資格ジュピター条文穴埋め・判例演習

第三編 債権/第二章 契約/第十節 委任

民法 第653条(委任の終了事由)

分野:委任・寄託

出題試験:宅建重要度 高行政書士重要度 中司法書士重要度 中賃貸不動産経営管理士重要度 中マンション管理士重要度 中管理業務主任者重要度 中

重要度は過去問の出題年度などをもとにした当サイトの評価です。

この条の要点

  • 委任の終了事由の相手方への対抗要件:終了事由の発生だけでは足りず、相手方への通知又は相手方の知があって初めて対抗できる。
  • 委任者の破産と代理権の消滅:本人の破産は代理権の消滅事由でなくても、委任の終了が代理権を消滅させる。

条文原文

色付きの語句は試験で問われる重要な語句です。

第653条(委任の終了事由)

委任は、次に掲げる事由によって終了する。

一 委任者又は受任者の死亡

二 委任者又は受任者が破産手続開始の決定を受けたこと。

三 受任者が後見開始の審判を受けたこと。

条文の要点

委任の終了事由とは、死亡・破産手続開始の決定・受任者の後見開始の審判という、意思によらず委任を終わらせる原因です(653条)。

終了事由があれば委任は当然に終了し、委任による代理権も委任の終了によって消えます。ただし終了事由は、相手方に通知するか相手方が知るまでは対抗できません。

委任の終了事由の非対称

死亡と破産手続開始の決定は委任者・受任者のどちらについても終了原因ですが、後見開始の審判は受任者についてだけです。委任者が後見開始の審判を受けても委任は終わらず、その場合は委任者の成年後見人が契約を引き継ぎます。受任者の相続人は受任者の地位を承継しません。

項役割内容
1号要件委任者・受任者のどちらかが死亡すること
2号要件委任者・受任者のどちらかが破産手続開始の決定を受けること
3号要件受任者が後見開始の審判を受けること。委任者の審判は含まれない

具体例

AがBに不動産管理を委任している間に、受任者Bが後見開始の審判を受けました。

受任者の後見開始は終了事由なので委任は終了し、委任による代理権も消えます。

反例(結論が変わる)

同じ設定で、後見開始の審判を受けたのが受任者Bではなく委任者Aだった場合に変えます。

委任者側の後見開始の審判は終了事由に含まれないため委任は続き、Aの成年後見人が委任者の立場で契約を処理します。

関連条との違い

  • 民法 第111条:本人の破産は代理権の消滅事由に列挙されないが、委任による代理権は委任の終了で消滅する(111条2項)。本人の破産でも代理権は消える
  • 民法 第655条:653条が終了の発生を定め、655条は終了事由を相手方に対抗できる時点を定める。終了の発生と対抗は別の段階
  • 民法 第597条:使用貸借が終了するのは借主の死亡だけで、貸主の死亡では終わらない。委任はどちらの死亡でも終わる

過去問で誤りとされた肢の型

  • マン管平成30年度 問16肢4

    委任者の後見開始の審判で委託契約が終了するとする誤り。3号が挙げるのは受任者の後見開始だけ

  • 宅建令和2年10月 問5肢4

    受任者の相続人が地位を承継して事務処理をしなければならないとする誤り。受任者の死亡で委任は終了する

  • 司法書士平成30年度 問19オ

    当事者のいずれかが後見開始の審判を受けても委任が終わるとする誤り。委任者側の後見開始は終了原因でない

ほかの誤り肢は「この条文を解説で参照する過去問」で確認できます。

法令版: 2026年6月24日施行版

この条文の〇×問題(2問)

委任の終了事由の相手方への対抗要件

受任者が死亡したことによって委任は終了するが、委任者にその旨の通知がされておらず、委任者がその事実を知ってもいなかった間は、受任者の相続人は、委任者に対して委任の終了を対抗することができない。

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正解 ○

正しい。受任者の死亡は委任の終了事由だが、655条により終了事由は相手方に通知したとき又は相手方がこれを知っていたときでなければ対抗できない。委任が終了したことを知らない委任者が委任関係の存続を信頼して行為することを保護するための対抗要件である。

学習ポイント:終了事由の発生だけでは足りず、相手方への通知又は相手方の知があって初めて対抗できる。

第653条1号、関連:第655条

委任者の破産と代理権の消滅

委任者が破産手続開始の決定を受けた場合、委任は終了するが、本人の破産は代理権の消滅事由とされていないため、受任者に与えられた代理権は消滅しない。

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正解 ×

誤り。委任者の破産手続開始の決定は委任の終了事由である。確かに代理権の消滅事由には本人の破産は列挙されていないが、委任による代理権は列挙事由のほか委任の終了によっても消滅する。委任の終了に伴い代理権も消滅するため、この記述は誤りである。

学習ポイント:本人の破産は代理権の消滅事由でなくても、委任の終了が代理権を消滅させる。

第653条2号、関連:第111条2項

この条文を解説で参照する過去問

行政書士令和7年 問28ウ

法定代理人も任意代理人も、本人が死亡した場合には当然に代理権を失うが、任意代理については、本人と任意代理人との間に本人が死亡した後も代理権が存続する旨の合意がある場合には、本人が死亡した後も代理権が存続する。

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代理権は原則本人の死亡で消滅するが、任意代理では死後も代理権が存続する旨の合意があれば存続する(民法111条・653条)。

司法書士令和8年度 問66エ

取締役が破産手続開始の決定を受けた場合には、登記原因を「資格喪失」として、当該取締役の退任の登記を申請しなければならない。

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誤り

誤り。破産者は取締役の欠格事由に含まれない(会社法331条)ため資格喪失にはならないが、受任者の破産による委任の終了(民法653条2号)により退任する。登記原因は「資格喪失」ではなく「退任」(破産手続開始の決定)となる。

司法書士平成30年度 問5ア

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誤り

誤り。委任は委任者が破産手続開始の決定を受けたことによって終了し(民法653条2号)、委任による代理権は委任の終了によって消滅するから(111条2項)、Aが破産手続開始の決定を受けるとBの代理権は消滅する。

司法書士平成30年度 問19オ

この契約は、当事者のいずれかが後見開始の審判を受けた場合には、終了する。

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誤り

誤り。委任が終了するのは受任者が後見開始の審判を受けた場合で(民法653条3号)、委任者の後見開始では終了しない。請負にはこの規定がない。いずれでも正しくない。

宅建令和3年10月 問3ア

AがBとの間でB所有建物の清掃に関する準委任契約を締結していた場合、Aの相続人は、Bとの間で特段の合意をしなくても、当該準委任契約に基づく清掃業務を行う義務を負う。

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誤り

誤り。準委任契約は受任者の死亡で終了し、相続人は義務を負わない(民法653条準用)。

宅建令和2年10月 問5肢4

Bが死亡した場合、Bの相続人は、急迫の事情の有無にかかわらず、受任者の地位を承継して委任事務を処理しなければならない。

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誤り

誤り。受任者の死亡で委任は終了し、相続人は地位を承継しない(民法653条)。

賃管平成30年度 問8肢2

委託者が死亡した場合、管理受託契約に特約がなくとも、相続人が管理受託契約の委託者となり、管理受託契約は終了しない。

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誤り

誤り。委任契約は委任者の死亡によって終了するのが原則である(民法653条)。

マン管平成30年度 問16肢4

Aが後見開始の審判を受けたときは、AB間の委託契約は終了する。

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誤り

誤り。委任者の後見開始の審判は委任の終了原因ではなく、委任は死亡・破産・受任者の死亡等で終了する。

問題で確認する

第653条の内容は2問の〇×問題と1問の条文穴埋めで確認できます。