第四章 登記手続/第三節 権利に関する登記/第三款 用益権に関する登記
不動産登記法 第81条(賃借権の登記等の登記事項)
この条の要点
- 賃借権の登記における必須事項と任意事項:賃借権登記で賃料は必須。存続期間・転貸許諾・敷金は定めがあるときに限り登記事項。
- 賃貸人の処分権限制限の登記:賃貸人の処分能力の制限・処分権限がないことは賃借権登記の登記事項。
条文原文
色付きの語句は試験で問われる重要な語句です。
第81条(賃借権の登記等の登記事項)
賃借権の登記又は賃借物の転貸の登記の登記事項は、第五十九条各号に掲げるもののほか、次のとおりとする。
一 賃料
二 存続期間又は賃料の支払時期の定めがあるときは、その定め
三 賃借権の譲渡又は賃借物の転貸を許す旨の定めがあるときは、その定め
四 敷金があるときは、その旨
五 賃貸人が財産の処分につき行為能力の制限を受けた者又は財産の処分の権限を有しない者であるときは、その旨
六 土地の賃借権設定の目的が建物の所有であるときは、その旨
七 前号に規定する場合において建物が借地借家法第二十三条第一項又は第二項に規定する建物であるときは、その旨
八 借地借家法第二十二条第一項前段、第二十三条第一項、第三十八条第一項前段若しくは第三十九条第一項、高齢者の居住の安定確保に関する法律(平成十三年法律第二十六号)第五十二条第一項又は大規模な災害の被災地における借地借家に関する特別措置法第七条第一項の定めがあるときは、その定め
この条文の〇×問題(2問)
賃借権の登記における必須事項と任意事項
建物の所有を目的とする土地の賃借権の設定の登記においては、賃料は常に登記事項となるが、賃借物の転貸を許す旨の定めはその定めがある場合に限り登記事項となる。
正解と解説を見る
正解 ○
正しい。賃借権の登記では賃料は無条件の登記事項であるが、転貸を許す旨の定め・存続期間等の定め・敷金はいずれもその定めがある場合に限り登記事項となる。任意の約定を公示の対象とするかは定めの有無で分かれる。
学習ポイント:賃借権登記で賃料は必須。存続期間・転貸許諾・敷金は定めがあるときに限り登記事項。
第81条1項各号、関連:第59条
賃貸人の処分権限制限の登記
土地の賃貸人が成年被後見人その他財産の処分につき行為能力の制限を受けた者である場合、当該賃借権の登記においてその旨は登記事項となる。
正解と解説を見る
正解 ○
正しい。賃借権の登記では、賃貸人が財産の処分につき行為能力の制限を受けた者又は財産の処分の権限を有しない者であるときは、その旨も登記事項となる(81条5号)。賃貸人の処分能力や処分権限に制限があることを公示し、その賃借権がどのような制約の下で設定されたものかを第三者が判断できるようにするためである。
学習ポイント:賃貸人の処分能力の制限・処分権限がないことは賃借権登記の登記事項。
第81条5号、関連:第59条
根拠・関連条文
この条文を解説で参照する過去問
司法書士平成31年度 問53ア
ー筆の土地の全部について ( )の設定の登記を申請するときに、 ( )設定の目的として「水道管の埋設」を申請情報の内容とすることはできない。
正誤と理由を見る
対象外
対象外。賃借権の設定の目的は建物の所有であるときのみ登記事項であり(不登法81条6号)「水道管の埋設」は登記できない(賃借権で正しい)。地役権は目的及び範囲が登記事項で水道管埋設を内容とできる(80条1項2号)ため地役権では誤り。
司法書士平成30年度 問57エ
不在者であるAを所有権の登記名義人とする甲土地について、Aのために不在者の財産管理人Bが選任されている場合において、Bを賃貸人、Cを賃借人とする賃借権の設定の登記を申請するときは、賃貸人が財産の処分の権限を有しない者である旨として「管理人Bの設定した賃借権」を申請情報の内容としなければならない。
正誤と理由を見る
正しい
正しい。賃貸人が財産の処分の権限を有しない者(不在者の財産管理人)であるときはその旨が登記事項となり(不登81条5号)、「管理人Bの設定した賃借権」を内容とする。
宅建平成29年 問14肢3
賃借権の設定の登記をする場合において、敷金があるときであっても、その旨は登記事項とならない。
正誤と理由を見る
誤り
誤り。賃借権設定登記では、敷金の定めがあるときはその旨も登記事項(不動産登記法81条4号)。
宅建平成29年 問14肢4
事業用定期借地権として借地借家法第23条第1項の定めのある賃借権の設定の登記をする場合、その定めも登記事項となる。
正誤と理由を見る
正しい
正しい。定期借地権の定め(借地借家法23条等)は登記事項(不動産登記法81条8号)。
解説で第81条を参照している問
問題で確認する
第81条の内容は2問の〇×問題と1問の条文穴埋めで確認できます。