第二編 株式会社/第四章 機関/第三節 役員及び会計監査人の選任及び解任/第一款 選任
会社法 第332条(取締役の任期)
この条の要点
- 取締役の任期の原則と短縮:取締役任期2年・短縮可(定款or総会決議)。監査役4年は短縮規定なし。
- 非公開会社の任期伸長の範囲:任期伸長は非公開会社(監査等委・指名委等設置会社を除く)が定款で10年まで。
条文原文
色付きの語句は試験で問われる重要な語句です。
第332条(取締役の任期)
取締役の任期は、選任後二年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までとする。ただし、定款又は株主総会の決議によって、その任期を短縮することを妨げない。
②前項の規定は、公開会社でない株式会社(監査等委員会設置会社及び指名委員会等設置会社を除く。)において、定款によって、同項の任期を選任後十年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時まで伸長することを妨げない。
③監査等委員会設置会社の取締役(監査等委員であるものを除く。)についての第一項の規定の適用については、同項中「二年」とあるのは、「一年」とする。
④監査等委員である取締役の任期については、第一項ただし書の規定は、適用しない。
⑤第一項本文の規定は、定款によって、任期の満了前に退任した監査等委員である取締役の補欠として選任された監査等委員である取締役の任期を退任した監査等委員である取締役の任期の満了する時までとすることを妨げない。
⑥指名委員会等設置会社の取締役についての第一項の規定の適用については、同項中「二年」とあるのは、「一年」とする。
⑦前各項の規定にかかわらず、次に掲げる定款の変更をした場合には、取締役の任期は、当該定款の変更の効力が生じた時に満了する。
一 監査等委員会又は指名委員会等を置く旨の定款の変更
二 監査等委員会又は指名委員会等を置く旨の定款の定めを廃止する定款の変更
三 その発行する株式の全部の内容として譲渡による当該株式の取得について当該株式会社の承認を要する旨の定款の定めを廃止する定款の変更(監査等委員会設置会社及び指名委員会等設置会社がするものを除く。)
条文の要点
取締役の任期とは、原則として選任の後2年のうちに終わる最後の事業年度の定時株主総会が終わる時までの期間です(332条1項)。
任期は定款又は株主総会の決議で短縮でき、非公開会社(監査等委員会・指名委員会等設置会社を除く)は定款で10年まで伸長できます。監査等委員である取締役の任期は短縮できず、監査等委員会設置会社の他の取締役の任期は1年です。
取締役の任期の伸長と短縮の限界
短縮は定款又は総会決議によれますが、伸長は非公開会社(両委員会会社を除く)が定款で行う場合に限られます。監査等委員の任期短縮はできません。両委員会の設置・廃止で任期が満了し、全部譲渡制限の廃止でも満了しますが、後者は両委員会会社を除きます(7項)。
| 項 | 役割 | 内容 |
|---|---|---|
| 1項 | 要件 | 原則は選任後2年以内に終了する事業年度のうち最後の年度に関する定時総会終結時まで。定款又は総会決議で短縮可 |
| 2項 | 例外 | 非公開会社(両委員会設置会社を除く)は定款で10年まで伸長可。株主総会の決議による伸長はできない |
| 3項 | 例外 | 監査等委員会設置会社の監査等委員でない取締役の任期は1年 |
| 4項 | 例外 | 監査等委員である取締役の任期は定款又は総会決議による短縮ができない |
| 7項 | 効果 | 両委員会の設置・廃止で任期は変更効力発生時に満了。全部の株式の譲渡制限の定めの廃止でも満了するが、両委員会会社を除く |
具体例
公開会社でない株式会社A(両委員会設置会社ではない)は、定款で取締役の任期を選任後10年以内に終了する事業年度の最終の定時総会の終結時までと定め、株主Bはこの定款変更に賛成しました。
非公開会社は定款で10年まで伸長できるため(2項)、A社の定款の定めは有効です。
反例(結論が変わる)
同じ設定で、A社が定款の定めによらず株主総会の決議で任期を10年まで伸長した場合に変えます。
伸長は定款による場合に限られ、株主総会の決議ではできないため(2項)、この伸長は無効です。
関連条との違い
過去問で誤りとされた肢の型
- 司法書士令和8年度 問30ウ
監査等委員である取締役の任期を定款で短縮できるとする誤り。監査等委員である取締役の任期は短縮できない
- 司法書士令和2年度 問29ウ
非公開会社で株主総会の決議により取締役の任期を10年まで伸長できるとする誤り。伸長は定款による場合に限られ、総会決議ではできない
- 司法書士平成28年度 問31オ
監査等委員である取締役の任期は4年だとする誤り。監査等委員である取締役の任期は2年で監査役の4年とは異なる
ほかの誤り肢は「この条文を解説で参照する過去問」で確認できます。
法令版: 2026年8月12日施行版
この条文の〇×問題(2問)
取締役の任期の原則と短縮
取締役は、選任後二年を超えない範囲で、任期中に最後に到来する事業年度についての定時総会の終結時まで職にあり、定款又は株主総会の決議でより短い期間に縮めることも可能である。
正解と解説を見る
正解 ○
正しい。取締役の任期は選任後2年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時総会の終結までで、定款又は株主総会の決議による短縮が妨げられない。監査役の4年の任期に短縮規定がないのと対照的な設計である。
学習ポイント:取締役任期2年・短縮可(定款or総会決議)。監査役4年は短縮規定なし。
第332条1項、対比:第336条1項
非公開会社の任期伸長の範囲
株式譲渡に会社の承認を要する株式会社では、定款の定め又は株主総会の決議により、取締役の任期を選任後十年以内に終わる事業年度のうち最終のものの定時総会終結時まで延ばすことができる。
正解と解説を見る
正解 ×
誤り。公開会社でない株式会社(監査等委員会設置会社及び指名委員会等設置会社を除く)は、定款によって取締役の任期を選任後10年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時まで伸長できる(332条2項)。伸長は定款によるもので、株主総会の決議による伸長は認められない。短縮は定款又は総会決議で可能である(同条1項ただし書)。
学習ポイント:任期伸長は非公開会社(監査等委・指名委等設置会社を除く)が定款で10年まで。
第332条2項、対比:第332条1項ただし書
根拠・関連条文
この条文を解説で参照する過去問
行政書士平成25年 問38肢3
取締役の任期を、選任後1年以内に終了する事業年度に関する定時株主総会の終結の時までとする株主総会決議がなされた場合
正誤と理由を見る
無効原因とはならない
取締役の任期は定款又は株主総会決議で短縮することができる(会社法332条)。無効原因とはならない。
司法書士令和8年度 問30ウ
正誤と理由を見る
誤り
誤り。監査等委員である取締役の任期は定款で短縮することができない(332条5項——監査等委員会設置会社の任期短縮は許されない)。
司法書士令和8年度 問30エ
正誤と理由を見る
正しい
正しい。監査等委員会設置会社の監査等委員でない取締役の任期は選任後1年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時総会終結時まで(332条4項)。
司法書士令和4年度 問31エ
監査等委員会を置く旨の定款の定めを廃止する定款の変更をした場合には、取締役の任期は、当該定款の変更の効力が生じた時に満了する。
正誤と理由を見る
正しい
正しい。監査等委員会を置く旨の定款の定めを廃止する定款変更をした場合、取締役の任期は当該定款変更の効力発生時に満了する(332条7項)。
司法書士令和2年度 問29ア
監査等委員会設置会社においては、定款又は株主総会の決議によって、監査等委員である取締役の任期を選任後1年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までとすることはできない。
正誤と理由を見る
正しい
正しい。監査等委員である取締役の任期は、定款又は株主総会の決議によって短縮することができない(会社法332条4項)。
司法書士令和2年度 問29イ
会社法上の公開会社ではない監査等委員会設置会社においては、定款によって、取締役の任期を選任後10年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までとすることはできない。
正誤と理由を見る
正しい
正しい。公開会社でない株式会社の取締役の任期を10年以内まで伸長できるのは、監査等委員会設置会社・指名委員会等設置会社を除く場合である(会社法332条2項)。監査等委員会設置会社では伸長できない。
司法書士令和2年度 問29ウ
会社法上の公開会社ではない監査役設置会社においては、定款によらず、株主総会の決議によって、取締役の任期を選任後10年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までとすることができる。
正誤と理由を見る
誤り
誤り。公開会社でない会社の取締役の任期の伸長は、定款による場合に限られ、株主総会の決議によってはできない(会社法332条2項)。
司法書士平成29年度 問31ア
正誤と理由を見る
正しい
正しい。補欠監査役の任期を退任した監査役の任期満了時までとするには定款の定めを要し、定款の定めがなければ株主総会の決議でも短縮できない(会社法332条4項)。
司法書士平成29年度 問31イ
正誤と理由を見る
正しい
正しい。定款の定めがある場合、選任時に株主総会の決議で補欠監査役の任期を退任した監査役の任期満了時までと定めることができる(会社法332条4項)。
司法書士平成28年度 問31オ
監査役の任期及び監査等委員である取締役の任期は、いずれも、選任後4年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までである。
正誤と理由を見る
誤り
誤り。監査等委員である取締役の任期は、選任後2年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までであり(会社法332条1項。定款等による短縮もできない。同条4項)、監査役の4年(336条1項)とは異なる。
ほか2肢は、各過去問のページで確認できます。
問題で確認する
第332条の内容は2問の〇×問題と1問の条文穴埋めで確認できます。