資格ジュピター条文穴埋め・判例演習

第五編 相続/第七章 遺言/第二節 遺言の方式/第一款 普通の方式

民法 第968条(自筆証書遺言)

分野:相続人の不存在・遺言

出題試験:宅建重要度 中行政書士重要度 中司法書士重要度 中

重要度は過去問の出題年度などをもとにした当サイトの評価です。

この条の要点

  • 財産目録の自書不要の特例:相続財産の目録は自書不要だが毎葉の署名押印が条件。本文は自書が原則。
  • 自筆証書中の加除その他の変更の方式:加除変更は場所の指示・変更旨の付記・署名・変更箇所の押印が揃って初めて有効。

条文原文

色付きの語句は試験で問われる重要な語句です。

第968条(自筆証書遺言)

自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない。

②前項の規定にかかわらず、自筆証書にこれと一体のものとして相続財産(第九百九十七条第一項に規定する場合における同項に規定する権利を含む。)の全部又は一部の目録を添付する場合には、その目録については、自書することを要しない。この場合において、遺言者は、その目録の毎葉(自書によらない記載がその両面にある場合にあっては、その両面)に署名し、印を押さなければならない。

③自筆証書(前項の目録を含む。)中の加除その他の変更は、遺言者が、その場所を指示し、これを変更した旨を付記して特にこれに署名し、かつ、その変更の場所に印を押さなければ、その効力を生じない。

条文の要点

自筆証書遺言とは、遺言者が全文・日付・氏名を自書して押印する遺言の方式です(968条1項)。

本文等の方式を欠く遺言は無効ですが、財産目録はパソコンや通帳の写しでも作れます。目録の各葉、両面に記載があれば両面に署名押印が必要です。

自筆証書遺言の方式

日付は具体的な年月日を特定できるよう自書します。訂正は変更箇所の指示・変更した旨の付記・署名・その箇所への押印が必要です。15歳以上でも遺言能力が必要で、成年被後見人は事理を弁識する能力を一時回復した時に限り、医師2人以上の立会いで遺言できます。

項役割内容
1項要件全文・日付・氏名の自書と押印
2項例外財産目録は自書不要だが毎葉に署名押印が必要。両面に自書でない記載があるときは両面で必要
3項手続訂正は変更場所の指示・字句の付記・署名・変更箇所への押印を要する
3項後段効果この方式に従わない加除変更は効力を生じない

具体例

Aが「全財産をBに相続させる」と本文・2026年10月13日の日付・氏名をすべて自書し、印を押しました。

自書と押印の方式は満たします。法務局の保管制度を利用していない遺言書では検認が必要ですが、検認の有無は遺言の効力と別です。

反例(結論が変わる)

同じ文書で、Aが本文の一部をパソコンで印刷して貼り付けた場合に変えます。

本文が自書でない部分は1項の方式を欠き、財産目録添付の例外にも当たらないので遺言は無効になります。

関連条との違い

  • 民法 第969条:公正証書遺言は証人2人以上の立会いで公証人に口述する方式。自書は要らず、作成主体が違う
  • 民法 第970条:秘密証書遺言は封をし証人と公証人の前で提出する方式。本文は自書でなくてもよい点で自筆証書と違う
  • 民法 第973条:961条は15歳以上の遺言を認める。973条は成年被後見人の能力の一時回復・医師2人以上の立会い・医師の付記等を要する特則

過去問で誤りとされた肢の型

  • 司法書士令和6年度 問22イ

    自筆証書遺言の押印に指印が使えないとする誤り。印は実印に限られず指印でも押印になる(最判平元.2.16)

  • 司法書士令和3年度 問54ウ

    日付の自署のない遺言書でも検認を経れば効力が生じるとする誤り。検認は方式を補完せず無効のまま

  • 司法書士平成31年度 問22イ

    押印の代わりに花押を書けば足りるとする誤り。花押を書くことは968条1項の押印の要件を満たさない(最判平28.6.3)

ほかの誤り肢は「この条文を解説で参照する過去問」で確認できます。

法令版: 2026年6月24日施行版

この条文の〇×問題(2問)

財産目録の自書不要の特例

自筆証書による遺言で相続財産の目録を添付する場合、その目録をパソコンで作成すると全文自書の要件を満たさないため、遺言者が各葉に署名し印を押していてもその遺言は無効となる。

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正解 ×

誤り。民法968条2項は、自筆証書と一体のものとして相続財産の全部又は一部の目録を添付する場合、その目録については自書することを要しないとする。遺言者がその目録の毎葉に署名し印を押せばよく、本文等の自書要件を満たす限り遺言は有効である。

学習ポイント:相続財産の目録は自書不要だが毎葉の署名押印が条件。本文は自書が原則。

第968条2項・1項

自筆証書中の加除その他の変更の方式

自筆証書中の記載を訂正する際、遺言者が訂正した箇所に印を押しただけではその訂正は効力を生じない。訂正には、変更した場所を指示して変更した旨を付記して署名したうえ、その変更の場所に印を押す方式が必要とされる。

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正解 ○

正しい。民法968条3項は、自筆証書中の加除その他の変更は、遺言者がその場所を指示し、変更した旨を付記して特に署名し、かつ変更の場所に印を押さなければ効力を生じないとする。変更場所への押印のみでは変更としての効力が生じない。

学習ポイント:加除変更は場所の指示・変更旨の付記・署名・変更箇所の押印が揃って初めて有効。

第968条3項、関連:第970条2項

この条文を解説で参照する過去問

行政書士令和5年 問35イ

自筆証書遺言の作成に際し、カーボン紙を用いて複写の方法で作成が行われた場合であっても、自書の要件を満たし、当該遺言は有効である。

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カーボン紙による複写作成でも自書の要件を満たせば有効(判例)。妥当。

行政書士平成29年 問35イ

自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付および氏名を自書してこれに押印しなければならず、遺言を変更する場合には、変更の場所を指示し、変更内容を付記して署名するか、または変更の場所に押印しなければ効力を生じない。

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自筆証書遺言の変更は変更場所を指示して変更内容を付記し署名し、かつ変更場所に押印することを要する(968条3項)。いずれか一方では足りない。誤り。

司法書士令和6年度 問22イ

自筆証書によって遺言をする場合にしなければならない押印は、指印によることはできない。

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誤り

誤り。自筆証書遺言の押印は指印でも足りる(最判平元.2.16)。

司法書士令和6年度 問22ウ

遺言者が自筆証書遺言に添付した片面にのみ記載のある財産目録の毎葉に署名し、押印していれば、当該目録について自書することを要しない。

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正しい

正しい。財産目録は自書を要せず、片面にのみ記載がある場合は毎葉に署名・押印すれば足りる(968条2項)。

司法書士令和3年度 問54ウ

自筆証書による遺言書に日付の自署がない場合において、当該遺言書について家庭裁判所の検認を経たときは、当該遺言書を添付して遺贈を原因とする所有権の移転の登記の申請をすることができる。

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誤り

誤り。自筆証書遺言は全文・日付・氏名の自書と押印を要する(民法968条1項)。日付の自署がない遺言書は無効であり、検認を経ても効力は生じないので、これに基づく遺贈の移転登記はできない。

司法書士平成31年度 問22イ

自筆証書によって遺言をするに当たっては、押印の代わりに花押を用いることができる。

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誤り

誤り。自筆証書遺言は全文・日付・氏名の自書及び押印を要し(民法968条1項)、花押を書くことは押印の要件を満たさない(最判平28.6.3)。

宅建令和3年12月 問7肢1

自筆証書によって遺言をする場合、遺言者は、その全文、日付及び氏名を自書して押印しなければならないが、これに添付する相続財産の目録については、遺言者が毎葉に署名押印すれば、自書でないものも認められる。

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正しい

正しい。自筆証書遺言の財産目録は署名押印があれば自書でなくてもよい(民法968条2項)。

問題で確認する

第968条の内容は2問の〇×問題と1問の条文穴埋めで確認できます。