第二編 物権/第十章 抵当権/第四節 根抵当
民法 第398条の6(根抵当権の元本確定期日の定め)
重要度は過去問の出題年度などをもとにした当サイトの評価です。
この条の要点
- 確定期日変更の登記懈怠による元本確定:確定期日の変更登記は効力要件で、怠れば変更は効力を失い旧期日の到来で元本が確定する。
- 確定期日の定めがある場合の確定請求の排除:確定期日の定めがあるときは、設定者・根抵当権者いずれの確定請求権も働かない。
条文原文
色付きの語句は試験で問われる重要な語句です。
第398条の6(根抵当権の元本確定期日の定め)
根抵当権の担保すべき元本については、その確定すべき期日を定め又は変更することができる。
②第三百九十八条の四第二項の規定は、前項の場合について準用する。
③第一項の期日は、これを定め又は変更した日から五年以内でなければならない。
④第一項の期日の変更についてその変更前の期日より前に登記をしなかったときは、担保すべき元本は、その変更前の期日に確定する。
条文の要点
根抵当権の元本確定期日の定めとは、担保する元本が確定する日をあらかじめ定め又は変更することです(398条の6第1項)。
定めも変更も第三者の承諾なしにできますが、期日は定め又は変更の日から5年以内に限られます。期日の変更は変更前の期日より前に登記しなければ効力を失い、元本は変更前の期日で確定します。
根抵当権の元本確定期日の定めの効力
確定期日の定めがあると、期日の到来前に設定者や根抵当権者が確定を請求する規定は働きません(398条の19第3項)。期日の変更登記は対抗要件ではなく効力要件で、旧期日より前に登記がなければ変更自体がなかったことになります。
| 項 | 役割 | 内容 |
|---|---|---|
| 1項 | 効果 | 元本の確定すべき期日を定め、また変更できる |
| 2項 | 効果 | 後順位の抵当権者その他の第三者の承諾は要らない(398条の4第2項準用) |
| 3項 | 要件 | 期日は定め又は変更をした日から5年以内に限る |
| 4項 | 例外 | 変更前の期日より前に変更の登記をしないと、元本は変更前の期日に確定する |
具体例
Bの所有する土地にAの根抵当権があり、確定期日が2027年3月1日と定められています。AとBは2027年1月に期日を2030年3月1日に延ばす合意をし、2027年2月に登記しました。
変更の日から5年以内の期日で、旧期日前の登記もあるため、確定期日は2030年3月1日に延びます。
反例(結論が変わる)
同じ設定で、変更の登記をしたのが旧期日の経過後だった場合に変えます。
旧期日より前の登記がないため延長は効力を失い、元本は旧期日の2027年3月1日に確定します。
関連条との違い
- 民法 第398条の19:確定期日の定めがない場合だけ、設定者は設定から3年経過後・根抵当権者はいつでも確定を請求できる。定めがあれば双方の請求権は働かない
- 民法 第398条の20:競売等の申立ては手続開始等があった場合に、滞納処分の差押え、他者の競売開始等を知って2週間、破産開始決定でも元本が確定する(398条の20)
過去問で誤りとされた肢の型
- 司法書士平成26年度 問14ア
確定期日は根抵当権の設定時に定めなければならないとする誤り。あとから定めることも変更することもできる
ほかの誤り肢は「この条文を解説で参照する過去問」で確認できます。
法令版: 2026年6月24日施行版
この条文の〇×問題(2問)
確定期日変更の登記懈怠による元本確定
担保すべき元本の確定期日を従来より遅い日へ変更する合意をしたが、従来の期日が到来するまでにその変更の登記をしなかった。この場合、当事者間でも元本は従来の期日の到来によって確定する。
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正解 ○
正しい。確定期日の変更について変更前の期日より前に登記をしなかったときは、担保すべき元本は変更前の期日に確定する。登記は対抗要件ではなく効力要件であり、怠れば変更自体が効力を失い、元本は旧期日の到来で確定する。
学習ポイント:確定期日の変更登記は効力要件で、怠れば変更は効力を失い旧期日の到来で元本が確定する。
第398条の6第4項
確定期日の定めがある場合の確定請求の排除
担保すべき元本の確定期日の定めがある根抵当権であっても、根抵当権設定者は設定から三年が経過したときは元本の確定を請求することができ、その請求の時から二週間の経過によって元本が確定する。
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正解 ×
誤り。設定者が設定から三年経過後に確定を請求できる規定と、根抵当権者がいつでも確定を請求できる規定は、いずれも確定期日の定めがあるときは適用されない。期日の定めがある以上、その期日の到来を待つのが原則である。
学習ポイント:確定期日の定めがあるときは、設定者・根抵当権者いずれの確定請求権も働かない。
第398条の6第1項、関連:第398条の19第3項
根拠・関連条文
この条文を解説で参照する過去問
行政書士令和2年 問29肢3
元本確定期日は、当事者の合意のみで変更後の期日を5年以内の期日とする限りで変更することができるが、変更前の期日より前に変更の登記をしなければ、変更前の期日に元本が確定する。
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正しい
確定期日の変更は5年内の期日に限り可能で、変更前の期日前に登記しなければ変更前期日で確定する(民法398条の6)。正しい。
司法書士令和6年度 問15イ
根抵当権の担保すべき元本の確定すべき期日を定める場合には、その期日は、これを定めた日から5年以内でなければならない。
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正しい
正しい。担保すべき元本の確定すべき期日は、これを定め又は変更した日から5年以内でなければならない(398条の6第3項)。
司法書士令和2年度 問14ウ
根抵当権者と根抵当権設定者は、後順位の抵当権者の承諾を得ることなく、根抵当権の担保すべき元本の確定すべき期日を変更することができる。
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正しい
正しい。根抵当権者と根抵当権設定者は、担保すべき元本の確定すべき期日を定め又は変更することができ、後順位抵当権者の承諾は不要である(民法398条の6第1項)。
司法書士平成29年度 問14イ
元本の確定前に債務者が死亡して相続が開始した場合において、相続の開始後6か月以内に、根抵当権者と根抵当権設定者との間で債務者の相続人が相続の開始後に負担する債務を担保する旨の合意をしなかったときは、根抵当権の担保すべき元本は、相続開始の時に確定したものとみなされる。
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正しい
正しい。元本確定前に債務者の相続が開始した場合、相続開始後6か月以内に相続人の相続後債務を担保する旨の合意がなければ、元本は相続開始の時に確定したものとみなされる(民法398条の6第2項)。
司法書士平成27年度 問58オ
根抵当権者Aが、抵当不動産に対するBによる滞納処分による差押えがあったことを知った時から2週間を経過した後に、当該根抵当権の後順位の根抵当権者Cに対して根抵当権の順位の譲渡をしたときは、Aは、当該根抵当権の順位の譲渡の登記を申請することなく、単独で当該根抵当権の元本の確定の登記を申請することができる。
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誤り
誤り。差押えを知った時から2週間を経過した後は根抵当権の元本が確定しており(民法398条の6第1項2号)、Aが単独で確定の登記を申請することはできない。確定登記は共同申請が原則である。
司法書士平成26年度 問14ア
根抵当権の元本の確定期日は、根抵当権の設定時に定めなければならない。
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誤り
誤り。元本の確定期日は定めることができるが(民法398条の6第1項)、根抵当権の設定時に必ず定めなければならないわけではない。
問題で確認する
第398条の6の内容は2問の〇×問題と1問の条文穴埋めで確認できます。