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第五編 相続/第四章 相続の承認及び放棄/第二節 相続の承認/第二款 限定承認

民法 第923条(共同相続人の限定承認)

分野:相続の承認・放棄・財産分離

出題試験:宅建重要度 中行政書士重要度 中司法書士重要度 中マンション管理士重要度 中管理業務主任者重要度 中

重要度は過去問の出題年度などをもとにした当サイトの評価です。

この条の要点

  • 限定承認の全員共同性:限定承認は共同相続人の全員共同でしかできず、放棄のように単独ですることはできない。
  • 放棄した共同相続人がいる場合の限定承認:放棄した者は初めから相続人でない扱いなので、残りの相続人全員が共同すれば限定承認できる。

条文原文

色付きの語句は試験で問われる重要な語句です。

第923条(共同相続人の限定承認)

相続人が数人あるときは、限定承認は、共同相続人の全員が共同してのみこれをすることができる。

条文の要点

共同相続人の限定承認とは、相続人が数人いるときに、共同相続人の全員が共同してする相続財産の限度での承認です(923条)。

一人だけの申述では効力が生じず、全員の意思がそろわなければ限定承認はできません。全員で共同するときは、相続で得た財産の限度で被相続人の債務と遺贈を弁済すれば足ります。

共同相続人の限定承認の共同性

放棄が各相続人が単独でできるのに対し、限定承認は全員の共同が要件です。放棄した者は初めから相続人でない扱いなので、残りの相続人全員の共同で限定承認できます。一方、一人でも単純承認をした者がいると、その者を含めた全員共同は成立しなくなります。

項役割内容
1項要件相続人が数人あること
1項要件共同相続人の全員の意思がそろうこと
1項効果全員の共同としての限定承認が成立する

具体例

Aが死亡し相続人は子B・Cの2人です。Aに多額の債務があり、BとCは財産限度の承認をしたいと考えています。

BとCが共同して期間内に家庭裁判所へ財産目録を添えて申述すれば、限定承認が成立します。

反例(結論が変わる)

同じ設定で、Cがすでに単純承認をしていて、Bだけが限定承認を申述した場合に変えます。

B単独の申述は全員共同の要件を欠き限定承認は成立せず、Cが単純承認した以上Bは限定承認をできません。

関連条との違い

  • 民法 第939条:放棄は各相続人が単独で申述できる。限定承認の共同性とは対照的で、一人の放棄は他の相続人の放棄を不要にする
  • 民法 第922条:922条が限定承認の内容(得た財産の限度での弁済留保)を定め、923条は人数の要件を定める
  • 民法 第924条:限定承認は期間内に相続財産の目録を作って家裁に申述する。方式の不備も全員共同と同じく成立を妨げる

過去問で誤りとされた肢の型

  • 行政書士平成24年 問35ア

    一人の相続人が単独で限定承認できるとする誤り。数人の相続では全員の共同が要件

  • 宅建平成29年 問6肢4

    一人の限定承認の申述で他の相続人も申述したとみなす誤り。全員共同の要件を欠くため、単独の申述では限定承認の効力自体が生じない

ほかの誤り肢は「この条文を解説で参照する過去問」で確認できます。

法令版: 2026年6月24日施行版

この条文の〇×問題(2問)

限定承認の全員共同性

甲の相続人として乙と丙がいる場合に、乙だけが相続財産の目録を添えて家庭裁判所に限定承認の申述をしても、限定承認は共同相続人の全員が共同してしなければならないため、乙の申述のみでは限定承認の効力は生じない。

正解と解説を見る

正解 ○

正しい。共同相続人がいる場合、限定承認は全員が共同してのみできるとされる。一人だけの申述はこの共同性の要件を欠くため効力を生じない。なお、相続の放棄は各共同相続人がそれぞれ単独でできる点が限定承認と大きく異なる。

学習ポイント:限定承認は共同相続人の全員共同でしかできず、放棄のように単独ですることはできない。

第923条、関連:第924条

放棄した共同相続人がいる場合の限定承認

共同相続人の一人が相続の放棄をした場合、限定承認は共同相続人の全員が共同してしなければならないため、残りの相続人は限定承認をすることができない。

正解と解説を見る

正解 ×

誤り。相続の放棄をした者は初めから相続人とならなかったものとみなされるため、限定承認の共同性は放棄した者を除く残りの共同相続人全員の共同で足りる。放棄者が出たことで残りの者が限定承認できなくなるという結論は誤りである。

学習ポイント:放棄した者は初めから相続人でない扱いなので、残りの相続人全員が共同すれば限定承認できる。

第923条、関連:第939条

この条文を解説で参照する過去問

行政書士平成24年 問35ア

Bが2010年10月1日にAの死亡を知った場合において、Bは、その時から3ヶ月以内に単独で限定承認をすることができ、相続人全員で共同してする必要はない。

正誤と理由を見る

誤り

限定承認は共同相続人の全員が共同してしなければならず(923条)、単独ではできない。誤り。

行政書士平成22年 問35イ

Aの相続についての限定承認は、BとCが共同してのみ家庭裁判所に申述することができる。

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正しい

共同相続人がある場合の限定承認は、相続人の全員が共同してのみ申述できる(923条)。正しい。

司法書士令和2年度 問22オ

Aが死亡し、その相続人がAの子B,C及びDである場合において、Bが相続の放棄をしたときは、C及びDは共同して限定承認をすることができる。

正誤と理由を見る

正しい

正しい。限定承認は共同相続人の全員が共同してのみすることができる(民法923条)が、相続放棄をした者は初めから相続人でなかったものとみなされるため(民法939条)、残りのC・Dのみで限定承認できる。

宅建平成29年 問6肢4

Bが自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内に家庭裁判所に対して、相続によって得た財産の限度においてのみAの債務及び遺贈を弁済すべきことを留保して相続を承認する限定承認をする旨を申述すれば、Cも限定承認をする旨を申述したとみなされる。

正誤と理由を見る

誤り

誤り。限定承認は共同相続人の全員が共同してしなければならず、Bのみの申述ではCに効力は及ばない(民法923条)。

宅建平成28年 問10肢3

Cが単純承認をしたときは、Bは限定承認をすることができない。

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正しい

正しい。相続人が数人あるときは、限定承認は共同相続人の全員が共同してのみすることができる(民法923条)。Cが単純承認をした以上、Bは限定承認をすることができない。

管業令和元年度 問1肢2

相続人が数人あるときは、限定承認は、共同相続人の全員が共同してのみこれをすることができる。

正誤と理由を見る

正しい

正しい。相続人が数人あるときは、限定承認は共同相続人の全員が共同してのみすることができる。

問題で確認する

第923条の内容は2問の〇×問題と1問の条文穴埋めで確認できます。