第四章 登記手続/第三節 権利に関する登記/第三款 用益権に関する登記
不動産登記法 第80条(地役権の登記の登記事項等)
この条の要点
- 地役権登記における地役権者の表示の不記載:地役権登記は地役権者の氏名・住所を登記しない。要役地への従属性が理由。
- 要役地への職権登記:要役地への記録は承役地の地役権設定登記時に登記官が職権でする。要役地所有者の申請は不要。
条文原文
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第80条(地役権の登記の登記事項等)
承役地(民法第二百八十五条第一項に規定する承役地をいう。以下この条において同じ。)についてする地役権の登記の登記事項は、第五十九条各号に掲げるもののほか、次のとおりとする。
一 要役地(民法第二百八十一条第一項に規定する要役地をいう。以下この条において同じ。)
二 地役権設定の目的及び範囲
三 民法第二百八十一条第一項ただし書若しくは第二百八十五条第一項ただし書の別段の定め又は同法第二百八十六条の定めがあるときは、その定め
②前項の登記においては、第五十九条第四号の規定にかかわらず、地役権者の氏名又は名称及び住所を登記することを要しない。
③要役地に所有権の登記がないときは、承役地に地役権の設定の登記をすることができない。
④登記官は、承役地に地役権の設定の登記をしたときは、要役地について、職権で、法務省令で定める事項を登記しなければならない。
この条文の〇×問題(2問)
地役権登記における地役権者の表示の不記載
甲土地を要役地とする地役権の設定の登記を乙土地の登記記録にする場合、当該登記においては地役権者の氏名及び住所は登記事項とならない。
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正解 ○
正しい。承役地にする地役権の登記では、権利者の氏名・住所の登記を要しない。地役権は要役地の便益として土地に従属する性質があり、現在の要役地の所有者が誰であるかを問わず権利が及ぶため、権利者個人の表示を省略する仕組みになっている。
学習ポイント:地役権登記は地役権者の氏名・住所を登記しない。要役地への従属性が理由。
第80条2項、関連:第59条4号
要役地への職権登記
承役地に地役権の設定の登記がされた場合、要役地についての地役権に関する登記は、要役地の所有権の登記名義人が別途申請しなければならない。
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正解 ×
誤り。登記官は承役地に地役権の設定の登記をしたときは、要役地について職権で法務省令で定める事項を登記しなければならない。要役地側の申請ではなく職権による登記であり、地役権の対抗力は承役地の登記で生じる仕組みである。
学習ポイント:要役地への記録は承役地の地役権設定登記時に登記官が職権でする。要役地所有者の申請は不要。
第80条4項、関連:第80条3項
根拠・関連条文
この条文を解説で参照する過去問
司法書士令和4年度 問48ア
地役権の設定の登記を申請する場合において、地役権者が複数名いるときは、地役権者ごとの持分を申請情報の内容としなければならない。
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誤り
誤り。地役権者が複数名でも、その持分は申請情報の内容とならない。地役権者の氏名等自体が登記事項とならないため(80条2項・令3条9号参照)。
司法書士令和4年度 問57ウ
Aが所有権の登記名義人である甲土地を承役地とし、所有権の登記はないがBを表題部所有者とする表題登記のある乙土地を要役地とする地役権の設定の登記の申請は、することができない。
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正しい
正しい。要役地に所有権の登記がないときは、承役地に地役権の設定の登記をすることができない(80条3項)。まず保存登記が必要。
司法書士平成31年度 問53ア
ー筆の土地の全部について ( )の設定の登記を申請するときに、 ( )設定の目的として「水道管の埋設」を申請情報の内容とすることはできない。
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対象外
対象外。賃借権の設定の目的は建物の所有であるときのみ登記事項であり(不登法81条6号)「水道管の埋設」は登記できない(賃借権で正しい)。地役権は目的及び範囲が登記事項で水道管埋設を内容とできる(80条1項2号)ため地役権では誤り。
司法書士平成31年度 問53イ
ー筆の土地の全部について ( )の設定の登記がされている場合において、 ( )者の住所が移転したときは、当該設定の登記について ( )の登記名義人の住所の変更の登記を申請することができる。
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対象外
対象外。賃借権は賃借権者の住所が登記されるため住所変更の登記ができる(賃借権で正しい)。地役権は地役権者の氏名・住所が登記されない(80条2項)ため変更の登記を申請できず地役権では誤り。
司法書士平成25年度 問57肢3
「登記をすることができます。その際、用益権の設定の目的は、登記事項とはなりません。」
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誤り
誤り。地役権の設定の登記においては、地役権設定の目的は登記事項となる(不登法80条1項2号)。
問題で確認する
第80条の内容は2問の〇×問題と1問の条文穴埋めで確認できます。