第三章 借家/第二節 建物賃貸借の効力
借地借家法 第33条(造作買取請求権)
この条の要点
- 賃貸人同意の造作:賃貸人同意の造作は、期間満了等で終了するとき時価買取請求の対象。
- 無断の造作:無断で付加した造作には、第33条の当然の時価買取請求は認められない。
条文原文
色付きの語句は試験で問われる重要な語句です。
第33条(造作買取請求権)
建物の賃貸人の同意を得て建物に付加した畳、建具その他の造作がある場合には、建物の賃借人は、建物の賃貸借が期間の満了又は解約の申入れによって終了するときに、建物の賃貸人に対し、その造作を時価で買い取るべきことを請求することができる。建物の賃貸人から買い受けた造作についても、同様とする。
②前項の規定は、建物の賃貸借が期間の満了又は解約の申入れによって終了する場合における建物の転借人と賃貸人との間について準用する。
条文の要点
造作買取請求権とは、賃貸人の同意を得て建物に付加した造作等について、賃貸借の終了時に賃借人が賃貸人へ時価での買取りを求める権利です(33条1項)。
行使できるのは期間満了または解約申入れによる終了のときに限られ、債務不履行による解除では認められません(判例)。行使すれば時価で売買が成立する形成権で、排除する特約も有効です。
造作買取請求権の対象
賃貸人の同意を得て付加した畳や建具などと、賃貸人から買い受けた造作が対象です。賃借人が無断で設置したものは対象になりません。転借人が同意を得て付加した造作も、転借人と賃貸人との間で同様に請求できます。
| 項 | 役割 | 内容 |
|---|---|---|
| 1項 | 要件 | 賃貸人の同意を得た造作か、賃貸人から買い受けた造作があること |
| 1項 | 効果 | 期間満了か解約申入れによる終了時に、時価での買取りを請求できる |
| 2項 | 効果 | 転借人が付加した造作についても、転借人と賃貸人の間で同様に請求できる |
具体例
BがAから借りた建物に、Aの同意を得て畳と建具を付加した。契約期間が満了して賃貸借が終了する。
買取請求を排除する特約がなければ、BはAに対してその造作を時価で買い取るよう請求できる。
反例(結論が変わる)
同じ設定で、賃貸借の終了原因だけを期間満了からBの賃料不払に基づく適法な解除に変える。
解除による終了は対象外なので、Bは造作買取請求権を行使できない(判例)。
関連条との違い
- 民法 第621条:民法621条は通常損耗・経年変化等を除く損傷の原状回復義務を定める。33条は同意を得た造作等について終了時の時価買取りを求める権利で、主題が異なる
- 借地借家法 第37条:37条の強行規定の対象は31・34・35条で33条は含まれない。だから買取請求を排除する特約も有効
過去問で誤りとされた肢の型
- 宅建平成27年 問12肢3
買取請求を排除する特約は普通借家では無効とする誤り。33条は強行規定の対象外で普通借家でも特約は有効
- 賃管令和5年度 問23肢4
買取請求の行使に別途売買契約の締結が要るとする誤り。行使で時価での買取りの法律関係が成立する
ほかの誤り肢は「この条文を解説で参照する過去問」で確認できます。
判例
債務不履行による解除と造作買取請求権最高裁判所第二小法廷 1956年4月6日
旧借家法5条は期間満了等の通常の終了に関する規定で、賃借人の債務不履行その他の背信行為による解除では造作買取請求を認めない
法令版: 2026年5月21日施行版
この条文の〇×問題(2問)
賃貸人同意の造作
賃借人Bが賃貸人Aの同意を得て建物に取り付けた建具について、普通建物賃貸借が期間満了で終わる場合、BはAに対して時価での買取りを請求し得る。
正解と解説を見る
正解 ○
正しい。第33条第1項は、賃貸人の同意を得て建物に付加した畳・建具その他の造作について、賃貸借が期間満了または解約申入れで終了するとき、賃借人に時価買取請求を認める。賃貸人から買い受けた造作も同様である。ただし不利特約で排除できるかなど、終了事由以外の問題を混同して当然の請求権を否定してはならない。
学習ポイント:賃貸人同意の造作は、期間満了等で終了するとき時価買取請求の対象。
第33条第1項
無断の造作
賃借人Bが賃貸人Aの同意なく自己判断で建具を取り付けた場合でも、普通建物賃貸借が期間満了で終われば、Bは第33条により当然にAへ時価買取りを請求できる。
正解と解説を見る
正解 ×
誤り。第33条第1項は、賃貸人の同意を得て付加した造作、または賃貸人から買い受けた造作を対象とする。BがAの同意なく独断で設置した建具を、期間満了という終了原因だけで同条の当然の買取対象にできない。造作の所有・撤去など別の権利関係はあり得るが、それと第33条の法定買取請求権は分けて判断する。
学習ポイント:無断で付加した造作には、第33条の当然の時価買取請求は認められない。
第33条第1項
この条文を解説で参照する過去問
宅建令和2年10月 問12肢4
本件契約が借地借家法第38条の定期建物賃貸借契約であって、造作買取請求に関する特約がない場合、期間満了で本件契約が終了するときに、Bは、Aの同意を得て甲建物に付加した造作について買取請求をすることができる。
正誤と理由を見る
正しい
正しい。造作買取請求の特約がなければ、貸主の同意を得て付加した造作は期間満了時に買取請求できる(借地借家法33条)。
宅建平成28年 問12肢3
甲建物の適法な転借人であるCが、Bの同意を得て甲建物に造作を付加した場合、期間満了により本件契約が終了するときは、CはBに対してその造作を時価で買い取るよう請求することができる。
正誤と理由を見る
正しい
正しい。転借人Cが賃貸人Bの同意を得て付加した造作は、契約終了時にBに対して時価での買取りを請求できる(借地借家法33条2項)。
宅建平成27年 問11肢4
AB間の賃貸借契約がBの賃料不払を理由として解除された場合、BはAに対して、Aの同意を得てBが建物に付加した造作の買取りを請求することはできない。
正誤と理由を見る
正しい
正しい。造作買取請求権は、建物の賃貸借が期間の満了又は解約の申入れによって終了するときに認められるものであり(借地借家法33条1項)、賃借人の賃料不払による債務不履行を理由に契約が解除された場合には行使できない(最判昭31.4.6)。
宅建平成27年 問12肢3
期間満了により賃貸借契約が終了する際に賃借人は造作買取請求をすることができない旨の規定は、定期借家契約では有効であるが、普通借家契約では無効である。
正誤と理由を見る
誤り
誤り。造作買取請求権を排除する特約は定期・普通ともに有効(借地借家法37条の強行規定の対象に33条は含まれず、普通借家でも買取請求権を排除する特約は有効)。
賃管令和5年度 問23肢4
造作買取請求権排除の特約が付されていない建物賃貸借契約において、賃借人が賃貸人の承諾を得て付加した造作に関し、賃借人が賃貸借契約終了時に造作買取請求権を行使した場合、賃貸人は賃借人と造作にかかる売買契約を締結しなければならない。
正誤と理由を見る
誤り
誤り。造作買取請求権は形成権であり、行使すれば造作は賃貸人の所有となるため、別途売買契約を締結する必要はない。
賃管令和2年度 問35肢2
貸主が賃料の増額を請求し借主がこれを拒んだが、貸主の請求を認めた裁判が確定した場合、借主が賃料の不足額を支払うにあたり、特約がないときは、年1割の割合による支払期後の利息を付加しなければならない。
正誤と理由を見る
正しい
正しい。増額を認める裁判が確定した場合、不足額には特約がなければ年1割の利息を付加して支払う(借地借家法33条1項)。
賃管平成28年度 問13肢3
借主が貸主の同意を得て賃貸不動産に設置した造作について、借地借家法第33条1項に基づく造作買取請求権を排除する旨の特約は有効である。
正誤と理由を見る
正しい
正しい。造作買取請求権は慣習に反しない限り行使できるが、契約で排除する特約は有効である。
管業令和2年度 問43肢3
BがAの同意を得て付加した畳、建具その他の造作について、Bは、Aに対し、賃貸借が終了したときにそれらの買取りを請求することができない旨の特約は無効である。
正誤と理由を見る
誤り
誤り。造作買取請求を排除する特約は有効であり、無効ではない。
問題で確認する
第33条の内容は2問の〇×問題と2問の条文穴埋めで確認できます。