借地借家法32条の過去問
借地借家法32条を根拠にした本試験の過去問を、宅建・賃管・管業・司法書士・マン管の5試験から12問・14肢集めました。 試験ごとの問われ方と、肢ごとの正誤の理由を確認できます。
借地借家法第32条の条文
第1項建物の借賃が、土地若しくは建物に対する租税その他の負担の増減により、土地若しくは建物の価格の上昇若しくは低下その他の経済事情の変動により、又は近傍同種の建物の借賃に比較して不相当となったときは、契約の条件にかかわらず、当…
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第1項建物の借賃が、土地若しくは建物に対する租税その他の負担の増減により、土地若しくは建物の価格の上昇若しくは低下その他の経済事情の変動により、又は近傍同種の建物の借賃に比較して不相当となったときは、契約の条件にかかわらず、当事者は、将来に向かって建物の借賃の額の増減を請求することができる。ただし、一定の期間建物の借賃を増額しない旨の特約がある場合には、その定めに従う。
第2項建物の借賃の増額について当事者間に協議が調わないときは、その請求を受けた者は、増額を正当とする裁判が確定するまでは、相当と認める額の建物の借賃を支払うことをもって足りる。ただし、その裁判が確定した場合において、既に支払った額に不足があるときは、その不足額に年一割の割合による支払期後の利息を付してこれを支払わなければならない。
第3項建物の借賃の減額について当事者間に協議が調わないときは、その請求を受けた者は、減額を正当とする裁判が確定するまでは、相当と認める額の建物の借賃の支払を請求することができる。ただし、その裁判が確定した場合において、既に支払を受けた額が正当とされた建物の借賃の額を超えるときは、その超過額に年一割の割合による受領の時からの利息を付してこれを返還しなければならない。
出典:e-Gov法令検索(2026年5月21日施行版)/借地借家法の条文一覧で見る
出題実績(12問)
| 試験 | 年度 | 問題 | 論点 | 根拠になった肢 |
|---|---|---|---|---|
| 司法書士 | 平成25年度 | 問44 | 弁済供託の要件と手続 | エ |
| 宅建 | 令和6年 | 問12 | 普通借家と定期借家 | 肢2 |
| 宅建 | 令和2年10月 | 問12 | 居住用借家と定期借家の規律 | 肢2 |
| 宅建 | 平成25年 | 問11 | 定期借家の転貸と賃料改定 | 肢4 |
| 宅建 | 平成24年 | 問12 | 普通借家と定期借家の比較 | 肢2 |
| 賃管 | 令和7年度 | 問29 | 賃料増減額請求の要件と手続 | 肢1 |
| 賃管 | 令和6年度 | 問17 | 賃料減額請求と敷金の取扱い | 肢4 |
| 賃管 | 令和3年度 | 問21 | 賃料増減額請求の効力と手続 | 肢3 |
| 賃管 | 平成29年度 | 問21 | 賃料増減額請求と改定特約 | 肢3 |
| マン管 | 令和7年度 | 問17 | 賃料増額請求と不足額の支払 | 肢1・肢3・肢4 |
| 管業 | 平成30年度 | 問42 | 建物賃貸借の特約と賃貸人地位 | 肢1 |
| 管業 | 平成28年度 | 問40 | 普通建物賃貸借の特約 | 肢1 |
当サイトの自作解説で借地借家法32条を根拠として特定した肢を集計しています(解説を確認中の肢・図表が必要な問題・不成立の問題は除く)。
試験別の問われ方と肢別の正誤
宅建(4問・4肢)
普通建物賃貸借と定期建物賃貸借を比べる形で、賃料改定の特約がある場合・ない場合に32条の増減請求ができるかが繰り返し問われます。特約の種類(不増額・不減額・改定特約)で結論が変わる点が論点です。
契約期間中は賃料の改定を行わない旨の特約を契約において定めていても、契約期間中に賃料が不相当になったと考えるに至ったBは、契約①の場合も契約②の場合も、借地借家法第32条に基づく賃料減額請求をすることができる。
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正誤:誤り
解説:誤り。賃料不減額特約がある期間は32条の減額請求はできない(特約は有効)。
本件契約が借地借家法第38条の定期建物賃貸借契約であって、賃料改定に関する特約がない場合、経済事情の変動により賃料が不相当となったときは、AはBに対し、賃料増額請求をすることができる。
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正誤:正しい
解説:正しい。定期借家でも賃料改定特約がなければ不相当となったときは増減額請求できる(借地借家法32条)。
AB間の賃貸借契約に賃料の改定について特約がある場合には、経済事情の変動によってBのAに対する賃料が不相当となっても、BはAに対して借地借家法第32条第1項に基づく賃料の減額請求をすることはできない。
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正誤:正しい
解説:正しい。賃料の改定についての特約がある場合は、その特約に従い借地借家法32条1項の減額請求はできない(同条は任意規定)。
本件普通建物賃貸借契約でも、本件定期建物賃貸借契約でも、賃料の改定についての特約が定められていない場合であって経済事情の変動により賃料が不相当になったときには、当事者は将来に向かって賃料の増減を請求することができる。
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正誤:正しい
解説:正しい。賃料増減請求権(借地借家法32条)は普通借家・定期借家のいずれにも認められ、特約がなければ経済事情の変動により増減を請求できる。
賃貸不動産経営管理士(4問・4肢)
管理実務に直結し、協議条項がある場合の増額請求、不減額特約の効力、減額請求後の裁判で正当額が確定した場合の清算、訴訟前の調停前置などが問われます。
普通建物賃貸借契約で、賃料改定は協議により行うという特約がある場合でも、当事者間で協議が調わないときは、賃貸人は、賃料増額請求権を行使することができる。
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正誤:正しい
解説:正しい。協議による賃料改定の特約があっても協議が調わないときは増減請求権を行使できる。
賃料減額請求権の行使後、毎月8万円の賃料が支払われていた場合において、9万円を正当な賃料額とする裁判が確定したときは、賃貸人は、毎月の賃料の不足分1万円につき、法定利率による利息を付した額の支払を賃借人に請求することができる。
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正誤:正しい
解説:正しい。減額請求後に正当額を超える確定判決が出た場合でも、不足額に利息を付した額を請求できる(確定額との差額は利息付で清算される)。
この肢の記述は問題ページで確認してください。
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正誤:正しい
解説:正しい。協議条項があっても増減請求権(借地借家法32条)は行使でき、訴訟の前にまず調停を申し立てるのが原則(調停前置)。
賃貸借契約において「賃料の減額はしない。」との特約がある場合、借主は賃料の減額を求めることができない。
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正誤:誤り
解説:誤り。減額請求権を排除する不減額特約は32条1項ただし書の対象外であり、借主は減額請求を排除されない。
管理業務主任者(2問・2肢)
一定期間増額しない特約が有効で、その期間中は経済事情が変動しても増額請求できないという、1項ただし書の基本が問われます。
AB間において、一定期間、賃料を増額しない旨の特約がある場合には、経済事情の変動により、当該賃料が近傍同種の建物に比較して不相当になったときでも、Aは、当該特約に定める期間、増額請求をすることができない。
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正誤:正しい
解説:正しい。一定期間賃料を増額しない旨の特約は有効であり、その期間中は経済事情の変動があっても増額請求できない。
AB間の賃貸借契約において、一定期間賃料を増額しない旨の特約は有効である。
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正誤:正しい
解説:正しい。一定期間賃料を増額しない旨の特約は有効(借地借家法32条1項但書)。
司法書士(1問・1肢)
賃料増額の協議が調わない場合に、賃借人が相当と認める従来の賃料を提供し、賃貸人が受領を拒んだときの弁済供託が問われます。32条2項前段の支払額の扱いと、受領拒否による弁済供託の関係が論点です。
建物の賃貸借における賃料の増額について当事者間に協議が調わない場合において、賃借人が賃貸人に従来の賃料と同じ額を相当と認める額として弁済の提供をしたのに対し、賃貸人がその受領を拒否したときは、賃借人は、その額の弁済供託をすることができる。
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正誤:正しい
解説:正しい。賃料増額の協議が調わない場合、賃借人は相当と認める額の賃料を支払えば足り(借地借家法32条2項前段)、その提供を拒否されれば弁済供託ができる。
マンション管理士(1問・3肢)
増額しない特約の効力に加え、協議が調わない間の支払額と、裁判確定後の不足額に付ける利息(年1割)の数字まで問われます。
AB間の賃貸借契約に賃貸期間中は賃料を増額しない旨の特約があれば、Aは、賃料が不相当となった場合でもその増額を請求することができない。
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正誤:正しい
解説:正しい。賃貸期間中に賃料を増額しない旨の特約は有効であり、賃料が不相当となった場合でも増額請求はできない。
賃料の増額についてAB間に協議が調わないときは、Bは、増額を正当とする裁判が確定するまでは、相当と認める賃料をAに支払うことをもって足りる。
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正誤:正しい
解説:正しい。協議が調わないときは、借主は増額を正当とする裁判が確定するまで、相当と認める賃料を支払えば足りる。
賃料の増額を正当とする裁判が確定した場合において、既にBが支払った額に不足があるときは、Bは、不足額に年3%の割合による支払期後の利息を付してこれを支払わなければならない。
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正誤:誤り
解説:誤り。裁判確定後に支払う不足額の利息は年1割(10%)であり、3%ではない。
間違えやすいポイント
特約の扱いは向きによって逆になります。「一定期間増額しない」特約は1項ただし書により有効ですが、「減額しない」特約は賃借人に不利なので効力がなく、減額請求を妨げません。清算の利息は法定利率ではなく、条文で年1割と定められています(増額は不足額、減額は超過額)。
| 場面 | 普通建物賃貸借 | 定期建物賃貸借(借賃改定の特約あり) |
|---|---|---|
| 一定期間増額しない特約 | 有効(その期間は増額請求不可) | 32条は適用されず特約に従う |
| 減額しない特約 | 無効(減額請求できる) | 有効(32条は適用されない) |
| 協議が調わない間(増額請求) | 賃借人は相当と認める額を支払えば足りる | — |
| 裁判確定後の清算 | 差額に年1割の利息を付けて精算 | — |
よくある質問
- 「賃料を減額しない」という特約は有効ですか?
- 普通建物賃貸借では、減額しない旨の特約があっても賃借人は32条に基づいて減額を請求できます。条文が有効としているのは「一定の期間増額しない」特約だけです。定期建物賃貸借で借賃改定の特約を定めた場合は、32条自体が適用されません(38条9項)。
- 増額請求に納得できない場合、いくら払えばよいですか?
- 協議が調わないときは、増額を正当とする裁判が確定するまで、賃借人が相当と認める額を支払えば足ります。裁判で不足があると確定したときは、不足額に年1割の利息を付けて支払います。
次に解く・確認する
借地借家法のほかの条の過去問
論点・試験別の説明の確認日:2026.10.06。現行条文(第1項〜第3項)と各肢の自作解説の結論との整合、38条9項との関係