第二編 物権/第十章 抵当権/第四節 根抵当
民法 第398条の5(根抵当権の極度額の変更)
重要度は過去問の出題年度などをもとにした当サイトの評価です。
この条の要点
- 極度額変更における利害関係者の承諾:範囲・債務者の変更は承諾不要でも、極度額の変更には利害関係者の承諾が常に必要。
- 元本確定後の極度額変更・減額:確定後も極度額は承諾を得て変更でき、設定者には極度額の減額請求も認められる。
条文原文
色付きの語句は試験で問われる重要な語句です。
第398条の5(根抵当権の極度額の変更)
根抵当権の極度額の変更は、利害関係を有する者の承諾を得なければ、することができない。
条文の要点
根抵当権の極度額の変更とは、根抵当権が担保する債権の上限額をあとから変えることです(398条の5)。
増額でも減額でも利害関係を有する者の承諾が要り、元本の確定前後の区別なく承諾があれば変更できます。確定後には設定者が一方的に減額を請求する別の仕組みもあります(398条の21)。
根抵当権の極度額の変更の承諾
利害関係を有する者とは変更で不利益を受ける者で、増額の場合の後順位抵当権者、減額の場合の転抵当権者などが該当します。増額・減額により承諾を要する相手は異なり、全ての後順位抵当権者が減額でも当然に該当するという意味ではありません。範囲・債務者の変更とは違います。
| 項 | 役割 | 内容 |
|---|---|---|
| 1項 | 要件 | 極度額を変えるには利害関係を有する者の承諾が要る |
| 1項 | 効果 | 増額・減額を問わず同じ扱いで、元本確定の前後による制限はない |
具体例
Bの甲土地にAの根抵当権(極度額3000万円)と、後順位にCの抵当権があります。AとBが極度額を5000万円に増額しようと合意しました。変更で不利益を受ける者はCだけです。
極度額の増額は利害関係を有するCの承諾がなければできず、承諾があれば元本確定の前後を問わず変更できます。
反例(結論が変わる)
同じ設定で、Cの後順位抵当権が既に消滅している場合だけに変えます。
承諾を得るべき者が存在しないため、AとBの合意だけで極度額を増額できます。
関連条との違い
- 民法 第398条の4:範囲・債務者の変更は第三者の承諾が不要で確定前の登記が要件。極度額の変更は利害関係者の承諾が必須で、対象が違うと手続が逆になる
- 民法 第398条の21:元本確定後は設定者が現存債務に2年分の利息等を足した額への減額を一方的に請求できる。承諾を得る合意変更とは別の仕組み
過去問で誤りとされた肢の型
- 司法書士令和8年度 問14ア
極度額は減額なら利害関係者の承諾なしでできるとする誤り。増額でも減額でも承諾が要る
- 司法書士平成26年度 問14オ
極度額の変更は元本確定前に限られるとする誤り。確定後でも承諾があれば変更できる
- 司法書士平成27年度 問14エ
転抵当権者の承諾なしで極度額を減額できるとする誤り。転抵当権者も利害関係を有する者に含まれる
ほかの誤り肢は「この条文を解説で参照する過去問」で確認できます。
法令版: 2026年6月24日施行版
この条文の〇×問題(2問)
極度額変更における利害関係者の承諾
根抵当権の極度額を変更するには、元本の確定前であるかどうかにかかわらず、利害関係を有する者の承諾を得なければならない。
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正解 ○
正しい。極度額の変更は利害関係を有する者の承諾を得なければすることができないとされ、元本確定前後の区別による例外は設けられていない。担保すべき債権の範囲や債務者の変更に第三者の承諾を要しない規定とは取扱いが異なる。
学習ポイント:範囲・債務者の変更は承諾不要でも、極度額の変更には利害関係者の承諾が常に必要。
第398条の5、関連:第398条の4第2項
元本確定後の極度額変更・減額
担保すべき元本が確定した後は、根抵当権設定者と根抵当権者が合意しても、極度額を変更することは一切できない。
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正解 ×
誤り。極度額の変更に時期上の制限はなく、確定後でも利害関係を有する者の承諾を得れば変更できる。また確定後には設定者が、極度額を現存債務の額に今後二年間に生ずべき利息等を加えた額へ減額するよう請求することも認められる。
学習ポイント:確定後も極度額は承諾を得て変更でき、設定者には極度額の減額請求も認められる。
第398条の5、関連:第398条の21第1項
根拠・関連条文
この条文を解説で参照する過去問
行政書士平成28年 問31肢1
元本確定前に、A・Bは協議により、被担保債権の範囲にA・B間の金銭消費貸借取引に係る債権を加えることで合意した。A・Bがこの合意を後順位抵当権者であるCに対抗するためには、被担保債権の範囲の変更についてCの承諾が必要である。
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誤り
元本確定前の被担保債権範囲の変更は後順位抵当権者等第三者の承諾を要せず登記で足りる(398条の5)。誤り(正答)。
司法書士令和8年度 問14ア
根抵当権の極度額は、利害関係を有する者の承諾を得ないで減額することができる。
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誤り
誤り。根抵当権の極度額の変更は増額・減額を問わず利害関係を有する者の承諾を要する(398条の5)。
司法書士令和4年度 問60イ
根抵当権の設定の登記のある土地についてする当該根抵当権の極度額増額の予約を原因とする不動産登記法第105条第2号による根抵当権の変更請求権保全の仮登記は、当該仮登記につき登記上の利害関係を有するAの承諾を証するAが作成した情報又はAに対抗することができる裁判があったことを証する情報の提供がない場合であっても、付記登記によってすることができる。
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誤り
誤り。根抵当権の極度額の変更は利害関係を有する者の承諾を得なければすることができない(民法398条の5)ため、極度額増額の予約を原因とする変更請求権保全の仮登記も、利害関係人の承諾を証する情報又はこれに対抗できる裁判があったことを証する情報を提供して付記登記によってしなければならず(不動産登記法66条、登記先例)、その提供がなければ申請することができない。
司法書士令和2年度 問14イ
根抵当権者と根抵当権設定者が根抵当権の極度額を減額するときは、利害関係を有する者の承諾を得なければならない。
正誤と理由を見る
正しい
正しい。根抵当権の極度額の変更は、利害関係を有する者の承諾を得なければすることができない(民法398条の5)。減額の場合も同様である。
司法書士平成27年度 問14ア
平成25年5月15日を弁済期とするAとB会社との聞の電気製品売買取引により生じた債権について、その弁済期を経過してAが債務不履行に陥った場合であっても、その債権が同年3月15日に発生したものであるときは、その債権は本件根抵当権によって担保されない。
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誤り
誤り。被担保債権の範囲の変更により加えられた債権は、変更後に発生するものはもちろん変更前に発生したものも担保される。
司法書士平成27年度 問14エ
B会社が本件根抵当権についてDのために転抵当権を設定した場合、Aは、本件根抵当権の担保すべき元本の確定前であれば、Dの承諾がなくとも、B会社との合意によって極度額の減額をすることができる。
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誤り
誤り。極度額の減額も変更であり、利害関係を有する者(転抵当権者D)の承諾を得なければできない(民法398条の5)。
司法書士平成26年度 問14オ
根抵当権の極度額の変更は、元本の確定前に限り、行うことができる。
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誤り
誤り。極度額の変更には利害関係を有する者の承諾を要するが(民法398条の5)、承諾があれば元本確定の前後を問わず変更できる。
司法書士平成25年度 問47ア
根抵当権の極度額の変更の登記は、主登記によってされる場合と付記登記によってされる場合とがある。
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誤り
誤り。根抵当権の極度額の変更には利害関係人の承諾が必要で(民法398条の5)、その変更の登記は常に付記登記によってされる(不登規3条2号・昭46.10.4民甲3230号)。
問題で確認する
第398条の5の内容は2問の〇×問題と1問の条文穴埋めで確認できます。