

学習ポイント:催告を受けない異議権者は契約の請求排除を覆せる。限度は効力発生日の財産価額。

第759条2項・第789条1項2号

残存債権者に対する承継会社の責任

吸収分割会社が残存債権者を害すると知って分割し、承継株式会社もそのことを知っていた場合でも、分割会社に破産手続開始の決定があった後は、残存債権者は承継株式会社への履行請求権を行使できなくなる。

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正解 ○

正しい。吸収分割会社が残存債権者を害することを知って吸収分割をした場合、残存債権者は承継株式会社に対し、承継した財産の価額を限度として履行を請求できる(759条4項)。しかし、分割会社について破産・再生・更生手続開始の決定があったときは、この請求権を行使できない(同条7項)。

学習ポイント:分割会社の倒産手続開始で承継会社への請求は不可に。例外中の例外に注意。

第759条4項・7項

この条文を解説で参照する過去問

司法書士令和7年度 問34ア

吸収分割承継株式会社は、吸収分割の登記をした日に、吸収分割契約の定めに従い、吸収分割株式会社の権利義務を承継する。

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誤り

誤り。吸収分割承継株式会社は吸収分割契約で定めた「効力発生日」に権利義務を承継する(759条1項・758条7号)のであり、登記の日ではない。

司法書士令和2年度 問34エ

吸収分割株式会社の不法行為によって生じた債務の債権者であって吸収分割契約において吸収分割後に吸収分割株式会社に対して債務の履行を請求することができないものとされているものに対して各別の催告がされなかったときは、当該債権者は、その者が吸収分割株式会社に知れていないものであっても、吸収分割株式会社に対し、吸収分割株式会社が吸収分割の効力の発生の日に有していた財産の価額を限度として、債務の履行を請求することができる。

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正しい

正しい。不法行為による債務の債権者で各別の催告を受けなかったものは、分割契約で分割会社への請求ができないものとされていても、分割会社に対し効力発生日に有していた財産の価額を限度として履行を請求できる(会社法759条2項・789条3項)。

司法書士令和2年度 問34オ

吸収分割株式会社が吸収分割承継株式会社に承継されない債務の債権者(以下「残存債権者」という。)を害することを知って吸収分割をした場合には、残存債権者は、吸収分割承継株式会社が吸収分割の効力が生じた時において残存債権者を害することを知らなかったとしても、当該吸収分割承継株式会社に対し、当該債務の履行を請求することができる。

正誤と理由を見る

誤り

誤り。分割会社が残存債権者を害することを知って吸収分割をした場合でも、承継会社が効力発生時に残存債権者を害することを知らなかったときは、承継会社に対する履行請求はできない(会社法759条4項ただし書)。

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第759条の内容は2問の〇×問題と1問の条文穴埋めで確認できます。