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民法 抵当権・根抵当

第369条〜第398条

民法の抵当権・根抵当分野(第369条〜第398条)をまとめて学べるページです。条文穴埋め42問と判例0件を収録しています。

抵当権・根抵当の解説

抵当権は、債務者や第三者(物上保証人)が占有を移さずに不動産を担保に入れ、債権者が他の債権者に先立って弁済を受けられる担保物権です(369条)。この分野(第369条〜第398条の22)は、抵当権の効力が及ぶ範囲(370条〜372条)、順位と処分(373条〜377条)、抵当不動産を買った第三取得者の保護(378条〜386条)、法定地上権と一括競売(388条・389条)、共同抵当(392条・393条)、根抵当権(398条の2以下)に分かれます。

試験で最も問われるのは法定地上権です。土地と建物が同じ所有者の時に抵当権を設定し、競売で所有者が別になったとき、建物のために地上権が当然に成立します。成否は抵当権設定当時の状況で判断し、更地に抵当権を設定した後に建てた建物には成立しません(その場合は土地と建物を一括して競売できます)。

物上代位では、賃料・保険金・損害賠償金などに抵当権の効力が及ぶこと、払渡し前に差押えが必要なことを押さえます。第三取得者は、抵当権者の請求に応じて代価を払う代価弁済と、自ら金額を示して抵当権の消滅を求める抵当権消滅請求の2つの手段で抵当権を消せます。根抵当権は、元本確定前の変更・譲渡のルールが普通抵当権と大きく違います。

場面抵当権設定当時の状況法定地上権ポイント
土地に抵当権を設定し、競売で土地と建物の所有者が別になった土地と建物が同一所有者で、建物が存在成立する388条の典型。成立を排除する特約をしても成立する
更地に抵当権を設定した後に建物を建てた建物が存在しない成立しない抵当権者は土地と建物を一括して競売できるが、優先弁済は土地の代価だけ(389条)
設定当時は同一所有者だが、建物の登記名義が前の所有者のまま実質は同一所有者成立する所有権移転登記の有無は要件ではない(判例)
設定後に土地か建物の一方が譲渡された設定当時は同一所有者成立する判断の基準は抵当権設定当時
土地が共有で、共有者の一人が建物を所有土地が共有原則として成立しないほかの土地共有者の持分を害するため(判例)
建物が共有で、土地は共有者の一人の単独所有(土地に抵当権)土地所有者が建物の共有者成立するほかの建物共有者も保護される(判例)
土地と建物に共同抵当を設定後、建物を取り壊して再築再築建物には抵当権がない原則として成立しない新建物に土地と同順位の共同抵当が設定された等の特段の事情がある場合は別(判例)
土地の1番抵当権設定時は別所有者、2番抵当権設定時は同一所有者1番抵当権を基準にすると別所有者成立しない1番抵当権が競売前に消滅していれば2番抵当権を基準に判断する(判例)

出典:e-Gov法令検索 民法

4つの論点を具体例で比べる

原則・例外を確認したら、事例と対照例の条件の違いを読み分けてください。善意や過失の要件は、誰について判断するかも確認します。

法定地上権

原則
土地とその上の建物が同じ所有者に属する場合に、土地又は建物に抵当権が設定され、その実行で所有者が別になったときは、建物について地上権が設定されたものとみなされます。地代は当事者の請求で裁判所が定めます。
例外・制限
成否は抵当権設定当時の状況で判断します。設定当時に建物がない(更地)場合は成立しません。当事者が成立を排除する特約をしても法定地上権は成立します。
具体例
Aが自分の土地と、その上の自分の建物のうち土地だけにBのための抵当権を設定し、競売で土地をCが買い受けました。土地と建物の所有者が別になるので、Aの建物のために法定地上権が成立し、AはCの土地を使い続けられます。
条件を変えた対照例
Aが更地にBの抵当権を設定し、その後に建物を建てた場合、競売で所有者が別になっても法定地上権は成立しません。この場合、抵当権者は土地と建物を一括して競売できますが、優先弁済を受けられるのは土地の代価だけです(389条)。
第三者との関係
抵当権設定後に土地又は建物が第三者に譲渡されても、設定当時に同一所有者であれば成立します。土地が共有でその一人が建物を所有する場合は、ほかの土地共有者の利益を害するため原則として成立しないとされます(判例)。

物上代位

原則
抵当権は、目的不動産の売却・賃貸・滅失・損傷によって債務者や所有者が受ける金銭その他の物にも行使できます。賃料、火災保険金、不法行為による損害賠償金などがその例です。
例外・制限
物上代位をするには、その金銭が払い渡される前に抵当権者自身が差押えをしなければなりません。抵当不動産の賃借人が受け取る転貸料には、賃借人を所有者と同視できる場合を除き、物上代位できないとされます(判例)。
具体例
Aの建物にBが抵当権を持っていたところ、建物が火災で焼失しました。Bは、Aが保険会社から受け取る保険金について、払渡し前に差し押さえれば物上代位で優先的に弁済を受けられます。
条件を変えた対照例
保険会社がAに保険金を払い渡した後では、Bはその保険金に物上代位できません。払渡し前の差押えが要件だからです。
第三者との関係
抵当権設定登記がされた後に賃料債権が第三者に譲渡されても、抵当権者は差押えをして物上代位できます(判例)。差押えの要件は、払い渡す側の二重払いの危険を防ぐためのものと説明されます。

抵当権消滅請求

原則
抵当不動産の所有権を取得した第三取得者は、登記をした債権者全員に書面を送り、自ら示した代価又は金額を払うことで抵当権の消滅を請求できます。全員が承諾し、その額を払い渡すか供託すれば抵当権は消滅します。
例外・制限
主たる債務者・保証人とその承継人は請求できません(380条)。停止条件付きの第三取得者は条件の成否が未定の間は請求できません(381条)。競売による差押えの効力が生じる前にしなければなりません(382条)。
具体例
Aの土地にBの抵当権が付いたまま、Cが土地を買いました。CはBに書面を送り、2000万円を払うので抵当権を消してほしいと請求できます。Bが2か月以内に競売を申し立てなければ、その金額を承諾したものとみなされます(384条)。
条件を変えた対照例
抵当権者の側から買主に代価を払うよう求め、買主がそれに応じて払う仕組みは代価弁済です(378条)。代価弁済は抵当権者の請求が起点で、所有権だけでなく地上権を買い受けた者も対象になる点で、抵当権消滅請求と区別します。
第三者との関係
抵当権者は消滅請求を受け入れない場合、2か月以内に抵当権を実行して競売を申し立てます。消滅請求をした第三取得者自身も、その競売で買受人になることができます(390条)。

根抵当権

原則
根抵当権は、一定の範囲に属する不特定の債権を極度額の限度で担保する抵当権です。担保する債権の範囲は、特定の継続的取引契約など、債務者との一定の取引で生じるものに限って定めます。
例外・制限
元本確定前は、被担保債権の範囲や債務者を後順位抵当権者などの承諾なしに変更できますが、確定前に登記しないと変更しなかったものとみなされます(398条の4)。極度額の変更には利害関係人の承諾が必要です(398条の5)。
具体例
A銀行がB社との継続的な融資取引から生じる債権を、極度額5000万円の根抵当権で担保しました。元本確定前は、個々の貸付けが返済されても根抵当権は消えず、新しい貸付けを担保し続けます。
条件を変えた対照例
元本確定前にA銀行から個別の貸付債権を譲り受けたCは、その債権について根抵当権を行使できません(398条の7)。普通抵当権なら債権の譲渡に抵当権が随伴しますが、確定前の根抵当権には随伴性がありません。
第三者との関係
根抵当権者は、確定した元本と利息・損害金の全部を極度額の範囲で行使できます。普通抵当権の「最後の2年分」の制限(375条)は適用されず、極度額が後順位者に対する上限になります(398条の3)。

原文照合日時:2026/10/7 3:30:00(日本時間)

原文照合:e-Gov原文の第369条〜第398条の22(主に370〜372・378〜390・398の2〜398の7)と、この分野の説明・比較表・4つの学習ノートを照合。判例の結論は収録済み過去問の自作解説と一般的な理解で確認し、事件番号・判決原文までは照合していない。人による法的監修は未実施。

確認した原文版:129AC0000000089_20260624_508AC0000000045

e-Govの原文を確認

第二編 物権 / 第十章 抵当権 / 第一節 総則

第369条(抵当権の内容)

抵当権者は、債務者又は第三者が占有を移転しないで債務の担保に供した不動産について、他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有する。

第2項地上権及び永小作権も、抵当権の目的とすることができる。この場合においては、この章の規定を準用する。

第370条(抵当権の効力の及ぶ範囲)

抵当権は、抵当地の上に存する建物を除き、その目的である不動産(以下「抵当不動産」という。)に付加して一体となっている物に及ぶ。ただし、設定行為に別段の定めがある場合及び債務者の行為について第四百二十四条第三項に規定する詐害行為取消請求をすることができる場合は、この限りでない。

第371条

抵当権は、その担保する債権について不履行があったときは、その後に生じた抵当不動産の果実に及ぶ。

第372条(留置権等の規定の準用)問題準備中

第二百九十六条、第三百四条及び第三百五十一条の規定は、抵当権について準用する。

第二編 物権 / 第十章 抵当権 / 第二節 抵当権の効力

第373条(抵当権の順位)

同一の不動産について数個の抵当権が設定されたときは、その抵当権の順位は、登記の前後による。

第374条(抵当権の順位の変更)問題準備中

抵当権の順位は、各抵当権者の合意によって変更することができる。ただし、利害関係を有する者があるときは、その承諾を得なければならない。

第2項前項の規定による順位の変更は、その登記をしなければ、その効力を生じない。

第375条(抵当権の被担保債権の範囲)

抵当権者は、利息その他の定期金を請求する権利を有するときは、その満期となった最後の二年分についてのみ、その抵当権を行使することができる。ただし、それ以前の定期金についても、満期後に特別の登記をしたときは、その登記の時からその抵当権を行使することを妨げない。

第2項前項の規定は、抵当権者が債務の不履行によって生じた損害の賠償を請求する権利を有する場合におけるその最後の二年分についても適用する。ただし、利息その他の定期金と通算して二年分を超えることができない。

第376条(抵当権の処分)

抵当権者は、その抵当権を他の債権の担保とし、又は同一の債務者に対する他の債権者の利益のためにその抵当権若しくはその順位を譲渡し、若しくは放棄することができる。

第2項前項の場合において、抵当権者が数人のためにその抵当権の処分をしたときは、その処分の利益を受ける者の権利の順位は、抵当権の登記にした付記の前後による。

第377条(抵当権の処分の対抗要件)問題準備中

前条の場合には、第四百六十七条の規定に従い、主たる債務者に抵当権の処分を通知し、又は主たる債務者がこれを承諾しなければ、これをもって主たる債務者、保証人、抵当権設定者及びこれらの者の承継人に対抗することができない。

第2項主たる債務者が前項の規定により通知を受け、又は承諾をしたときは、抵当権の処分の利益を受ける者の承諾を得ないでした弁済は、その受益者に対抗することができない。

第378条(代価弁済)

抵当不動産について所有権又は地上権を買い受けた第三者が、抵当権者の請求に応じてその抵当権者にその代価を弁済したときは、抵当権は、その第三者のために消滅する。

第379条(抵当権消滅請求)

抵当不動産の第三取得者は、第三百八十三条の定めるところにより、抵当権消滅請求をすることができる。

第380条

主たる債務者、保証人及びこれらの者の承継人は、抵当権消滅請求をすることができない。

第381条

抵当不動産の停止条件付第三取得者は、その停止条件の成否が未定である間は、抵当権消滅請求をすることができない。

第382条(抵当権消滅請求の時期)

抵当不動産の第三取得者は、抵当権の実行としての競売による差押えの効力が発生する前に、抵当権消滅請求をしなければならない。

第383条(抵当権消滅請求の手続)

抵当不動産の第三取得者は、抵当権消滅請求をするときは、登記をした各債権者に対し、次に掲げる書面を送付しなければならない。

一 取得の原因及び年月日、譲渡人及び取得者の氏名及び住所並びに抵当不動産の性質、所在及び代価その他取得者の負担を記載した書面

二 抵当不動産に関する登記事項証明書(現に効力を有する登記事項のすべてを証明したものに限る。)

三 債権者が二箇月以内に抵当権を実行して競売の申立てをしないときは、抵当不動産の第三取得者が第一号に規定する代価又は特に指定した金額を債権の順位に従って弁済し又は供託すべき旨を記載した書面

第384条(債権者のみなし承諾)

次に掲げる場合には、前条各号に掲げる書面の送付を受けた債権者は、抵当不動産の第三取得者が同条第三号に掲げる書面に記載したところにより提供した同号の代価又は金額を承諾したものとみなす。

一 その債権者が前条各号に掲げる書面の送付を受けた後二箇月以内に抵当権を実行して競売の申立てをしないとき。

二 その債権者が前号の申立てを取り下げたとき。

三 第一号の申立てを却下する旨の決定が確定したとき。

四 第一号の申立てに基づく競売の手続を取り消す旨の決定(民事執行法第百八十八条において準用する同法第六十三条第三項若しくは第六十八条の三第三項の規定又は同法第百八十三条第一項第二号ニに掲げる文書が提出された場合における同条第二項の規定による決定を除く。)が確定したとき。

第385条(競売の申立ての通知)

第三百八十三条各号に掲げる書面の送付を受けた債権者は、前条第一号の申立てをするときは、同号の期間内に、債務者及び抵当不動産の譲渡人にその旨を通知しなければならない。

第386条(抵当権消滅請求の効果)問題準備中

登記をしたすべての債権者が抵当不動産の第三取得者の提供した代価又は金額を承諾し、かつ、抵当不動産の第三取得者がその承諾を得た代価又は金額を払い渡し又は供託したときは、抵当権は、消滅する。

第387条(抵当権者の同意の登記がある場合の賃貸借の対抗力)

登記をした賃貸借は、その登記前に登記をした抵当権を有するすべての者が同意をし、かつ、その同意の登記があるときは、その同意をした抵当権者に対抗することができる。

第2項抵当権者が前項の同意をするには、その抵当権を目的とする権利を有する者その他抵当権者の同意によって不利益を受けるべき者の承諾を得なければならない。

第388条(法定地上権)

土地及びその上に存する建物が同一の所有者に属する場合において、その土地又は建物につき抵当権が設定され、その実行により所有者を異にするに至ったときは、その建物について、地上権が設定されたものとみなす。この場合において、地代は、当事者の請求により、裁判所が定める。

第389条(抵当地の上の建物の競売)

抵当権の設定後に抵当地に建物が築造されたときは、抵当権者は、土地とともにその建物を競売することができる。ただし、その優先権は、土地の代価についてのみ行使することができる。

第2項前項の規定は、その建物の所有者が抵当地を占有するについて抵当権者に対抗することができる権利を有する場合には、適用しない。

第390条(抵当不動産の第三取得者による買受け)

抵当不動産の第三取得者は、その競売において買受人となることができる。

第391条(抵当不動産の第三取得者による費用の償還請求)

抵当不動産の第三取得者は、抵当不動産について必要費又は有益費を支出したときは、第百九十六条の区別に従い、抵当不動産の代価から、他の債権者より先にその償還を受けることができる。

第392条(共同抵当における代価の配当)問題準備中

債権者が同一の債権の担保として数個の不動産につき抵当権を有する場合において、同時にその代価を配当すべきときは、その各不動産の価額に応じて、その債権の負担を按分する。

第2項債権者が同一の債権の担保として数個の不動産につき抵当権を有する場合において、ある不動産の代価のみを配当すべきときは、抵当権者は、その代価から債権の全部の弁済を受けることができる。この場合において、次順位の抵当権者は、その弁済を受ける抵当権者が前項の規定に従い他の不動産の代価から弁済を受けるべき金額を限度として、その抵当権者に代位して抵当権を行使することができる。

第393条(共同抵当における代位の付記登記)問題準備中

前条第二項後段の規定により代位によって抵当権を行使する者は、その抵当権の登記にその代位を付記することができる。

第394条(抵当不動産以外の財産からの弁済)問題準備中

抵当権者は、抵当不動産の代価から弁済を受けない債権の部分についてのみ、他の財産から弁済を受けることができる。

第2項前項の規定は、抵当不動産の代価に先立って他の財産の代価を配当すべき場合には、適用しない。この場合において、他の各債権者は、抵当権者に同項の規定による弁済を受けさせるため、抵当権者に配当すべき金額の供託を請求することができる。

第395条(抵当建物使用者の引渡しの猶予)

抵当権者に対抗することができない賃貸借により抵当権の目的である建物の使用又は収益をする者であって次に掲げるもの(次項において「抵当建物使用者」という。)は、その建物の競売における買受人の買受けの時から六箇月を経過するまでは、その建物を買受人に引き渡すことを要しない。

一 競売手続の開始前から使用又は収益をする者

二 強制管理又は担保不動産収益執行の管理人が競売手続の開始後にした賃貸借により使用又は収益をする者

第2項前項の規定は、買受人の買受けの時より後に同項の建物の使用をしたことの対価について、買受人が抵当建物使用者に対し相当の期間を定めてその一箇月分以上の支払の催告をし、その相当の期間内に履行がない場合には、適用しない。

第二編 物権 / 第十章 抵当権 / 第三節 抵当権の消滅

第396条(抵当権の消滅時効)

抵当権は、債務者及び抵当権設定者に対しては、その担保する債権と同時でなければ、時効によって消滅しない。

第397条(抵当不動産の時効取得による抵当権の消滅)問題準備中

債務者又は抵当権設定者でない者が抵当不動産について取得時効に必要な要件を具備する占有をしたときは、抵当権は、これによって消滅する。

第398条(抵当権の目的である地上権等の放棄)

地上権又は永小作権を抵当権の目的とした地上権者又は永小作人は、その権利を放棄しても、これをもって抵当権者に対抗することができない。

第二編 物権 / 第十章 抵当権 / 第四節 根抵当

第398条の2(根抵当権)

抵当権は、設定行為で定めるところにより、一定の範囲に属する不特定の債権を極度額の限度において担保するためにも設定することができる。

第2項前項の規定による抵当権(以下「根抵当権」という。)の担保すべき不特定の債権の範囲は、債務者との特定の継続的取引契約によって生ずるものその他債務者との一定の種類の取引によって生ずるものに限定して、定めなければならない。

第3項特定の原因に基づいて債務者との間に継続して生ずる債権、手形上若しくは小切手上の請求権又は電子記録債権(電子記録債権法(平成十九年法律第百二号)第二条第一項に規定する電子記録債権をいう。次条第二項において同じ。)は、前項の規定にかかわらず、根抵当権の担保すべき債権とすることができる。

第398条の3(根抵当権の被担保債権の範囲)

根抵当権者は、確定した元本並びに利息その他の定期金及び債務の不履行によって生じた損害の賠償の全部について、極度額を限度として、その根抵当権を行使することができる。

第2項債務者との取引によらないで取得する手形上若しくは小切手上の請求権又は電子記録債権を根抵当権の担保すべき債権とした場合において、次に掲げる事由があったときは、その前に取得したものについてのみ、その根抵当権を行使することができる。ただし、その後に取得したものであっても、その事由を知らないで取得したものについては、これを行使することを妨げない。

一 債務者の支払の停止

二 債務者についての破産手続開始、再生手続開始、更生手続開始又は特別清算開始の申立て

三 抵当不動産に対する競売の申立て又は滞納処分による差押え

第398条の4(根抵当権の被担保債権の範囲及び債務者の変更)

元本の確定前においては、根抵当権の担保すべき債権の範囲の変更をすることができる。債務者の変更についても、同様とする。

第2項前項の変更をするには、後順位の抵当権者その他の第三者の承諾を得ることを要しない。

第3項第一項の変更について元本の確定前に登記をしなかったときは、その変更をしなかったものとみなす。

第398条の5(根抵当権の極度額の変更)

根抵当権の極度額の変更は、利害関係を有する者の承諾を得なければ、することができない。

第398条の6(根抵当権の元本確定期日の定め)

根抵当権の担保すべき元本については、その確定すべき期日を定め又は変更することができる。

第2項第三百九十八条の四第二項の規定は、前項の場合について準用する。

第3項第一項の期日は、これを定め又は変更した日から五年以内でなければならない。

第4項第一項の期日の変更についてその変更前の期日より前に登記をしなかったときは、担保すべき元本は、その変更前の期日に確定する。

第398条の7(根抵当権の被担保債権の譲渡等)

元本の確定前に根抵当権者から債権を取得した者は、その債権について根抵当権を行使することができない。元本の確定前に債務者のために又は債務者に代わって弁済をした者も、同様とする。

第2項元本の確定前に債務の引受けがあったときは、根抵当権者は、引受人の債務について、その根抵当権を行使することができない。

第3項元本の確定前に免責的債務引受があった場合における債権者は、第四百七十二条の四第一項の規定にかかわらず、根抵当権を引受人が負担する債務に移すことができない。

第4項元本の確定前に債権者の交替による更改があった場合における更改前の債権者は、第五百十八条第一項の規定にかかわらず、根抵当権を更改後の債務に移すことができない。元本の確定前に債務者の交替による更改があった場合における債権者も、同様とする。

第398条の8(根抵当権者又は債務者の相続)

元本の確定前に根抵当権者について相続が開始したときは、根抵当権は、相続開始の時に存する債権のほか、相続人と根抵当権設定者との合意により定めた相続人が相続の開始後に取得する債権を担保する。

第2項元本の確定前にその債務者について相続が開始したときは、根抵当権は、相続開始の時に存する債務のほか、根抵当権者と根抵当権設定者との合意により定めた相続人が相続の開始後に負担する債務を担保する。

第3項第三百九十八条の四第二項の規定は、前二項の合意をする場合について準用する。

第4項第一項及び第二項の合意について相続の開始後六箇月以内に登記をしないときは、担保すべき元本は、相続開始の時に確定したものとみなす。

第398条の9(根抵当権者又は債務者の合併)

元本の確定前に根抵当権者について合併があったときは、根抵当権は、合併の時に存する債権のほか、合併後存続する法人又は合併によって設立された法人が合併後に取得する債権を担保する。

第2項元本の確定前にその債務者について合併があったときは、根抵当権は、合併の時に存する債務のほか、合併後存続する法人又は合併によって設立された法人が合併後に負担する債務を担保する。

第3項前二項の場合には、根抵当権設定者は、担保すべき元本の確定を請求することができる。ただし、前項の場合において、その債務者が根抵当権設定者であるときは、この限りでない。

第4項前項の規定による請求があったときは、担保すべき元本は、合併の時に確定したものとみなす。

第5項第三項の規定による請求は、根抵当権設定者が合併のあったことを知った日から二週間を経過したときは、することができない。合併の日から一箇月を経過したときも、同様とする。

第398条の10(根抵当権者又は債務者の会社分割)問題準備中

元本の確定前に根抵当権者を分割をする会社とする分割があったときは、根抵当権は、分割の時に存する債権のほか、分割をした会社及び分割により設立された会社又は当該分割をした会社がその事業に関して有する権利義務の全部又は一部を当該会社から承継した会社が分割後に取得する債権を担保する。

第2項元本の確定前にその債務者を分割をする会社とする分割があったときは、根抵当権は、分割の時に存する債務のほか、分割をした会社及び分割により設立された会社又は当該分割をした会社がその事業に関して有する権利義務の全部又は一部を当該会社から承継した会社が分割後に負担する債務を担保する。

第3項前条第三項から第五項までの規定は、前二項の場合について準用する。

第398条の11(根抵当権の処分)

元本の確定前においては、根抵当権者は、第三百七十六条第一項の規定による根抵当権の処分をすることができない。ただし、その根抵当権を他の債権の担保とすることを妨げない。

第2項第三百七十七条第二項の規定は、前項ただし書の場合において元本の確定前にした弁済については、適用しない。

第398条の12(根抵当権の譲渡)

元本の確定前においては、根抵当権者は、根抵当権設定者の承諾を得て、その根抵当権を譲り渡すことができる。

第2項根抵当権者は、その根抵当権を二個の根抵当権に分割して、その一方を前項の規定により譲り渡すことができる。この場合において、その根抵当権を目的とする権利は、譲り渡した根抵当権について消滅する。

第3項前項の規定による譲渡をするには、その根抵当権を目的とする権利を有する者の承諾を得なければならない。

第398条の13(根抵当権の一部譲渡)

元本の確定前においては、根抵当権者は、根抵当権設定者の承諾を得て、その根抵当権の一部譲渡(譲渡人が譲受人と根抵当権を共有するため、これを分割しないで譲り渡すことをいう。以下この節において同じ。)をすることができる。

第398条の14(根抵当権の共有)

根抵当権の共有者は、それぞれその債権額の割合に応じて弁済を受ける。ただし、元本の確定前に、これと異なる割合を定め、又はある者が他の者に先立って弁済を受けるべきことを定めたときは、その定めに従う。

第2項根抵当権の共有者は、他の共有者の同意を得て、第三百九十八条の十二第一項の規定によりその権利を譲り渡すことができる。

第398条の15(抵当権の順位の譲渡又は放棄と根抵当権の譲渡又は一部譲渡)

抵当権の順位の譲渡又は放棄を受けた根抵当権者が、その根抵当権の譲渡又は一部譲渡をしたときは、譲受人は、その順位の譲渡又は放棄の利益を受ける。

第398条の16(共同根抵当)

第三百九十二条及び第三百九十三条の規定は、根抵当権については、その設定と同時に同一の債権の担保として数個の不動産につき根抵当権が設定された旨の登記をした場合に限り、適用する。

第398条の17(共同根抵当の変更等)

前条の登記がされている根抵当権の担保すべき債権の範囲、債務者若しくは極度額の変更又はその譲渡若しくは一部譲渡は、その根抵当権が設定されているすべての不動産について登記をしなければ、その効力を生じない。

第2項前条の登記がされている根抵当権の担保すべき元本は、一個の不動産についてのみ確定すべき事由が生じた場合においても、確定する。

第398条の18(累積根抵当)

数個の不動産につき根抵当権を有する者は、第三百九十八条の十六の場合を除き、各不動産の代価について、各極度額に至るまで優先権を行使することができる。

第398条の19(根抵当権の元本の確定請求)

根抵当権設定者は、根抵当権の設定の時から三年を経過したときは、担保すべき元本の確定を請求することができる。この場合において、担保すべき元本は、その請求の時から二週間を経過することによって確定する。

第2項根抵当権者は、いつでも、担保すべき元本の確定を請求することができる。この場合において、担保すべき元本は、その請求の時に確定する。

第3項前二項の規定は、担保すべき元本の確定すべき期日の定めがあるときは、適用しない。

第398条の20(根抵当権の元本の確定事由)

次に掲げる場合には、根抵当権の担保すべき元本は、確定する。

一 根抵当権者が抵当不動産について競売若しくは担保不動産収益執行又は第三百七十二条において準用する第三百四条の規定による差押えを申し立てたとき。ただし、競売手続若しくは担保不動産収益執行手続の開始又は差押えがあったときに限る。

二 根抵当権者が抵当不動産に対して滞納処分による差押えをしたとき。

三 根抵当権者が抵当不動産に対する競売手続の開始又は滞納処分による差押えがあったことを知った時から二週間を経過したとき。

四 債務者又は根抵当権設定者が破産手続開始の決定を受けたとき。

第2項前項第三号の競売手続の開始若しくは差押え又は同項第四号の破産手続開始の決定の効力が消滅したときは、担保すべき元本は、確定しなかったものとみなす。ただし、元本が確定したものとしてその根抵当権又はこれを目的とする権利を取得した者があるときは、この限りでない。

第398条の21(根抵当権の極度額の減額請求)

元本の確定後においては、根抵当権設定者は、その根抵当権の極度額を、現に存する債務の額と以後二年間に生ずべき利息その他の定期金及び債務の不履行による損害賠償の額とを加えた額に減額することを請求することができる。

第2項第三百九十八条の十六の登記がされている根抵当権の極度額の減額については、前項の規定による請求は、そのうちの一個の不動産についてすれば足りる。

第398条の22(根抵当権の消滅請求)

元本の確定後において現に存する債務の額が根抵当権の極度額を超えるときは、他人の債務を担保するためその根抵当権を設定した者又は抵当不動産について所有権、地上権、永小作権若しくは第三者に対抗することができる賃借権を取得した第三者は、その極度額に相当する金額を払い渡し又は供託して、その根抵当権の消滅請求をすることができる。この場合において、その払渡し又は供託は、弁済の効力を有する。

第2項第三百九十八条の十六の登記がされている根抵当権は、一個の不動産について前項の消滅請求があったときは、消滅する。

第3項第三百八十条及び第三百八十一条の規定は、第一項の消滅請求について準用する。