第二編 物権/第二章 占有権/第二節 占有権の効力
民法 第195条(動物の占有による権利の取得)
この条の要点
- 対象となる動物の範囲の限定:動物の占有取得の特則は家畜以外の動物に限られる。対象の限定を条文どおりに読む。
- 権利取得に必要な期間経過と回復請求の不存在:逃げた飼い犬は通常家畜として遺失物法で扱われ、拾っただけでは権利を取得しない。
条文原文
色付きの語句は試験で問われる重要な語句です。
第195条(動物の占有による権利の取得)
家畜以外の動物で他人が飼育していたものを占有する者は、その占有の開始の時に善意であり、かつ、その動物が飼主の占有を離れた時から一箇月以内に飼主から回復の請求を受けなかったときは、その動物について行使する権利を取得する。
この条文の〇×問題(2問)
対象となる動物の範囲の限定
この規定は動物一般に及ぶものではなく、他人が飼育していた牛のような家畜を占有する者には適用されない。そのため、家畜の占有者は善意で一か月を経過してもこの規定によって権利を取得しない。
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正解 ○
正しい。この規定の対象は家畜以外の動物で他人が飼育していたものに限られる。牛などの家畜は対象から除外されるため、占有開始時に善意で一か月以内に飼主から回復の請求を受けなくても、この規定による権利の取得は生じない。
学習ポイント:動物の占有取得の特則は家畜以外の動物に限られる。対象の限定を条文どおりに読む。
第195条
権利取得に必要な期間経過と回復請求の不存在
他人が飼育していた犬が逃げ出したのを拾得して占有を始めた者は、占有の開始の時に善意であれば、直ちにその犬について行使する権利を取得し、以後に飼主から回復を求められても応じる必要はない。
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正解 ×
誤り。逃げ出した飼い犬は通常、家畜として扱われ(警察庁の遺失物法解釈運用基準)、家畜以外の動物に関する195条は適用されない。逸走した家畜は遺失物法の準遺失物にあたり、拾得者は同法の手続によらずに占有を始めても、善意というだけで直ちに権利を取得することはない。拾得は取引行為ではないため即時取得(192条)も成立しない。
学習ポイント:逃げた飼い犬は通常家畜として遺失物法で扱われ、拾っただけでは権利を取得しない。
第195条、関連:第192条、遺失物法第2条1項
根拠・関連条文
この条文を解説で参照する過去問
司法書士令和7年度 問9エ
A所有の甲動産をAから預かっていたBが、甲動産がBの所有であると過失なく信じているCのために動産に質権を設定し、Cに甲動産の現実の引渡しをした場合には、Cは、甲動産について質権を即時取得する。
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正しい
正しい。質権にも即時取得の規定は準用される(195条)ので、現実の引渡しを受けた善意無過失のCは質権を即時取得する。
司法書士平成31年度 問9イ
A所有の甲時計が盗まれ、その事実について善意無過失のBが、公の市場において甲時計を買い受けた。この場合において、Bは、Aから甲時計の回復を求められたとしても、代価の弁償の提供があるまで、甲時計を無償で使用する権限を有する。
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正しい
正しい。占有回復の請求(盗難・遺失物)について、善意で公の市場で買い受けた者は、代価の弁償を受けるまで占有物を無償で使用する権限を有する(民法195条・判例)。
解説で第195条を参照している問
問題で確認する
第195条の内容は2問の〇×問題と1問の条文穴埋めで確認できます。