第二編 株式会社/第四章 機関/第二節 株主総会以外の機関の設置
会社法 第327条(取締役会等の設置義務等)
この条の要点
- 取締役会の設置義務がある会社:取締役会必置は公開会社・監査役会設置・監査等委員会設置・指名委員会等設置の4類型。
- 監査役の設置義務と機関の排他関係:監査等委員会設置・指名委員会等設置会社は監査役を置けない。排他関係。
条文原文
色付きの語句は試験で問われる重要な語句です。
第327条(取締役会等の設置義務等)
次に掲げる株式会社は、取締役会を置かなければならない。
一 公開会社
二 監査役会設置会社
三 監査等委員会設置会社
四 指名委員会等設置会社
②取締役会設置会社(監査等委員会設置会社及び指名委員会等設置会社を除く。)は、監査役を置かなければならない。ただし、公開会社でない会計参与設置会社については、この限りでない。
③会計監査人設置会社(監査等委員会設置会社及び指名委員会等設置会社を除く。)は、監査役を置かなければならない。
④監査等委員会設置会社及び指名委員会等設置会社は、監査役を置いてはならない。
⑤監査等委員会設置会社及び指名委員会等設置会社は、会計監査人を置かなければならない。
⑥指名委員会等設置会社は、監査等委員会を置いてはならない。
条文の要点
機関の設置義務とは、会社の類型に応じて取締役会・監査役・会計監査人の設置が法律上強制されることをいいます(327条)。
取締役会は公開会社・監査役会設置会社・監査等委員会設置会社・指名委員会等設置会社に必置です。監査等委員会設置会社と指名委員会等設置会社は監査役を置けず、会計監査人を必置します。両者は排他関係にあります。
機関の設置義務の排他関係
監査等委員会設置会社と指名委員会等設置会社は監査役を置いてはならず(4項)、会計監査人を置かなければなりません(5項)。指名委員会等設置会社は監査等委員会を置けません(6項)。取締役会設置会社(両委員会設置会社を除く)は監査役を置かなければなりませんが、非公開の会計参与設置会社は例外です(2項ただし書)。大会社の会計監査人は328条でも必置で、公開大会社(両委員会会社を除く)は監査役会も必置です。
| 項 | 役割 | 内容 |
|---|---|---|
| 1項 | 要件 | 公開会社・監査役会設置会社・監査等委員会設置会社・指名委員会等設置会社は取締役会を置かなければならない |
| 2項 | 要件 | 取締役会設置会社(両委員会設置会社を除く)は監査役を置かなければならない(非公開の会計参与設置会社は除く) |
| 3項 | 要件 | 会計監査人設置会社(両委員会設置会社を除く)は監査役を置かなければならない |
| 4項 | 例外 | 監査等委員会設置会社と指名委員会等設置会社は監査役を置いてはならない |
| 5項 | 要件 | 監査等委員会設置会社と指名委員会等設置会社は会計監査人を置かなければならない |
| 6項 | 例外 | 指名委員会等設置会社は監査等委員会を置いてはならない |
具体例
株式会社A社は監査等委員会設置会社で、株主B・Cがいます。A社は監査役を置かず、会計監査人を置いています。
監査等委員会設置会社は監査役を置いてはならず(4項)、会計監査人を置かなければならない(5項)ため、A社のこの二機関についての設置は適法です。
反例(結論が変わる)
同じ設定で、A社が定款で監査役を置く旨を定めた場合に変えます。
監査等委員会設置会社は監査役を置いてはならないとされているため、定款の定めがあっても監査役を置くことはできません。
関連条との違い
過去問で誤りとされた肢の型
- 司法書士平成28年度 問30イ
大会社でない指名委員会等設置会社は会計監査人を置かないことができるとする誤り。指名委員会等設置会社は大会社か否かを問わず会計監査人を必置する
- 司法書士平成28年度 問30ウ
公開会社でない大会社は取締役会を置かなければならないとする誤り。取締役会必置は公開会社等で、非公開の大会社には取締役会の設置義務はない
ほかの誤り肢は「この条文を解説で参照する過去問」で確認できます。
法令版: 2026年8月12日施行版
この条文の〇×問題(2問)
取締役会の設置義務がある会社
株式会社は、公開会社、監査役会設置会社、監査等委員会設置会社又は指名委員会等設置会社のいずれかに該当する場合には、取締役会を置かなければならない。
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正解 ○
正しい。取締役会の設置が強制されるのは、公開会社、監査役会設置会社、監査等委員会設置会社及び指名委員会等設置会社である(327条1項)。大会社はこの列挙に含まれない。公開会社でない大会社は会計監査人を置かなければならないが(328条2項)、取締役会や監査役会の設置は義務付けられていない。
学習ポイント:取締役会必置は公開会社・監査役会設置・監査等委員会設置・指名委員会等設置の4類型。
第327条1項各号、関連:第328条2項
監査役の設置義務と機関の排他関係
監査等委員会設置会社や指名委員会等設置会社でも、定款で定めれば、監査等委員会等とは別に監査役を置くことができる。
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正解 ×
誤り。監査等委員会設置会社及び指名委員会等設置会社は監査役を置いてはならないとされ、両者は排他関係にある。定款の定めによっても併置は許されず、委員会による監査と監査役による監査は二者択一の機関設計となる。
学習ポイント:監査等委員会設置・指名委員会等設置会社は監査役を置けない。排他関係。
第327条2項・4項・5項
根拠・関連条文
この条文を解説で参照する過去問
行政書士令和7年 問39肢1
会計監査人設置会社(監査等委員会設置会社および指名委員会等設置会社を除く)は、監査役を置かなければならない。
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正しい
会計監査人設置会社は監査役を置かなければならない(会社法327条2項)。
行政書士平成28年 問39肢1
監査等委員会設置会社または指名委員会等設置会社は、いずれも監査役を設置することができない。
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正しい
監査等委員会設置会社・指名委員会等設置会社は監査役を置けない(327条)。正しい。
行政書士平成28年 問39肢5
監査等委員会設置会社または指名委員会等設置会社は、いずれも会計監査人を設置しなければならない。
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正しい
両者とも会計監査人設置義務がある(327条)。正しい。
司法書士令和7年度 問30エ
指名委員会等設置会社は、会計監査人を置かなければならない。
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正しい
正しい。指名委員会等設置会社は会計監査人を置かなければならない(327条5項——監査委員会設置会社・公開会社かつ大会社である指名委員会等設置会社は会計監査人設置会社である)。
司法書士令和6年度 問31イ
指名委員会等設置会社は、監査役を置いてはならない。
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正しい
正しい。監査等委員会設置会社及び指名委員会等設置会社は、監査役を置いてはならない(327条4項)。
司法書士令和4年度 問65エ
取締役会及び監査役を置く旨の定款の定めがある大会社ではない会社において、監査役設置会社の定めの廃止の登記とともに監査等委員会設置会社の定めの設定による変更の登記を申請する場合には、併せて会計監査人設置会社の定めの設定による変更の登記の申請をしなければならない。
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正しい
正しい。監査等委員会設置会社は会計監査人を置かなければならず(327条5項)、併せて会計監査人設置会社の定めの設定の登記を申請しなければならない。
司法書士平成28年度 問30イ
大会社でない指名委員会等設置会社は、会計監査人を置かないことができる。
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誤り
誤り。指名委員会等設置会社は会計監査人を置かなければならない(会社法327条5項)。
司法書士平成28年度 問30ウ
会社法上の公開会社でない大会社は、取締役会を置かなければならない。
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誤り
誤り。取締役会の設置義務があるのは公開会社であり(会社法327条1項1号)、公開会社でない大会社に取締役会の設置義務はない。
司法書士平成26年度 問67エ
取締役会を設置していない会社が新たに委員会設置会社の定めの設定による変更の登記の申請をする場合には、取締役会設置会社の定めの設定による変更の登記も併せて申請しなければならない。
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正しい
正しい。委員会設置会社は取締役会を置かなければならないため(会社法327条1項3号)、取締役会を設置していない会社は取締役会設置会社の定めの設定による変更の登記も併せて申請しなければならない。
問題で確認する
第327条の内容は2問の〇×問題と1問の条文穴埋めで確認できます。