第二編 物権/第二章 占有権/第二節 占有権の効力
民法 第189条(善意の占有者による果実の取得等)
重要度は過去問の出題年度などをもとにした当サイトの評価です。
この条の要点
- 本権の訴えに敗訴した善意占有者の悪意擬制時点:本権訴訟の敗訴では、悪意みなしの起点は判決時でなく訴え提起時。
- 訴え提起前に取得した果実:善意占有者は果実を取得。後の敗訴でも悪意擬制は訴え提起時から。
条文原文
色付きの語句は試験で問われる重要な語句です。
第189条(善意の占有者による果実の取得等)
善意の占有者は、占有物から生ずる果実を取得する。
②善意の占有者が本権の訴えにおいて敗訴したときは、その訴えの提起の時から悪意の占有者とみなす。
この条文の〇×問題(2問)
本権の訴えに敗訴した善意占有者の悪意擬制時点
善意の占有者が所有権に基づく返還請求訴訟で敗訴した場合、その占有者が悪意の占有者とみなされるのは、敗訴判決が確定した時からである。
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正解 ×
誤り。善意の占有者が本権の訴えで敗訴したときは、民法189条2項により、判決の確定時ではなく訴えが提起された時から悪意の占有者とみなされる。その結果、訴え提起後の果実については、第190条による返還や価額償還の問題が生じる。基準時を判決時と取り違えてはならない。
学習ポイント:本権訴訟の敗訴では、悪意みなしの起点は判決時でなく訴え提起時。
第189条2項、関連:第190条
訴え提起前に取得した果実
占有を始めた時から本権の訴えが提起されるまで善意であった占有者は、後にその訴えで敗訴しても、原則として訴え提起前に占有物から収取した果実を取得できる。
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正解 ○
正しい。善意の占有者は民法189条1項により占有物から生ずる果実を取得する。本権の訴えに敗訴した場合の悪意擬制は、同条2項により訴えの提起時から生じるのであって、善意であった占有開始時にまでさかのぼるわけではない。したがって、提起前の果実取得は原則として保持される。
学習ポイント:善意占有者は果実を取得。後の敗訴でも悪意擬制は訴え提起時から。
第189条1項・2項、関連:第190条
根拠・関連条文
この条文を解説で参照する過去問
行政書士令和4年 問28肢3
Aが所有する丙土地(以下「丙」)を無権利者であるBがCに売却し、Cが所有権を取得したものと信じて丙の占有を開始した場合、Aから本権の訴えがないときは、Cは、丙を耕作することによって得た収穫物を取得することができる。
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妥当である
善意無過失の占有者Cは果実を取得できる(民法189条・善意占有者の果実取得)。妥当。
司法書士令和6年度 問7エ
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誤り
誤り。本権の訴えで敗訴した善意の占有者は、その訴えの提起の時から悪意の占有者とみなされる(189条2項)。占有開始時に遡及しない。
司法書士平成31年度 問9ウ
Aは、B所有の甲建物を自己の所有物であると信じて占有し、その修繕や管理を行うとともに、第三者に賃貸して賃料を収受していた。この場合において、Aは、Bに甲建物を返還する際、修繕・管理のために支出した通常の必要費をBから償還させることはできない。
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正しい
正しい。善意の占有者(他主占有でも自主占有でも)は果実を取得し(民法189条1項)、必要費は原則として償還請求できるが、果実を取得したときの通常の必要費は占有者の負担となる(民法196条1項)。通常の必要費は果実を取得する占有者から請求できない。
解説で第189条を参照している問
問題で確認する
第189条の内容は2問の〇×問題と1問の条文穴埋めで確認できます。