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第三編 債権/第二章 契約/第一節 総則/第四款 契約の解除

民法 第541条(催告による解除)

分野:契約総則

出題試験:宅建重要度 高行政書士重要度 高司法書士重要度 中賃貸不動産経営管理士重要度 中マンション管理士重要度 中管理業務主任者重要度 中

重要度は過去問の出題年度などをもとにした当サイトの評価です。

この条の要点

  • 軽微な不履行による解除の制限:催告期間の経過後でも、経過時点の不履行が軽微なら解除できないかを確認する。
  • 履行拒絶の明確な意思表示による無催告解除:全部の履行拒絶が明確に表示された場合に催告なしで直ちに解除できるかを確認する。

条文原文

色付きの語句は試験で問われる重要な語句です。

第541条(催告による解除)

当事者の一方がその債務を履行しない場合において、相手方が相当の期間を定めてその履行の催告をし、その期間内に履行がないときは、相手方は、契約の解除をすることができる。ただし、その期間を経過した時における債務の不履行がその契約及び取引上の社会通念に照らして軽微であるときは、この限りでない。

条文の要点

催告解除とは、債務の不履行があるときに、相当の期間を定めて履行を催告し、期間内に履行がない場合にする契約の解除です(541条本文)。

解除権の発生に債務者の帰責事由は要りません。ただし催告期間を経過した時点で不履行が軽微なら解除できません。履行不能や履行拒絶の明示などでは、催告なしで解除できる道が別途開かれています。

催告解除の軽微な不履行による制限

催告の期間内に履行がなくても、期間を経過した時における不履行が契約及び取引上の社会通念に照らして軽微なときは解除できません。代金のほぼ全額が支払われ残額だけが未払いという場合が典型です。期間を定めない催告でも、催告から相当の期間が経過すれば解除できるとされています(判例)。

項役割内容
1項本文要件当事者の一方がその債務を履行していない
1項本文手続相手方が相当の期間を定めて履行の催告をする
1項本文効果その期間内に履行がなければ、相手方は契約を解除できる
1項ただし書例外期間経過時の不履行が軽微なときは解除できない

具体例

AがBに機械を売り、Bが代金の支払期を過ぎても支払いません。Aは相当の期間を定めて支払を催告しましたが、Bは期間内に支払いませんでした。

Aは催告解除ができます。Bの帰責事由の有無は解除権の発生に関係しません。

反例(結論が変わる)

同じ設定で、Bが代金のほぼ全額を支払い済みで、期間経過時の未払額が取引上軽微と認められる場合に変えます。

不履行が軽微なのでAは解除できず、残額の支払を求めるにとどまります。

関連条との違い

  • 民法 第542条:履行の全部が不能、全部の履行拒絶の明示、定期行為の時期徒過、催告しても足りる履行の見込みなし、では催告なしで直ちに解除できる
  • 民法 第543条:不履行が債権者の帰責事由によるものなら、541条・542条どちらの解除もできない。債務者の帰責事由は問わないのに債権者の帰責事由は問う点に差がある

過去問で誤りとされた肢の型

  • 司法書士令和3年度 問18エ

    契約不適合による解除に売主の帰責事由が要るとした誤り。解除・追完・代金減額に帰責事由は不要で、要るのは損害賠償の請求だけ

  • 宅建令和6年 問4肢1

    履行拒絶の意思を明確に表示されても相当期間の催告が必要とした誤り。全部の履行拒絶の明示では無催告で解除できる

  • 宅建令和2年10月 問3肢2

    債務者の帰責事由がなければ解除できないとした誤り。現行法では帰責事由は解除権の発生要件に含まれない

ほかの誤り肢は「この条文を解説で参照する過去問」で確認できます。

法令版: 2026年6月24日施行版

この条文の〇×問題(2問)

軽微な不履行による解除の制限

債務者が債務を履行せず、債権者が相当の期間を定めて履行を催告したがその期間内に履行がない場合でも、その期間を経過した時における不履行が契約や取引の慣行に照らして軽微であるときは、債権者は契約を解除することができない。

正解と解説を見る

正解 ○

正しい。催告による解除には、相当の期間を定めた催告と期間内の不履行だけでは足りず、期間を経過した時における債務の不履行が契約及び取引上の社会通念に照らして軽微なときは解除できないとされる。解除権の濫用を抑える明示的な例外で、軽微かどうかは期間経過時を基準に判断する。

学習ポイント:催告期間の経過後でも、経過時点の不履行が軽微なら解除できないかを確認する。

第541条ただし書

履行拒絶の明確な意思表示による無催告解除

債務者がその債務の全部の履行を拒絶する意思を明確に表示した場合でも、債権者は相当の期間を定めて履行の催告をし、その期間内に履行がないことを確認して初めて契約を解除することができる。

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正解 ×

誤り。債務者が債務の全部の履行を拒絶する意思を明確に表示した場合は、履行を促す催告の実益がないため、債権者は催告を経ずに直ちに契約を解除できる。相当の期間を定めた催告を要するのは原則的な不履行の場面であり、履行拒絶の明確な表示はその例外に当たる。

学習ポイント:全部の履行拒絶が明確に表示された場合に催告なしで直ちに解除できるかを確認する。

関連:第542条1項2号、第541条

この条文を解説で参照する過去問

行政書士令和4年 問31肢5

売買契約において、買主が代金の一部の支払を遅滞した場合、売主が相当の期間を定めてその支払の催告をし、その期間内に買主が代金を完済しなかったとしても、その時点における代金額の不足が軽微であるときは、売主の売買契約の解除が制限されることがある。

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妥当である

代金の一部不履行で催告後も未払いでも、不足額が軽微なときは解除が制限される(541条の信義則的制限・判例)。妥当。

行政書士平成27年 問32肢4

履行期日にAが電器製品を持参したにもかかわらず、Bが売買代金を支払えなかった場合、Aは、相当期間を定めて催告した上でなければ、原則として本件売買契約を解除することができない。

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正しい

履行遅滞による解除は原則として相当期間を定めた催告を要する(541条)。正しい。

行政書士平成25年 問31イ

Aが、その所有する建物をBに売却する契約を締結したが、その後、引渡し期日が到来してもAはBに建物を引き渡していない。Bが、期間を定めずに催告した場合、Bは改めて相当の期間を定めて催告をしなければ、当該売買契約を解除することはできない。

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期間を定めない催告後に相当の期間が経過すれば解除が認められ、改めて相当期間を定めた催告は必ずしも要しない(判例)。妥当ではない。

司法書士令和3年度 問18エ

売主が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しない目的物を買主に引き渡した場合であっても、売主の責めに帰すべき事由がないときは、買主は、その不適合を理由として、当該売買契約の解除をすることができない。

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誤り

誤り。契約不適合責任における解除・代金減額・追完請求は売主の帰責事由を要件としない。売主に帰責事由がなくても、不適合により契約目的を達せられないとき等は解除できる(564条・541条・542条)。帰責事由が要件となるのは損害賠償請求である。

宅建令和6年 問4肢1

売買代金を受領したCが甲土地の引渡しを拒絶する意思を明確に表示したとしても、Bは、Cに対して相当の期間を定めた催告をしなければ、本件契約を解除することができない。

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誤り

誤り。引渡しの拒絶(履行拒絶)の意思表示があれば、催告なしに解除できる(民法541条ただし書)。

宅建令和2年10月 問3肢2

債務者が債務を履行しない場合であっても、債務不履行について債務者の責めに帰すべき事由がないときは付随的義務の不履行となり、特段の事情がない限り、債権者は契約の解除をすることができない。

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誤り

誤り。改正民法では債務者の責めに帰すべき事由がなくても催告解除は可能(債務者帰責要件は解除の要件から削除)。附随的義務かどうかの問題でない。

宅建令和2年10月 問3肢3

債務不履行に対して債権者が相当の期間を定めて履行を催告してその期間内に履行がなされない場合であっても、催告期間が経過した時における債務不履行がその契約及び取引上の社会通念に照らして軽微であるときは、債権者は契約の解除をすることができない。

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正しい

正しい。催告期間経過時の債務不履行が軽微な場合は解除できない(民法541条但書)。

賃管令和7年度 問6肢1

賃貸人が賃借人の賃料不払を理由に賃貸借契約を解除する場合、賃借人の帰責事由は解除権行使の要件にならない。

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正しい

正しい。賃料不払による債務不履行解除に賃借人の帰責事由は要件とならない。

問題で確認する

第541条の内容は2問の〇×問題と1問の条文穴埋めで確認できます。