第一編 総則/第一章 通則
会社法 第2条(定義)
この条の要点
- 公開会社の定義と一部譲渡制限:一部の種類でも譲渡制限のない株式があれば公開会社。全株式制限の会社だけが非公開。
- 大会社の要件の選択性:大会社の要件は資本金5億円以上・負債200億円以上のいずれか。累積ではない。
条文原文
色付きの語句は試験で問われる重要な語句です。
第2条(定義)
この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
一 会社株式会社、合名会社、合資会社又は合同会社をいう。
二 外国会社外国の法令に準拠して設立された法人その他の外国の団体であって、会社と同種のもの又は会社に類似するものをいう。
三 子会社会社がその総株主の議決権の過半数を有する株式会社その他の当該会社がその経営を支配している法人として法務省令で定めるものをいう。
三の二 子会社等次のいずれかに該当する者をいう。
イ 子会社
ロ 会社以外の者がその経営を支配している法人として法務省令で定めるもの
四 親会社株式会社を子会社とする会社その他の当該株式会社の経営を支配している法人として法務省令で定めるものをいう。
四の二 親会社等次のいずれかに該当する者をいう。
イ 親会社
ロ 株式会社の経営を支配している者(法人であるものを除く。)として法務省令で定めるもの
五 公開会社その発行する全部又は一部の株式の内容として譲渡による当該株式の取得について株式会社の承認を要する旨の定款の定めを設けていない株式会社をいう。
六 大会社次に掲げる要件のいずれかに該当する株式会社をいう。
イ 最終事業年度に係る貸借対照表(第四百三十九条前段に規定する場合にあっては、同条の規定により定時株主総会に報告された貸借対照表をいい、株式会社の成立後最初の定時株主総会までの間においては、第四百三十五条第一項の貸借対照表をいう。ロにおいて同じ。)に資本金として計上した額が五億円以上であること。
ロ 最終事業年度に係る貸借対照表の負債の部に計上した額の合計額が二百億円以上であること。
七 取締役会設置会社取締役会を置く株式会社又はこの法律の規定により取締役会を置かなければならない株式会社をいう。
八 会計参与設置会社会計参与を置く株式会社をいう。
九 監査役設置会社監査役を置く株式会社(その監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めがあるものを除く。)又はこの法律の規定により監査役を置かなければならない株式会社をいう。
十 監査役会設置会社監査役会を置く株式会社又はこの法律の規定により監査役会を置かなければならない株式会社をいう。
十一 会計監査人設置会社会計監査人を置く株式会社又はこの法律の規定により会計監査人を置かなければならない株式会社をいう。
十一の二 監査等委員会設置会社監査等委員会を置く株式会社をいう。
十二 指名委員会等設置会社指名委員会、監査委員会及び報酬委員会(以下「指名委員会等」という。)を置く株式会社をいう。
十三 種類株式発行会社剰余金の配当その他の第百八条第一項各号に掲げる事項について内容の異なる二以上の種類の株式を発行する株式会社をいう。
十四 種類株主総会種類株主(種類株式発行会社におけるある種類の株式の株主をいう。以下同じ。)の総会をいう。
十五 社外取締役株式会社の取締役であって、次に掲げる要件のいずれにも該当するものをいう。
イ 当該株式会社又はその子会社の業務執行取締役(株式会社の第三百六十三条第一項各号に掲げる取締役及び当該株式会社の業務を執行したその他の取締役をいう。以下同じ。)若しくは執行役又は支配人その他の使用人(以下「業務執行取締役等」という。)でなく、かつ、その就任の前十年間当該株式会社又はその子会社の業務執行取締役等であったことがないこと。
ロ その就任の前十年内のいずれかの時において当該株式会社又はその子会社の取締役、会計参与(会計参与が法人であるときは、その職務を行うべき社員)又は監査役であったことがある者(業務執行取締役等であったことがあるものを除く。)にあっては、当該取締役、会計参与又は監査役への就任の前十年間当該株式会社又はその子会社の業務執行取締役等であったことがないこと。
ハ 当該株式会社の親会社等(自然人であるものに限る。)又は親会社等の取締役若しくは執行役若しくは支配人その他の使用人でないこと。
ニ 当該株式会社の親会社等の子会社等(当該株式会社及びその子会社を除く。)の業務執行取締役等でないこと。
ホ 当該株式会社の取締役若しくは執行役若しくは支配人その他の重要な使用人又は親会社等(自然人であるものに限る。)の配偶者又は二親等内の親族でないこと。
十六 社外監査役株式会社の監査役であって、次に掲げる要件のいずれにも該当するものをいう。
イ その就任の前十年間当該株式会社又はその子会社の取締役、会計参与(会計参与が法人であるときは、その職務を行うべき社員。ロにおいて同じ。)若しくは執行役又は支配人その他の使用人であったことがないこと。
ロ その就任の前十年内のいずれかの時において当該株式会社又はその子会社の監査役であったことがある者にあっては、当該監査役への就任の前十年間当該株式会社又はその子会社の取締役、会計参与若しくは執行役又は支配人その他の使用人であったことがないこと。
ハ 当該株式会社の親会社等(自然人であるものに限る。)又は親会社等の取締役、監査役若しくは執行役若しくは支配人その他の使用人でないこと。
ニ 当該株式会社の親会社等の子会社等(当該株式会社及びその子会社を除く。)の業務執行取締役等でないこと。
ホ 当該株式会社の取締役若しくは支配人その他の重要な使用人又は親会社等(自然人であるものに限る。)の配偶者又は二親等内の親族でないこと。
十七 譲渡制限株式株式会社がその発行する全部又は一部の株式の内容として譲渡による当該株式の取得について当該株式会社の承認を要する旨の定めを設けている場合における当該株式をいう。
十八 取得請求権付株式株式会社がその発行する全部又は一部の株式の内容として株主が当該株式会社に対して当該株式の取得を請求することができる旨の定めを設けている場合における当該株式をいう。
十九 取得条項付株式株式会社がその発行する全部又は一部の株式の内容として当該株式会社が一定の事由が生じたことを条件として当該株式を取得することができる旨の定めを設けている場合における当該株式をいう。
二十 単元株式数株式会社がその発行する株式について、一定の数の株式をもって株主が株主総会又は種類株主総会において一個の議決権を行使することができる一単元の株式とする旨の定款の定めを設けている場合における当該一定の数をいう。
二十一 新株予約権株式会社に対して行使することにより当該株式会社の株式の交付を受けることができる権利をいう。
二十二 新株予約権付社債新株予約権を付した社債をいう。
二十三 社債この法律の規定により会社が行う割当てにより発生する当該会社を債務者とする金銭債権であって、第六百七十六条各号に掲げる事項についての定めに従い償還されるものをいう。
二十四 最終事業年度各事業年度に係る第四百三十五条第二項に規定する計算書類につき第四百三十八条第二項の承認(第四百三十九条前段に規定する場合にあっては、第四百三十六条第三項の承認)を受けた場合における当該各事業年度のうち最も遅いものをいう。
二十五 配当財産株式会社が剰余金の配当をする場合における配当する財産をいう。
二十六 組織変更次のイ又はロに掲げる会社がその組織を変更することにより当該イ又はロに定める会社となることをいう。
イ 株式会社合名会社、合資会社又は合同会社
ロ 合名会社、合資会社又は合同会社株式会社
二十七 吸収合併会社が他の会社とする合併であって、合併により消滅する会社の権利義務の全部を合併後存続する会社に承継させるものをいう。
二十八 新設合併二以上の会社がする合併であって、合併により消滅する会社の権利義務の全部を合併により設立する会社に承継させるものをいう。
二十九 吸収分割株式会社又は合同会社がその事業に関して有する権利義務の全部又は一部を分割後他の会社に承継させることをいう。
三十 新設分割一又は二以上の株式会社又は合同会社がその事業に関して有する権利義務の全部又は一部を分割により設立する会社に承継させることをいう。
三十一 株式交換株式会社がその発行済株式(株式会社が発行している株式をいう。以下同じ。)の全部を他の株式会社又は合同会社に取得させることをいう。
三十二 株式移転一又は二以上の株式会社がその発行済株式の全部を新たに設立する株式会社に取得させることをいう。
三十二の二 株式交付株式会社が他の株式会社をその子会社(法務省令で定めるものに限る。第七百七十四条の三第二項において同じ。)とするために当該他の株式会社の株式を譲り受け、当該株式の譲渡人に対して当該株式の対価として当該株式会社の株式を交付することをいう。
三十三 公告方法会社(外国会社を含む。)が公告(この法律又は他の法律の規定により官報に掲載する方法によりしなければならないものとされているものを除く。)をする方法をいう。
三十四 電子公告公告方法のうち、電磁的方法(電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法であって法務省令で定めるものをいう。以下同じ。)により不特定多数の者が公告すべき内容である情報の提供を受けることができる状態に置く措置であって法務省令で定めるものをとる方法をいう。
条文の要点
公開会社とは、発行する全部又は一部の株式について、譲渡による取得に会社の承認を要する旨の定款の定めがない株式会社です(2条5号)。
全部の株式に譲渡制限を設けた会社だけが公開会社から外れ、機関の設置義務や株主総会の招集通知の期間で別の規律が適用されます。一部の種類の株式だけを譲渡制限にしても、制限のない株式が残る限り公開会社のままです。
公開会社の判定が変わる場面
種類株式発行会社でない会社が全部の株式を譲渡制限にする定款変更には、議決権を行使できる株主の半数以上かつその議決権の三分の二以上という加重された決議が要ります(309条3項)。公開会社では監査役の監査範囲を会計に限定する定款を置けず(389条1項)、取締役会の設置も必須です(327条1項)。
| 項 | 役割 | 内容 |
|---|---|---|
| 5号 | 定義 | 株式の全部又は一部に譲渡承認制の定款の定めがない株式会社を公開会社という |
| 6号 | 定義 | 最終事業年度の貸借対照表で、資本金5億円以上か負債合計200億円以上のいずれか一方を満たす株式会社を大会社という |
| 9号 | 定義 | 監査役設置会社からは、監査役の監査範囲を会計に限定する定款のある株式会社を除く |
| 17号 | 定義 | 譲渡による取得に会社の承認を要する旨の定めがある株式を譲渡制限株式という |
具体例
A社は、譲渡制限のない普通株式のほかに、譲渡にA社の承認を要する甲種株式を発行しています。株主Bは甲種株式をCに売ろうとしています。
譲渡制限のない株式を発行しているA社は公開会社です。Bが甲種株式をCに譲渡するにはA社の承認が要ります。
反例(結論が変わる)
同じ設定で、A社が発行する全部の株式に譲渡承認制の定款の定めがある場合に変えます。
A社は公開会社ではなくなり、招集通知の期間や機関設置について非公開会社の規律が適用されます。
関連条との違い
過去問で誤りとされた肢の型
- 行政書士令和2年 問40肢1
公開会社は譲渡制限株式を発行できないとする誤り。一部の種類だけを譲渡制限にする定款の定めは可能で、制限のない株式が残れば公開会社のまま
- 司法書士平成28年度 問30ア
事業年度の途中で増資により資本金5億円以上となった時点で大会社になるとする誤り。大会社の判定は最終事業年度の貸借対照表が基準
- 司法書士令和4年度 問65ウ
監査の範囲を会計に限定する定款のある株式会社を監査役設置会社とみなす誤り。9号の定義ではその会社は監査役設置会社から除かれる
ほかの誤り肢は「この条文を解説で参照する過去問」で確認できます。
法令版: 2026年8月12日施行版
この条文の〇×問題(2問)
公開会社の定義と一部譲渡制限
発行する株式の一部の種類についてのみ、譲渡による取得に株式会社の承認を要する旨の定款の定めを設けている株式会社は、残りの株式に譲渡制限が付されていないにもかかわらず、公開会社には該当しない。
正解と解説を見る
正解 ×
誤り。公開会社とは、その発行する全部又は一部の株式の内容として譲渡による取得に会社の承認を要する旨の定款の定めを設けていない株式会社をいう(2条5号)。一部の種類の株式にだけ譲渡制限があっても、譲渡制限のない株式を発行できる以上、公開会社に該当する。全株式に譲渡制限がある会社だけが非公開会社である。
学習ポイント:一部の種類でも譲渡制限のない株式があれば公開会社。全株式制限の会社だけが非公開。
第2条5号、関連:第107条1項1号・第309条2項
大会社の要件の選択性
株式会社が大会社に該当するためには、最終事業年度に係る貸借対照表に資本金として計上した額が五億円以上であり、かつ、負債の部に計上した額の合計額が二百億円以上であるという二つの要件をともに満たす必要がある。
正解と解説を見る
正解 ×
誤り。大会社となるには、最終事業年度の貸借対照表に資本金として計上した額が五億円以上であること、又は負債の部に計上した額の合計額が二百億円以上であることのいずれかを満たせば足り、両方の要件を満たす必要はない。
学習ポイント:大会社の要件は資本金5億円以上・負債200億円以上のいずれか。累積ではない。
第2条6号
根拠・関連条文
この条文を解説で参照する過去問
行政書士令和2年 問40肢1
譲渡制限株式を発行することができない。
正誤と理由を見る
誤り
公開会社は譲渡制限株式を発行できない…ではなく、公開会社でも譲渡制限株式の発行は制度上可能だが公開会社の定義(全部株式の譲渡制限なし)に反するため、公開会社である間は発行できないと整理される。誤り(公開会社は発行できないが正しいとされるか…判定は誤り)。
行政書士平成30年 問39肢1
社外取締役は、当該株式会社またはその子会社の業務執行取締役もしくは執行役または支配人その他の使用人を兼任することができない。
正誤と理由を見る
正しい
社外取締役は当該会社・子会社の業務執行取締役・執行役・支配人その他使用人を兼任できない(2条15号・331条)。正しい。
司法書士令和5年度 問28ア
株式会社が、その発行する全部の株式ではなく、一部の株式についてのみ、その内容として譲渡による当該株式の取得について当該株式会社の承認を要する旨の定款の定めを設けていない場合であっても、当該株式会社は、会社法上の公開会社である。
正誤と理由を見る
正しい
正しい。公開会社とは、その発行する全部又は一部の株式の内容として譲渡による取得について株式会社の承認を要する旨の定款の定めを設けていない株式会社である(2条5号)。
司法書士令和4年度 問65ウ
取締役が2名以上ある取締役会設置会社でない会社は、監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めの登記がされている場合であっても、会社法第423条第1項に規定する取締役の損害賠償責任について、当該責任を負う取締役を除く取締役の過半数の同意により会社法所定の要件の下その責任の一部を免除することができる旨の定款の定めの設定による変更の登記の申請をすることができる。
正誤と理由を見る
誤り
誤り。取締役の責任の一部免除の定款を定められるのは取締役2名以上の監査役設置会社であり(426条1項)、会計限定監査役を置く会社は会社法上の監査役設置会社に含まれない(会社法2条9号)ため該当しない。
司法書士平成28年度 問30ア
大会社でない株式会社が事業年度の途中において募集株式を発行したことによって資本金の額が5億円以上となった場合には、当該株式会社は、資本金の額が5億円以上となった時から大会社となる。
正誤と理由を見る
誤り
誤り。大会社は最終事業年度の貸借対照表の資本金が5億円以上又は負債200億円以上の会社であり(会社法2条6号・24号)、事業年度途中の資本金増加では直ちに大会社とならない。
司法書士平成28年度 問33オ
正誤と理由を見る
正しい
正しい。新設分割できるのは株式会社と合同会社であり、新設分割により設立できる会社には制限がなく合名・合資会社も設立できる(会社法2条30号)。
問題で確認する
第2条の内容は2問の〇×問題と1問の条文穴埋めで確認できます。