資格ジュピター条文穴埋め・判例演習

第四章 営業保証金

宅地建物取引業法 第27条(営業保証金の還付)

分野:営業保証金

出題試験:宅建

この条の要点

  • 一般買主の還付請求:一般の買主は宅建取引から生じた債権につき、業者の営業保証金から弁済を受け得る。
  • 宅建業者間取引の除外:宅建業者自身は、他の業者と取引した債権でも営業保証金の弁済権者から除外。
  • 取引から生じた債権の範囲:営業保証金の弁済対象は宅建取引から生じた債権で、案内中の交通事故損害は別。

条文原文

色付きの語句は試験で問われる重要な語句です。

第27条(営業保証金の還付)

宅地建物取引業者と宅地建物取引業に関し取引をした者(宅地建物取引業者に該当する者を除く。)は、その取引により生じた債権に関し、宅地建物取引業者が供託した営業保証金について、その債権の弁済を受ける権利を有する。

②前項の権利の実行に関し必要な事項は、法務省令・国土交通省令で定める。

条文の要点

営業保証金の還付とは、宅建業者と宅建業に関し取引をした宅建業者以外の者が、その取引から生じた債権を営業保証金から弁済してもらう制度です(27条1項)。

還付できるのは宅建業の取引から生じた債権だけで、業者同士の取引の相手方は対象外です。限度はその事務所の按分額ではなく供託額全体です。

営業保証金の還付の対象債権

保護されるのは取引の相手方で、業者自身や請負代金・家賃収納代行・案内中の交通事故賠償など宅建業の取引に基づかない債権は含まれません。従たる事務所での取引でも、その事務所の按分額に限られず供託全体から弁済を受けられます。

項役割内容
1項要件権利を持つのは、業者と宅建業に関し取引をした者で、宅建業者に該当しない者です。
1項効果その取引から生じた債権について、業者が供託した営業保証金から弁済を受ける権利を持ちます。
2項手続還付請求の手続の細目は法務省令・国土交通省令に委任されています。

具体例

Bは宅建業者A社から宅地を購入し、契約が解除されてA社への手付金返還債権を持っています。Bは宅建業者ではありません。

宅建業の取引から生じた債権を持つ業者以外の相手方なので、BはA社の営業保証金から弁済を受ける権利があります。

反例(結論が変わる)

同じ債権者が、宅建業者B社に変わる場合に変えます。

宅建業者は還付権者から明示的に除かれるため、B社はA社の営業保証金からこの規定による弁済を受けられません。

関連条との違い

  • 宅建業法 第25条:25条は業者側の供託義務と営業開始の条件を定め、本条はその保証金から相手方が弁済を受ける権利を定めます。
  • 宅建業法 第64条の7:保証協会の社員は営業保証金を供託せず分担金を納め、取引の相手方の弁済は64条の7の弁済業務保証金から受けます。本条は協会に入らない業者の保証金の還付です。

過去問で誤りとされた肢の型

  • 宅建令和7年 問35肢4

    支店での取引は支店分の額までしか弁済を受けられないとする誤り。限度は按分額ではなく供託額全体です。

  • 宅建令和6年 問27肢2

    現地案内中の交通事故の賠償債権も還付の対象とする誤り。宅建業の取引から生じた債権だけが対象です。

  • 宅建令和2年10月 問35肢1

    業者への建設工事の請負代金債権が還付の対象とする誤り。宅建業に関する取引の債権ではありません。

ほかの誤り肢は「この条文を解説で参照する過去問」で確認できます。

法令版: 2026年4月1日施行版

この条文の〇×問題(3問)

一般買主の還付請求

宅建業者Aから土地を購入した一般の買主Bが、その取引により生じた金銭債権をAに対して有する。Aが供託した営業保証金について、Bはその債権の弁済を受ける権利を持つ。

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正解 ○

正しい。第27条第1項は、宅建業者と宅建業に関し取引した者で、宅建業者自身には該当しない者に、当該取引から生じた債権について営業保証金から弁済を受ける権利を認める。設問のBは一般買主であり、土地売買という宅建業の取引に基づく債権を持つため対象となる。業者の資金事情によってこの権利が当然消えるわけではない。

学習ポイント:一般の買主は宅建取引から生じた債権につき、業者の営業保証金から弁済を受け得る。

第27条第1項

宅建業者間取引の除外

宅建業者Cが、別の宅建業者Dから宅地を買い、代金返還債権を取得した。Cは宅建業の取引相手なので、Dの営業保証金から第27条の弁済を受ける権利を当然に持つ。

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正解 ×

誤り。第27条第1項は、宅建業に関し業者と取引した者のうち、宅建業者に該当する者を弁済権者から明示的に除く。CとDの取引が宅地売買であっても、C自身が宅建業者ならこの条文による営業保証金からの弁済権はない。債権が存在することと営業保証金による特別な保護を受けられることは別に判断する。

学習ポイント:宅建業者自身は、他の業者と取引した債権でも営業保証金の弁済権者から除外。

第27条第1項

取引から生じた債権の範囲

一般の買主Eは、宅建業者Fの従業員が現地案内中に起こした交通事故で負傷し、Fに損害賠償を請求している。この交通事故の債権も、宅地売買の相談中に生じた以上、第27条の営業保証金から必ず弁済を受けられる。

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正解 ×

誤り。営業保証金からの弁済権は、宅建業者との『宅地建物取引業に関し取引をした』ことにより生じた債権に限られる。現地案内の途中でも、従業員の交通事故による身体損害の賠償債権は、宅地建物の取引そのものから生じた債権とはいえない。一般買主であるというだけで、業者に対するすべての債権が保証金の対象になるわけではない。

学習ポイント:営業保証金の弁済対象は宅建取引から生じた債権で、案内中の交通事故損害は別。

第27条第1項

この条文を解説で参照する過去問

宅建令和7年 問35肢4

Aの設置した支店においてAと宅地建物取引業に関する取引をした者は、その取引により生じた債権に関し、500万円を限度としてその債権の弁済を受ける権利を有する。

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誤り

誤り。弁済の限度は営業保証金の額(供託額全体)であり、支店の取引につき500万円の限度はない。

宅建令和6年 問27肢2

Aの従業員が運転する車両で現地案内を受けた者が、Aの従業員の過失による交通事故でケガをした場合に取得する損害賠償請求権は、Aが供託した営業保証金の還付の対象債権となる。

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誤り

誤り。案内中の交通事故の賠償請求権は『宅地建物取引業に係る取引により生じた債権』に当たらず、営業保証金の還付対象外。

宅建令和3年10月 問34肢2

宅地建物取引業者と宅地建物取引業に関し取引をした者は、その取引により生じた債権に関し、当該宅地建物取引業者が供託した営業保証金について、その債権の弁済を受ける権利を有するが、取引をした者が宅地建物取引業者に該当する場合は、その権利を有しない。

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正しい

正しい。営業保証金から弁済を受ける権利は宅建業者でない取引相手方に限られる(業者同士の取引は対象外)。

宅建令和2年10月 問35肢1

Aから建設工事を請け負った建設業者は、Aに対する請負代金債権について、営業継続中のAが供託している営業保証金から弁済を受ける権利を有する。

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誤り

誤り。建設工事の請負代金債権は宅建業に関する取引でなく、営業保証金から弁済を受けられない。

宅建平成30年 問43肢2

宅地建物取引業者に委託している家賃収納代行業務により生じた債権を有する者は、宅地建物取引業者が供託した営業保証金について、その債権の弁済を受けることができる。

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誤り

誤り。家賃収納代行業務の債権は宅建業に関する取引に当たらず、営業保証金から弁済を受けられない。

問題で確認する

第27条の内容は3問の〇×問題と1問の条文穴埋めで確認できます。