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第二編 物権/第十章 抵当権/第四節 根抵当

民法 第398条の21(根抵当権の極度額の減額請求)

分野:抵当権・根抵当

出題試験:宅建行政書士重要度 高司法書士重要度 中

重要度は過去問の出題年度などをもとにした当サイトの評価です。

この条の要点

  • 極度額減額請求における減額後の極度額の算定:極度額の減額限度は現存債務額に二年分の利息・定期金・損害賠償を足した額。加算部分を見落とさない。
  • 共同根抵当における極度額減額請求の対象不動産:共同根抵当の減額請求は一個の不動産についてすれば足りる。変更登記の全部登記要件と区別する。

条文原文

色付きの語句は試験で問われる重要な語句です。

第398条の21(根抵当権の極度額の減額請求)

元本の確定後においては、根抵当権設定者は、その根抵当権の極度額を、現に存する債務の額と以後二年間に生ずべき利息その他の定期金及び債務の不履行による損害賠償の額とを加えた額に減額することを請求することができる。

②第三百九十八条の十六の登記がされている根抵当権の極度額の減額については、前項の規定による請求は、そのうちの一個の不動産についてすれば足りる。

条文の要点

根抵当権の極度額の減額請求とは、元本の確定後に根抵当権設定者が極度額の引下げを求める請求です(398条の21第1項)。

下げられるのは、現に存する債務の額に、今後2年間に生ずべき利息・定期金・債務不履行の損害賠償額を加えた額までです。利害関係者の承諾は要らず、設定者の一方的な請求で足ります。

根抵当権の極度額の減額請求の限界

現存債務の額そのものまで下げられるわけではなく、将来生じる付加債権の2年分が上乗せされます。共同根抵当の登記がある場合は一個の不動産について請求すれば足り、効果は全部の不動産に及びます。

項役割内容
1項要件請求できるのは元本の確定後で、請求者は根抵当権設定者
1項効果極度額を現存債務と以後2年間の利息・定期金・損害賠償の合計額まで減額できる
2項手続共同根抵当の登記がある場合は一個の不動産について請求すれば足りる

具体例

B所有の甲土地のAの根抵当権(極度額5000万円)で元本が確定し、現存債務は2000万円、今後2年間の利息等の加算額は200万円です。設定者BがAに極度額の減額を請求しました。

極度額は2000万円と200万円を加えた2200万円まで下がります。

反例(結論が変わる)

同じ設定で、まだ元本が確定していない段階でBが減額を求めた場合に変えます。

確定前は本条の請求が使えず、下げるには極度額の変更として利害関係を有する者の承諾が要ります(398条の5)。

関連条との違い

  • 民法 第398条の5:合意による極度額の変更は利害関係者の承諾が要るが、確定後の減額請求は設定者の一方的な請求で足りる
  • 民法 第398条の22:消滅請求は極度額相当額の払渡し・供託で根抵当権自体を消す仕組み。減額請求は上限を引き下げるだけで権利は残る

過去問で誤りとされた肢の型

  • 行政書士令和2年 問29肢5

    元本確定後は極度額の減額を一切請求できないとする誤り。確定後にだけ使える減額請求の仕組みがある

ほかの誤り肢は「この条文を解説で参照する過去問」で確認できます。

法令版: 2026年6月24日施行版

この条文の〇×問題(2問)

極度額減額請求における減額後の極度額の算定

担保すべき元本が確定した後であれば、根抵当権の目的不動産の所有者は、確定の時点で実際に存在している債務と同じ額まで極度額を引き下げるよう求めることができる。

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正解 ×

誤り。減額後の極度額は、現に存する債務の額に、以後二年間に生ずべき利息その他の定期金及び債務の不履行による損害賠償の額を加えた額となる。現存債務の額そのものまで切り下げられるわけではなく、将来生じる付加債権分が上乗せされる。

学習ポイント:極度額の減額限度は現存債務額に二年分の利息・定期金・損害賠償を足した額。加算部分を見落とさない。

第398条の21第1項

共同根抵当における極度額減額請求の対象不動産

同一の債権の担保として数個の不動産に設定され共同の旨の登記がされている根抵当権について極度額の減額を請求する場合、そのうちの一個の不動産について請求すれば足りる。

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正解 ○

正しい。共同の旨の登記がされた根抵当権の極度額の減額請求は、そのうち一個の不動産についてすれば足り、効果は全体に及ぶ。変更や譲渡が全部の不動産についての登記を要するのとは対照的に、請求は一部の不動産について行えばよい。

学習ポイント:共同根抵当の減額請求は一個の不動産についてすれば足りる。変更登記の全部登記要件と区別する。

第398条の21第2項、関連:第398条の16・第398条の17第1項

この条文を解説で参照する過去問

行政書士令和4年 問29肢3

本件根抵当権について元本が確定した後、当該確定した元本の額が極度額に満たない場合には、Aは、Bに対して、極度額を法の定める額に減額することを請求することができる。

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正しい

確定後、元本が極度額に満たない場合、設定者Aは極度額を現存債権額+利息等の額に減額請求できる(398条の21)。

行政書士令和2年 問29肢5

根抵当権設定者は、元本確定後においては、根抵当権の極度額の一切の減額を請求することはできない。

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誤り

元本確定後でも設定者は極度額の減額請求ができる(民法398条の21)。誤り。

行政書士平成28年 問31肢4

元本が確定し、被担保債権額が6,000万円となった場合、Aは、Bに対して甲土地に対する根抵当権の極度額1億円を、6,000万円と以後2年間に生ずべき利息その他の定期金および債務の不履行による損害賠償の額とを加えた額に減額することを請求できる。

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正しい

元本確定後、設定者は極度額を既存債権額+今後2年間の利息等の額への減額請求ができる(398条の21)。正しい。

司法書士令和3年度 問14エ

元本の確定後においては、根抵当権設定者は、その根抵当権の極度額を、現に存する債務の額と以後2年間に生ずべき利息その他の定期金及び債務の不履行による損害賠償の額とを加えた額に減額することを請求することができる。

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正しい

正しい。元本確定後は、根抵当権設定者は、極度額を現存債務額と以後2年間に生ずべき利息その他の定期金及び債務不履行による損害賠償額を加えた額に減額することを請求できる(398条の21第1項)。

司法書士平成31年度 問56イ

Aを所有権の登記名義人とする甲土地及び乙土地について、共同根抵当権の設定の登記がされ、その後それぞれ根抵当権の元本の確定の登記がされている場合において、甲土地についてのみAによる極度額の減額請求がされ、その極度額の減額請求につき登記上の利害関係人が存しないときは、当該極度額の減額請求がされた日を登記原因の日付として、乙土地についての根抵当権の変更の登記の申請をすることができる。

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正しい

正しい。共同根抵当権の元本確定後、設定者は極度額の減額を請求でき、その請求は1個の不動産についてすれば足り、他の不動産にも効力が及ぶ(民法398条の21第2項)。利害関係人がいなければ乙土地の変更登記を申請できる。

司法書士平成29年度 問14エ

元本の確定後においては、根抵当権設定者は、その根抵当権の極度額を、現に存する債務の額と以後2年間に生ずべき利息その他の定期金及び債務の不履行による損害賠償の額とを加えた額に減額することを請求することができる。

正誤と理由を見る

正しい

正しい。元本確定後は、現に存する債務の額と以後2年間に生ずべき利息等及び損害賠償額を加えた額への極度額の減額を請求できる(民法398条の21第1項)。

問題で確認する

第398条の21の内容は2問の〇×問題と1問の条文穴埋めで確認できます。