資格ジュピター条文穴埋め・判例演習

第一編 総則/第五章 法律行為/第三節 代理

民法 第111条(代理権の消滅事由)

分野:代理

出題試験:宅建重要度 高行政書士重要度 中司法書士重要度 高賃貸不動産経営管理士重要度 中マンション管理士重要度 中管理業務主任者重要度 中

重要度は過去問の出題年度などをもとにした当サイトの評価です。

この条の要点

  • 本人の後見開始と代理権消滅事由の非対称性:本人の後見開始では代理権は消滅しない。委任による代理権は委任者の破産でも消滅する。
  • 委任の終了による消滅が委任代理に限られること:委任の終了で消滅するのは委任による代理権のみ。法定代理権は定められた消滅事由による。

条文原文

色付きの語句は試験で問われる重要な語句です。

第111条(代理権の消滅事由)

代理権は、次に掲げる事由によって消滅する。

一 本人の死亡

二 代理人の死亡又は代理人が破産手続開始の決定若しくは後見開始の審判を受けたこと。

②委任による代理権は、前項各号に掲げる事由のほか、委任の終了によって消滅する。

条文の要点

代理権の消滅事由とは、代理権が当然に失われる原因で、本人の死亡と、代理人の死亡・破産手続開始の決定・後見開始の審判です(111条1項)。

本人側の消滅事由は死亡だけで、本人の後見開始や破産は含まれません。委任による代理権はこれらに加えて委任の終了で消滅し、委任は委任者の破産でも終了します。

代理権の消滅事由の非対称

代理人側は死亡・破産手続開始・後見開始の3つですが、本人側は死亡だけです。保佐開始・補助開始の審判はどちら側にも入りません。法定代理人の代理権は委任に基づかないので、委任の終了では消滅しません。

項役割内容
1項1号要件本人の死亡
1項2号要件代理人の死亡、破産手続開始の決定、後見開始の審判
2項効果委任による代理権はさらに、委任の終了によっても消滅する

具体例

Aの代理人Bが後見開始の審判を受けました。

代理人の後見開始の審判は1項2号の消滅事由なので、Bの代理権は消滅します。

反例(結論が変わる)

同じ設定で、Bが受けたのが保佐開始の審判だった場合に変えます。

保佐開始の審判は消滅事由に含まれないため、Bの代理権は消滅しません。

関連条との違い

  • 民法 第653条:委任の終了事由は委任者・受任者の死亡と破産手続開始、受任者の後見開始。委任代理権はこの終了でも消滅する
  • 民法 第112条:代理権消滅後に代理人が権限内の行為をしても、消滅を知らず過失のない第三者には本人が責任を負う
  • 民法 第655条:委任の終了事由は、相手方への通知又は相手方の認識がなければ対抗できない

過去問で誤りとされた肢の型

  • 司法書士令和4年度 問5ウ

    代理人の保佐開始で代理権が消滅するとする誤り。代理人側の消滅事由は後見開始だけ

  • 司法書士令和7年度 問47ア

    法定代理人の代理権が本人の死亡でも消滅しないとする誤り。本人の死亡は1項1号の消滅事由

  • 司法書士平成30年度 問5ア

    委任者の破産では委任代理権が消滅しないとする誤り。委任者の破産で委任が終了し代理権も消滅する

ほかの誤り肢は「この条文を解説で参照する過去問」で確認できます。

法令版: 2026年6月24日施行版

この条文の〇×問題(2問)

本人の後見開始と代理権消滅事由の非対称性

委任による代理権は、代理人が後見開始の審判を受けた場合に消滅するのと同様に、本人が後見開始の審判を受けた場合にも消滅する。

正解と解説を見る

正解 ×

誤り。111条1項は、本人の死亡、代理人の死亡・破産手続開始の決定・後見開始の審判を代理権の消滅事由とし、本人の後見開始の審判は含まない。委任による代理権は委任の終了によっても消滅するが(同条2項)、653条の終了事由も委任者側は死亡・破産手続開始の決定であり、委任者の後見開始は含まれない。

学習ポイント:本人の後見開始では代理権は消滅しない。委任による代理権は委任者の破産でも消滅する。

第111条1項・2項、関連:第653条

委任の終了による消滅が委任代理に限られること

法定代理人の代理権は、本人と法定代理人との間に委任契約が存在しないため、委任の終了によっては消滅せず、本人又は代理人の死亡等の法律に定める消滅事由によってのみ消滅する。

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正解 ○

正しい。民法111条2項は、委任の終了を消滅事由とするのは委任による代理権に限ると定める。法定代理人の代理権は委任契約に基づかないため、同条1項に掲げる死亡等の法定の消滅事由によってのみ消滅し、委任終了の類推はできない。

学習ポイント:委任の終了で消滅するのは委任による代理権のみ。法定代理権は定められた消滅事由による。

第111条2項

この条文を解説で参照する過去問

行政書士令和7年 問28ウ

法定代理人も任意代理人も、本人が死亡した場合には当然に代理権を失うが、任意代理については、本人と任意代理人との間に本人が死亡した後も代理権が存続する旨の合意がある場合には、本人が死亡した後も代理権が存続する。

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代理権は原則本人の死亡で消滅するが、任意代理では死後も代理権が存続する旨の合意があれば存続する(民法111条・653条)。

司法書士令和7年度 問6オ

代理権は、代理人が後見開始の審判を受けたことによって消滅する。

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正しい

正しい。代理権は代理人が後見開始の審判を受けたことによって消滅する(111条1項2号)。

司法書士令和7年度 問47ア

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誤り

誤り。委任による代理人の権限は本人の死亡で消滅しない(不登法17条1号)が、Bは「法定代理人」(親権者)であって委任による代理人ではない。法定代理人の代理権は本人の死亡により消滅する(民111条1項1号)ため、代理権は消滅する。

司法書士令和4年度 問5ウ

代理人が保佐開始の審判を受けた場合には、代理権は消滅する。

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誤り

誤り。代理権の消滅事由は、本人・代理人の死亡、代理人の破産手続開始・後見開始の審判であり(111条)、保佐開始は含まれない。

司法書士平成30年度 問5ア

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誤り

誤り。委任は委任者が破産手続開始の決定を受けたことによって終了し(民法653条2号)、委任による代理権は委任の終了によって消滅するから(111条2項)、Aが破産手続開始の決定を受けるとBの代理権は消滅する。

宅建平成24年 問14肢1

登記の申請をする者の委任による代理人の権限は、本人の死亡によっては、消滅しない。

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正しい

正しい。委任による代理権は本人の死亡によって消滅しない(民法111条1項)。登記申請の委任も同様。

問題で確認する

第111条の内容は2問の〇×問題と1問の条文穴埋めで確認できます。