資格ジュピター条文穴埋め・判例演習

第二章 借地/第二節 借地権の効力

借地借家法 第11条(地代等増減請求権)

分野:借地権の効力

出題試験:宅建

この条の要点

  • 地代増額しない特約:一定期間地代を増額しない特約があるときは、その定めが優先する。

条文原文

色付きの語句は試験で問われる重要な語句です。

第11条(地代等増減請求権)

地代又は土地の借賃(以下この条及び次条において「地代等」という。)が、土地に対する租税その他の公課の増減により、土地の価格の上昇若しくは低下その他の経済事情の変動により、又は近傍類似の土地の地代等に比較して不相当となったときは、契約の条件にかかわらず、当事者は、将来に向かって地代等の額の増減を請求することができる。ただし、一定の期間地代等を増額しない旨の特約がある場合には、その定めに従う。

②地代等の増額について当事者間に協議が調わないときは、その請求を受けた者は、増額を正当とする裁判が確定するまでは、相当と認める額の地代等を支払うことをもって足りる。ただし、その裁判が確定した場合において、既に支払った額に不足があるときは、その不足額に年一割の割合による支払期後の利息を付してこれを支払わなければならない。

③地代等の減額について当事者間に協議が調わないときは、その請求を受けた者は、減額を正当とする裁判が確定するまでは、相当と認める額の地代等の支払を請求することができる。ただし、その裁判が確定した場合において、既に支払を受けた額が正当とされた地代等の額を超えるときは、その超過額に年一割の割合による受領の時からの利息を付してこれを返還しなければならない。

条文の要点

地代等増減請求権とは、地代等が公課の増減や経済事情の変動、近傍相場との比較で不相当となったときに将来に向け額の増減を求める権利です(11条1項)。

増額しない特約は有効でも減額しない特約は借地権者を拘束しません。協議不成立の増額では借主が相当額を支払い、減額では貸主が相当額を請求できます。裁判確定後は不足額・超過額を年一割の利息付きで清算します。

地代等増減請求権の特約による制限

増額しない旨の特約だけが但書で有効とされ、減額を封じる特約は1項本文の「契約の条件にかかわらず」との規定により借地権者を拘束しません。増減請求は貸主・借主の双方から出せます。定期借地権でも22条が排除するのは更新・延長・買取請求であり、増減請求は残ります。

項役割内容
1項本文効果地代等が不相当になった場合に、当事者のどちらからでも額の見直しを求められる
1項ただし書例外一定期間増額しない特約があれば、その期間は増額の請求ができない
2項手続増額の協議が整わない間は支払側が相当と考える額で足り、確定後に不足額へ年一割の利息を添えて払う
3項手続減額の協議が整わない間は受領側が相当と考える額を請求し、確定後に超過額へ年一割の利息を付けて返す

具体例

Aが土地をBに貸し、建物の所有を目的とする借地権が設定された。土地への公課が上がり近傍相場も上昇したため、AはBに地代の増額を求めたが協議が整わない。増額しない特約はない。

Bは増額を正当とする裁判が確定するまでは相当と考える額を払えば足り、確定後に不足分と年一割の利息を払う。

反例(結論が変わる)

同じ設定で、契約に今後十年は地代を増額しない旨の定めがある場合に変える。

但書によりその定めに従うので、Aは期間内の増額請求を出せない。

関連条との違い

  • 借地借家法 第32条:対象は建物の借賃で仕組みはほぼ同じ。ただし定期借家で借賃改定の特約があれば適用を外れるのに対し、11条にはその仕組みがない
  • 借地借家法 第22条:定期借地権では更新・建物による延長・買取請求を特約で排除できるが、地代等の増減請求は残る

過去問で誤りとされた肢の型

  • 宅建令和7年 問11肢2

    更新のない定期借地権だから減額請求を排除する特約も有効とする誤り。定期借地権でも増減請求権は残る

  • 宅建令和2年10月 問11肢2

    増減しない旨の定めで減額請求まで封じられるとする誤り。有効なのは増額しない特約だけ

  • 宅建平成25年 問12肢1

    土地の賃貸借全般に適用されるとする誤り。適用される借地権は建物の所有を目的とするものに限る

ほかの誤り肢は「この条文を解説で参照する過去問」で確認できます。

法令版: 2026年5月21日施行版

この条文の〇×問題(1問)

地代増額しない特約

地主Aと借地人Bが今後五年間は地代を増額しないと合意した場合、土地の公租公課が上がっただけで、Aはその期間中も特約を無視して必ず地代増額を請求できる。

正解と解説を見る

正解 ×

誤り。第11条第1項は、公租公課の増減や土地価格等の変動で地代が不相当となった場合、原則として将来に向け増減請求を認める。ただし一定期間増額しない旨の特約がある場合は、その定めに従うと明記する。公租公課の上昇があっても、期間内の増額を当然に認めるわけではない。減額請求と増額抑制特約も区別する。

学習ポイント:一定期間地代を増額しない特約があるときは、その定めが優先する。

第11条第1項ただし書

この条文を解説で参照する過去問

宅建令和7年 問11肢2

本件契約の存続期間が50年であり、契約の更新及び建物の築造による存続期間の延長がない旨を定める場合、一定期間地代を減額せず、その期間は地代の減額請求ができない旨の特約を有効に定めることができる。

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誤り

誤り。更新・延長なしの定期借地権でも地代の減額請求を排除する特約は借地借家法11条の強行規定に反し無効。

宅建令和5年 問11肢1

本件契約に、当初の10年間は地代を減額しない旨の特約を定めた場合、その期間内は、BはAに対して地代の減額請求をすることはできない。

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誤り

誤り。地代減額請求は借地権者の強行的保護で、一定期間減額しない特約は無効(借地借家法11条・判例)。

宅建令和2年10月 問11肢2

本件契約で「一定期間は借賃の額の増減を行わない」旨を定めた場合には、甲土地の借賃が近傍類似の土地の借賃と比較して不相当となったときであっても、当該期間中は、AもBも借賃の増減を請求することができない。

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誤り

誤り。一定期間の賃料不増減特約でも、不増額特約は有効だが、不減額特約は減額請求を妨げず、借賃が不相当となった場合は当該期間中も減額請求できる(借地借家法11条1項)。

宅建平成29年 問11肢3

本件契約が建物所有を目的として存続期間60年とし、賃料につき3年ごとに1%ずつ増額する旨を公正証書で定めたものである場合、社会情勢の変化により賃料が不相当となったときであっても、AもBも期間満了まで賃料の増減額請求をすることができない。

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誤り

誤り。期間60年の借地権でも、賃料が経済事情の変動等により不相当となったときは、契約の条件にかかわらず増減請求できる(借地借家法11条)。

宅建平成25年 問12肢1

ゴルフ場経営を目的とする土地賃貸借契約については、対象となる全ての土地について地代等の増減額請求に関する借地借家法第11条の規定が適用される。

正誤と理由を見る

誤り

誤り。借地借家法11条(地代増減請求)が適用される借地権は建物所有目的の賃貸借に限られ、ゴルフ場経営目的の土地賃貸借には適用されない。

問題で確認する

第11条の内容は1問の〇×問題と4問の条文穴埋めで確認できます。