資格ジュピター条文穴埋め・判例演習

第四章 登記手続/第一節 総則

不動産登記法 第17条(代理権の不消滅)

分野:登記手続/総則

出題試験:司法書士

この条の要点

  • 本人死亡と代理権の存続:委任代理人の権限は本人死亡でも消滅しない。登記法の特例。
  • 代理権が消滅しない事由の範囲:消滅しない事由は法定四類型。破産手続開始は含まれない。

条文原文

色付きの語句は試験で問われる重要な語句です。

第17条(代理権の不消滅)

登記の申請をする者の委任による代理人の権限は、次に掲げる事由によっては、消滅しない。

一 本人の死亡

二 本人である法人の合併による消滅

三 本人である受託者の信託に関する任務の終了

四 法定代理人の死亡又はその代理権の消滅若しくは変更

条文の要点

代理権の不消滅とは、登記申請をする者の委任による代理人の権限が、本人の死亡や法人の合併による消滅などの事由でも消えないことです(17条)。

民法では委任は本人の死亡で終わるのが原則ですが、登記手続では代理権が存続して申請を続行できます。消滅しない事由は本人の死亡・法人の合併による消滅・信託任務の終了・法定代理人の死亡や代理権の消滅・変更の4類型です。

代理権の不消滅の適用範囲

委任による代理人に限られ、法定代理人には適用されません。法人代表者が辞任・交代しても委任は消えず、後任の代表者からの再委任なしに同じ委任状で申請できます。本人の破産手続開始の決定は消滅しない事由に含まれません。

項役割内容
1項1号効果本人が死亡しても委任代理人の権限は存続する
1項2号効果本人の法人が合併で消滅しても権限は存続する
1項3号効果本人の受託者の信託任務が終了しても権限は存続する
1項4号効果委任した法定代理人の死亡・代理権の消滅や変更でも権限は存続する

具体例

成人Aが司法書士CにAを申請人とする登記申請を委任した。その後、申請前にAが死亡した。委任の存続に関する特約はない。

本人の死亡は17条1号の不消滅事由なので、Cの登記申請の委任代理権は存続する。

反例(結論が変わる)

同じ設定で、Aに生じた事由だけを死亡から破産手続開始の決定に変える。

本人の破産は17条の不消滅事由ではない。民法653条2号により委任が終了し、従前の委任だけではCの代理権は存続しない。

関連条との違い

  • 民法 第111条:民法111条では委任代理・法定代理を問わず本人の死亡で代理権が消える。17条は登記申請の委任代理人に限り消えないとする特例
  • 民法 第653条:653条は死亡・破産等による委任の終了を定める。17条が列挙する不消滅事由に本人の破産は含まれない

過去問で誤りとされた肢の型

  • 司法書士令和4年度 問55ア

    法人代表者の辞任・交代で委任が消え再委任が要るとする誤り。法定代理人の変更は不消滅事由

  • 宅建令和3年10月 問14肢2

    本人の死亡で委任代理人の権限が消えるとする誤り。登記申請では存続する

ほかの誤り肢は「この条文を解説で参照する過去問」で確認できます。

法令版: 2026年6月24日施行版

この条文の〇×問題(2問)

本人死亡と代理権の存続

登記の申請を委任した本人が申請手続の途中で死亡しても、委任による代理人の権限は消滅せず、その代理人は引き続き登記申請の手続をすることができる。

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正解 ○

正しい。委任による代理人の権限は本人の死亡によっては消滅しないとされ、委任が本人の死亡で終了するという一般原則に対する特例である。代理人は本人死亡後も登記申請手続を続行できる。民法では委任は本人の死亡で終了するのが原則だが、登記申請手続では代理権が消滅しない特例が置かれている点を確認する。

学習ポイント:委任代理人の権限は本人死亡でも消滅しない。登記法の特例。

第17条1号

代理権が消滅しない事由の範囲

委任による代理人の権限が消滅しない事由には、本人である受託者の信託に関する任務の終了のほか、本人について破産手続開始の決定があった場合も含まれる。

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正解 ×

誤り。代理権が消滅しない事由は、本人の死亡、本人である法人の合併による消滅、本人である受託者の信託に関する任務の終了、法定代理人の死亡又はその代理権の消滅・変更の四つに限られる。破産手続開始は含まれない。消滅しない事由は死亡・法人合併・信託任務終了・法定代理人の事由の四類型に限定され、破産手続開始は含まれない。

学習ポイント:消滅しない事由は法定四類型。破産手続開始は含まれない。

第17条1号〜4号

この条文を解説で参照する過去問

司法書士令和7年度 問47ア

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誤り

誤り。委任による代理人の権限は本人の死亡で消滅しない(不登法17条1号)が、Bは「法定代理人」(親権者)であって委任による代理人ではない。法定代理人の代理権は本人の死亡により消滅する(民111条1項1号)ため、代理権は消滅する。

司法書士令和4年度 問55ア

司法書士Aが、法人Bの唯一の代表者Cから法人Bを申請人とする登記申請の委任を受けた後、Cが法人Bの代表者を辞任し、新たに代表者Dが就任した場合には、A は、Dから改めて当該登記申請の委任を受けなければ、法人Bを代理して当該登記申請をすることができない。

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誤り

誤り。委任による代理権は法定代理人(法人代表者を含む)の辞任・変更によっては消滅せず(17条4号・平5.7.30民三5320号通達)、前任代表者の委任状で申請できる。

司法書士平成28年度 問49イ

司法書士Xが、株式会社の代表取締役Aから同社を申請人とする登記の申請について委任を受けた場合において、当該委任後にAが代表取締役を辞任したときは、Xは、当該委任に係る登記を申請することができない。

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誤り

誤り。登記の申請をする者の委任による代理人の権限は、法定代理人(法人の代表者を含む)の代理権の消滅によっては消滅しないから(不動産登記法17条4号)、委任後にAが代表取締役を辞任しても、Xは当該委任に係る登記を申請できる。

宅建令和3年10月 問14肢2

登記の申請をする者の委任による代理人の権限は、本人の死亡によって消滅する。

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誤り

誤り。登記申請の委任による代理権は本人の死亡で消滅しない(不動産登記法17条1号)。

宅建令和元年 問14肢4

登記の申請をする者の委任による代理人の権限は、本人の死亡によっては、消滅しない。

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正しい

正しい。委任代理人の権限は本人の死亡で消滅しない(不動産登記法17条1号)。

問題で確認する

第17条の内容は2問の〇×問題と1問の条文穴埋めで確認できます。