資格ジュピター条文穴埋め・判例演習

第五編 相続/第七章 遺言/第五節 遺言の撤回及び取消し

民法 第1022条(遺言の撤回)

分野:相続人の不存在・遺言

出題試験:宅建重要度 中行政書士重要度 中司法書士重要度 高マンション管理士重要度 中管理業務主任者重要度 中

重要度は過去問の出題年度などをもとにした当サイトの評価です。

この条の要点

  • 遺言撤回における方式の要否:撤回の意思表示は遺言の方式による。抵触行為や故意の破棄によるみなし撤回もある。
  • 遺言撤回権の放棄の不可:撤回しない約束や事前の放棄は効力を持たず、撤回権は常に残る。

条文原文

色付きの語句は試験で問われる重要な語句です。

第1022条(遺言の撤回)

遺言者は、いつでも、遺言の方式に従って、その遺言の全部又は一部を撤回することができる。

条文の要点

遺言の撤回とは、遺言者が遺言の方式に従い、いつでもその遺言の一部又は全部を撤回できる制度です(1022条)。

撤回には元の遺言と同じ方式は要らず、自筆証書の遺言で公正証書の遺言を撤回できます。撤回する権利は放棄できず、撤回しない旨の合意をしても効力を持ちません(1026条)。

遺言の撤回の方法

意思表示による撤回は遺言の方式を要し、方式を欠く通知書だけでは足りません。抵触する後の有効な遺言(1023条1項)は遺言の方式を要しますが、抵触する生前処分(同条2項)や故意の破棄(1024条)は撤回の遺言を別途要しません。撤回行為の撤回・取消し・失効でも原則復活せず、錯誤・詐欺・強迫による場合は例外です(1025条)。

項役割内容
1項手続撤回は遺言の方式に従ってする
1項効果遺言の全部だけでなく一部だけを撤回することもできる
1項期間遺言者の生存中であれば時期を問わず撤回できる

具体例

Aは公正証書で「甲土地をBに遺贈する」と遺言しました。その後Aは自筆証書の遺言で同じ遺贈を撤回する旨を定め、死亡しました。

方式の異なる遺言でも撤回できるため、甲土地の遺贈は撤回されており、Bは甲土地を取得できません。

反例(結論が変わる)

同じ設定で、Aが日付も署名押印もない『遺言を撤回する』という通知書をBに交付しただけに変えます。

遺言の方式に従わない撤回の表示は効力を持たず、公正証書の遺言は残るため、Bは甲土地を取得します。

関連条との違い

  • 民法 第1023条:後の有効な遺言はその方式を要するが、抵触部分を撤回したものとみなす。抵触する生前処分には別途撤回の遺言を要しない
  • 民法 第1025条:撤回行為が撤回・取消し・失効しても原則として元の遺言は復活しない。ただし撤回行為が錯誤・詐欺・強迫による場合は例外
  • 民法 第1026条:撤回する権利は放棄できない。撤回しない旨の約束や合意があっても、後からの撤回は有効にできる

過去問で誤りとされた肢の型

  • 司法書士令和8年度 問23イ

    公正証書の遺言は自筆証書の遺言では撤回できないとする誤り。遺言の方式相互間に優劣はない

  • 司法書士平成29年度 問22オ

    受遺者等の同意がなければ撤回できないとする誤り。撤回は遺言者の単独行為で同意は要らない

  • マン管平成30年度 問17肢1

    公正証書による遺言は撤回できないとする誤り。いかなる方式の遺言もいつでも撤回できる

ほかの誤り肢は「この条文を解説で参照する過去問」で確認できます。

判例

  • 遺言無効確認、建物所有権移転登記抹消請求事件最高裁判所第一小法廷 1956年10月4日

    遺贈は遺言者の死亡時に効力を生じ、生存中は撤回でき受遺者に権利が生じない。生前の遺言無効確認の訴えは現在の法律関係の存否を対象とせず、未発生の遺贈による法律関係の将来の不存在を求めるため不適法である

法令版: 2026年6月24日施行版

この条文の〇×問題(2問)

遺言撤回における方式の要否

遺言者が既にした遺言を撤回するには、撤回の意思を記した書面を作成して相続人となるべき者に通知すれば足り、遺言の方式に従う必要はない。

正解と解説を見る

正解 ×

誤り。遺言の撤回を意思表示でするときは、遺言の方式に従ってしなければならない(1022条)。撤回の意思を記した書面の作成や相続人への通知だけでは撤回の効力は生じない。なお、前の遺言と抵触する遺言や生前処分をしたとき、遺言者が故意に遺言書を破棄したときなどは、遺言を撤回したものとみなされる(1023条・1024条)。

学習ポイント:撤回の意思表示は遺言の方式による。抵触行為や故意の破棄によるみなし撤回もある。

第1022条、関連:第1023条・第1024条

遺言撤回権の放棄の不可

遺言者が将来遺言を撤回しない旨を相続人と合意したとしても、その後に新たな遺言をして従前の遺言を撤回することはできる。

正解と解説を見る

正解 ○

正しい。遺言を撤回する権利は放棄することができないとされる。撤回の自由は遺言者の最終意思を尊重するための不可侵の権利であり、撤回しない旨の合意や事前の放棄では排除できない。したがって合意後に新たな遺言で従前の遺言を撤回することは有効である。

学習ポイント:撤回しない約束や事前の放棄は効力を持たず、撤回権は常に残る。

第1022条、関連:第1026条

この条文を解説で参照する過去問

行政書士令和5年 問35オ

遺言は、遺言者が死亡して効力を生じるまでは、いつでも撤回することができるが、公正証書遺言を撤回するには公正証書遺言により、自筆証書遺言を撤回するには自筆証書遺言により行わなければならない。

正誤と理由を見る

遺言の撤回は方式を問わずいつでもでき、撤回に同種の方式は不要(民法1022条)。誤り。

司法書士令和8年度 問23イ

公正証書によってした遺言は、自筆証書によってした遺言により撤回することができない。

正誤と理由を見る

誤り

誤り。公正証書遺言も自筆証書遺言で撤回できる(1022条——遺言の方式相互間に優劣はない)。

司法書士令和4年度 問38ウ

現に生存している遺言者が提起した遺言無効確認の訴えには、訴えの利益が認められない。

正誤と理由を見る

正しい

正しい。現に生存する遺言者が提起した遺言無効確認の訴えには確認の利益が認められない(最判昭31.10.4)。遺言は生存中いつでも撤回できる(民法1022条)。

司法書士平成29年度 問22オ

Aは、Bの同意を得なければ、遺言①を撤回することができないが、Cは、Dの同意を得なくても、遺言②を撤回することができる。

正誤と理由を見る

誤り

誤り。遺言者はいつでも遺言の方式に従い遺言の全部又は一部を撤回でき(民法1022条)、Bの同意は不要である。

司法書士平成26年度 問23ア

Aは、公正証書によって「 甲土地をBに譲る 」旨の遺言をした。その後、Aは、自筆証書によって「 甲土地をBに譲る旨の遺言を撤回する 」旨の遺言をした後に死亡した。

正誤と理由を見る

取得できない

取得できない。遺言の撤回は同一方式による必要がなく、自筆証書による撤回の遺言で公正証書の遺言を撤回できる(民法1022条)ため、Bへの遺贈は撤回されている。

マン管平成30年度 問17肢1

本件遺言が公正証書によってなされた場合には、本件遺言を撤回することはできない。

正誤と理由を見る

誤り

誤り。遺言者はいつでも遺言の方式に従って遺言を撤回でき、公正証書遺言でも撤回は可能である。

問題で確認する

第1022条の内容は2問の〇×問題と1問の条文穴埋めで確認できます。