資格ジュピター条文穴埋め・判例演習

第三編 債権/第二章 契約/第二節 贈与

民法 第550条(書面によらない贈与の解除)

分野:贈与

出題試験:宅建重要度 中行政書士重要度 高司法書士重要度 中マンション管理士重要度 高管理業務主任者重要度 中

重要度は過去問の出題年度などをもとにした当サイトの評価です。

この条の要点

  • 受贈者の解除権と意思表示による解除:書面によらない贈与の解除権は贈与者・受贈者の双方にあり、意思表示で行使できる。
  • 履行の終わった部分への解除の不遡及:書面によらない贈与の解除は未履行部分に限られ、給付済み部分の返還請求はできない。

条文原文

色付きの語句は試験で問われる重要な語句です。

第550条(書面によらない贈与の解除)

書面によらない贈与は、各当事者が解除をすることができる。ただし、履行の終わった部分については、この限りでない。

条文の要点

書面によらない贈与とは、書面を用いずにされた贈与で、各当事者が履行の終わっていない部分について解除できます(550条)。

解除できるのは贈与者だけでなく受贈者もで、理由は問われず催告も要りません。履行の終わった部分には及びません。書面による贈与はこの特別の解除を受けないので、解除には債務不履行など一般の解除原因が要ります。

書面によらない贈与の「書面」の意義

書面による贈与に当たるかは、贈与者の意思を確実にする書面があるかで決まります。契約書の作成日付や移転期日の記載、署名押印の網羅といった厳格な記載要件までは要りません。口約束でも贈与自体は成立し、書面の有無は撤回の可否だけを左右します。

項役割内容
1項本文効果書面によらない贈与は、贈与者・受贈者のいずれからも解除できる
1項ただし書例外履行の終わった部分については解除できない

具体例

AがBに自分の車を贈与すると口頭で約束しました。引渡し前にAが贈与をやめる旨の意思表示をしました。

書面によらない贈与なので、Aは理由を示さずに解除でき、車を引き渡す義務を負いません。

反例(結論が変わる)

同じ設定で、Aが既に車をBに引き渡して名義変更も済ませていた場合に変えます。

履行の終わった部分には解除が及ばないので、Aは車の返還を求められません。

関連条との違い

  • 民法 第549条:贈与は意思表示と受諾で成立する諾成契約で、口頭でも有効。書面の有無は成立要件ではなく解除の可否だけに効く
  • 民法 第541条:債務不履行による解除は相手方の不履行と相当期間の催告が前提。550条の解除は不履行も催告も要らない贈与特有の撤回

過去問で誤りとされた肢の型

  • 行政書士平成27年 問33肢1

    引渡しと登記が済んだ後でも贈与者は撤回できるとした誤り。履行の終わった部分は解除できない

  • 行政書士平成27年 問33肢2

    書面による贈与に当たるには作成日付・期日・署名押印の記載を欠かせないとした誤り。そのような厳格な記載要件はない

  • マン管令和4年度 問15肢1

    贈与契約の成立に書面が要るとした誤り。贈与は口頭でも成立し、書面がないと解除を許されるだけ

ほかの誤り肢は「この条文を解説で参照する過去問」で確認できます。

法令版: 2026年6月24日施行版

この条文の〇×問題(2問)

受贈者の解除権と意思表示による解除

書面を用いず口頭でされた贈与契約では、解除できるのは財産を与える贈与者に限られるわけではなく、財産を受け取る受贈者もまた、相手方に対する意思表示をもって契約を解除することができる。

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正解 ○

正しい。民法550条は書面によらない贈与について各当事者が解除できると定め、解除権は贈与者だけでなく受贈者にも認められる。解除は540条1項により相手方への意思表示によってし、書面によらない贈与の履行前なら理由は問わない。

学習ポイント:書面によらない贈与の解除権は贈与者・受贈者の双方にあり、意思表示で行使できる。

第550条本文、関連:第540条1項

履行の終わった部分への解除の不遡及

書面によらない贈与を解除した贈与者は、解除の効果が契約の全範囲に及ぶため、既に履行が終わった部分についても相手方に給付の返還を求めることができる。

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正解 ×

誤り。民法550条ただし書は、履行の終わった部分については解除できないと定める。一般の解除には545条1項の原状回復義務が伴うが、本条の解除は未履行部分に限られ、既に給付が終わった部分の返還を求めることはできない。

学習ポイント:書面によらない贈与の解除は未履行部分に限られ、給付済み部分の返還請求はできない。

第550条ただし書、関連:第545条1項

この条文を解説で参照する過去問

行政書士平成27年 問33肢1

本件贈与が口頭によるものであった場合、贈与契約は諾成契約であるから契約は成立するが、書面によらない贈与につき贈与者はいつでも撤回することができるため、甲がBに引き渡されて所有権移転登記手続が終了した後であっても、Aは本件贈与を撤回することができる。

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妥当ではない

書面によらない贈与でも履行の終わった部分は撤回できない(550条但書)。妥当ではない。

行政書士平成27年 問33肢2

本件贈与が書面によるものであるというためには、Aの贈与意思の確保を図るため、AB間において贈与契約書が作成され、作成日付、目的物、移転登記手続の期日および当事者の署名押印がされていなければならない。

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妥当ではない

書面による贈与であるために契約書の作成日付・期日・署名押印等の厳格な記載要件はない。妥当ではない。

司法書士令和6年度 問18イ

受贈者は、書面によらない贈与であれば、履行の終わった部分についても解除することができる。

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誤り

誤り。書面によらない贈与は各当事者が解除できるが、履行の終わった部分については解除できない(550条ただし書)。

マン管令和7年度 問15肢1

Aが101号室をBに贈与する契約をしたが、これを書面によってしなかったときは、履行が終了しない限りAは贈与契約を解除することができる。

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正しい

正しい。書面によらない贈与は履行が終了するまで各当事者が解除することができる。

マン管令和4年度 問15肢1

Aが、Bとの間で、302号室をBに贈与する旨の贈与契約を成立させるためには、書面によって契約をする必要がある。

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誤り

誤り。贈与は口頭でも成立する(書面によらない贈与は履行前に撤回できるにすぎない・550条)。

マン管令和元年度 問12肢2

Aが、Cに対し、101 号室を書面によらずに贈与することとして、その所有権をCに移転し、登記したときは、AはCに対する贈与を撤回できない。

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正しい

正しい。書面によらない贈与でも履行の終わった部分は撤回できず、所有権移転・登記済みなら撤回できない。

問題で確認する

第550条の内容は2問の〇×問題と1問の条文穴埋めで確認できます。