資格ジュピター条文穴埋め・判例演習

第四章 営業保証金

宅地建物取引業法 第25条(営業保証金の供託等)

分野:営業保証金

出題試験:宅建

この条の要点

  • 営業保証金の供託場所:営業保証金は、支店分も含め主たる事務所の最寄りの供託所へ供託する。
  • 営業保証金の事務所別金額:営業保証金は本店1000万円、支店一か所500万円で、1本店1支店なら1500万円。
  • 営業保証金に充てる有価証券:営業保証金には現金のほか、法令で認められた国債等の有価証券を充てられる。
  • 供託済み届出と営業開始:営業保証金の供託後、免許権者への供託済み届出をしてから営業を始める。

条文原文

色付きの語句は試験で問われる重要な語句です。

第25条(営業保証金の供託等)

宅地建物取引業者は、営業保証金を主たる事務所のもよりの供託所に供託しなければならない。

②前項の営業保証金の額は、主たる事務所及びその他の事務所ごとに、宅地建物取引業者の取引の実情及びその取引の相手方の利益の保護を考慮して、政令で定める額とする。

③第一項の営業保証金は、国土交通省令の定めるところにより、国債証券、地方債証券その他の国土交通省令で定める有価証券(社債、株式等の振替に関する法律(平成十三年法律第七十五号)第二百七十八条第一項に規定する振替債を含む。)をもつて、これに充てることができる。

④宅地建物取引業者は、営業保証金を供託したときは、その供託物受入れの記載のある供託書の写しを添附して、その旨をその免許を受けた国土交通大臣又は都道府県知事に届け出なければならない。

⑤宅地建物取引業者は、前項の規定による届出をした後でなければ、その事業を開始してはならない。

⑥国土交通大臣又は都道府県知事は、第三条第一項の免許をした日から三月以内に宅地建物取引業者が第四項の規定による届出をしないときは、その届出をすべき旨の催告をしなければならない。

⑦国土交通大臣又は都道府県知事は、前項の催告が到達した日から一月以内に宅地建物取引業者が第四項の規定による届出をしないときは、その免許を取り消すことができる。

⑧第二項の規定に基づき政令を制定し、又は改廃する場合においては、その政令で、営業保証金の追加の供託又はその取戻しに関して、所要の経過措置(経過措置に関し監督上必要な措置を含む。)を定めることができる。

条文の要点

営業保証金の供託等とは、宅建業者が取引の相手方の利益を守るため、事務所ごとの政令額を主たる事務所の最寄りの供託所に預けることです(25条1項・2項)。

順序は免許・供託・届出・営業開始で、届出が済むまで事業を始められません。額は事務所ごとに計算しますが、供託先は主たる事務所の最寄りの1か所です。

営業保証金の供託等の方法と未届出の制裁

供託は金銭だけでなく国債・地方債等の有価証券で充てられ、金銭との併用も可能です。免許の日から3か月以内に届出がなければ免許権者が届出の催告をし、催告到達から1か月以内に届出がなければ免許を取り消すことができます。

項役割内容
1項・2項要件営業保証金は主たる事務所の最寄りの供託所に供託し、額は主たる事務所とその他の事務所ごとに政令で定められます。
3項効果供託は国債・地方債その他の省令で定める有価証券で充てることができます。
4項・5項手続供託書の写しを添えて免許権者に届け出て、その届出の後でなければ事業を開始できません。
6項・7項効果免許の日から3か月以内に届出がなければ催告を受け、催告到達後1か月以内に届出がなければ免許を取り消されることがあります。

具体例

A社は甲県知事の免許を受けて取引相手Bと営業を始めるため、主たる事務所の最寄りの供託所に本店分の営業保証金を供託し、供託書の写しを添えて甲県知事に届け出ました。

供託と届出が済んでいるため、A社は営業を開始できます。

反例(結論が変わる)

同じA社が、供託は済ませたが免許権者への届出をまだしていない場合に変えます。

届出をした後でなければ事業を開始できないので、供託だけ済んでいても営業を始められません。

関連条との違い

  • 宅建業法 第26条:26条は事業開始後に新たに事務所を設けた場合の追加供託を定め、本条は営業開始に先立つ当初の供託です。
  • 宅建業法 第30条:30条は廃業等の際の取戻しを定め、本条は営業の前提となる供託と届出です。

過去問で誤りとされた肢の型

  • 宅建平成30年 問43肢3

    営業開始後1週間以内に届け出ればよいとする誤り。届出は営業開始の前提で、開始後ではありません。

  • 宅建令和3年10月 問34肢1

    供託所から免許権者に通知されるので業者の届出は要らないという誤り。業者自らが届け出ます。

  • 宅建平成29年 問39ア

    新設の従たる事務所の最寄りの供託所に供託するとする誤り。供託先は常に主たる事務所の最寄りです。

ほかの誤り肢は「この条文を解説で参照する過去問」で確認できます。

法令版: 2026年4月1日施行版

この条文の〇×問題(4問)

営業保証金の供託場所

甲県に本店、乙県に支店がある宅建業者Aは、営業保証金を本店分と支店分に分けて、それぞれの事務所の最寄りの供託所へ供託しなければならない。

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正解 ×

誤り。宅建業法第25条第1項は、営業保証金を主たる事務所の最寄りの供託所へ供託するよう定める。従たる事務所の分を含めて必要額を計算するが、支店所在地の供託所に個別に分けて供託する制度ではない。事務所ごとの額の計算と、実際に供託する場所を混同しないことが重要である。

学習ポイント:営業保証金は、支店分も含め主たる事務所の最寄りの供託所へ供託する。

第25条第1項・第2項

営業保証金の事務所別金額

保証協会に加入していない宅建業者Bが本店一つと支店一つを置く場合、営業保証金の政令額は合計1500万円となる。

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正解 ○

正しい。宅建業法第25条第2項は営業保証金の額を事務所ごとに政令で定める。現行の施行令では主たる事務所につき1000万円、その他の事務所につき一か所ごとに500万円である。本店一つと支店一つなら合計1500万円となる。保証協会の社員が納める弁済業務保証金分担金とは額も仕組みも異なる。

学習ポイント:営業保証金は本店1000万円、支店一か所500万円で、1本店1支店なら1500万円。

第25条第2項、宅地建物取引業法施行令第2条の4

営業保証金に充てる有価証券

宅建業者Cは、営業保証金の供託に国債証券など省令で認められた有価証券を充てることができる。営業保証金を必ず全額現金で供託する必要はない。

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正解 ○

正しい。第25条第3項は、営業保証金について国債証券、地方債証券その他省令で定める有価証券をもって充てることを認める。したがって現金のみの供託に限定されない。ただしどの有価証券でも自由に額面全額で供託額に算入できるわけではなく、対象や評価は所定の規則に従う。有価証券利用の可否と評価額を区別する。

学習ポイント:営業保証金には現金のほか、法令で認められた国債等の有価証券を充てられる。

第25条第3項

供託済み届出と営業開始

宅建業者Dは営業保証金を必要額供託した。免許権者への供託済み届出は翌週行う予定だが、供託自体が済んでいるので今日から宅建業を開始できる。

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正解 ×

誤り。第25条第4項は、営業保証金を供託した業者に、供託書の写しを添えて免許権者へ供託済みの届出をするよう求める。第5項は、その届出をした後でなければ事業を開始できないと定める。供託と届出は別の段階であり、保証金を預けただけでは営業開始の条件を満たさない。設問のDは届出前なので開始できない。

学習ポイント:営業保証金の供託後、免許権者への供託済み届出をしてから営業を始める。

第25条第4項・第5項

この条文を解説で参照する過去問

司法書士令和3年度 問44イ

宅地建物取引業者が事業の開始後新たに事務所を設置したときの営業保証金の供託は、主たる事務所の最寄りの供託所にしなければならない。

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正しい

正しい。宅地建物取引業者が事業開始後新たに事務所を設置したときは、その事務所についての営業保証金を、主たる事務所の最寄りの供託所に供託しなければならない(宅建業法25条1項・26条)。

司法書士平成28年度 問44イ

宅地建物取引業者がすべき営業保証金の供託は、当該宅地建物取引業者が複数の事務所を有している場合には、それぞれの事務所の最寄りの供託所にしなければならない。

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誤り

誤り。宅地建物取引業者の営業保証金は、事務所が複数でも主たる事務所の最寄りの供託所に供託しなければならない(宅建業法25条1項)。

宅建令和6年 問27肢3

Aは、金銭と有価証券を併用して供託することができ、有価証券のみで供託する場合の当該有価証券の価額は、国債証券の場合はその額面金額の100分の90、地方債証券の場合はその額面金額の100分の80である。

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誤り

誤り。有価証券の価額は国債100%・地方債90%・その他80%(記述の比率が誤り)。

宅建令和5年 問30ア

Aが免許を受けた日から6か月以内に甲県知事に営業保証金を供託した旨の届出を行わないとき、甲県知事はその届出をすべき旨の催告をしなければならず、当該催告が到達した日から1か月以内にAが届出を行わないときは、その免許を取り消すことができる。

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誤り

誤り。供託の届出を怠った場合の催告・取消の制度はあるが、「免許を受けた日から6か月以内」という期間の定めはない。

宅建令和5年 問30イ

Aは、営業保証金を供託したときは、その供託物受入れの記載のある供託書の写しを添付して、その旨を甲県知事に届け出なければならず、当該届出をした後でなければ、その事業を開始することができない。

正誤と理由を見る

正しい

正しい。供託書の写しを添えた届出をした後でなければ事業を開始できない。

宅建令和3年10月 問34肢1

国土交通大臣から免許を受けた宅地建物取引業者が、営業保証金を主たる事務所のもよりの供託所に供託した場合、当該供託所から国土交通大臣にその旨が通知されるため、当該宅地建物取引業者は国土交通大臣にその旨を届け出る必要はない。

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誤り

誤り。供託後は業者自ら免許権者に届出が必要(供託所からの通知はない)。

宅建令和3年10月 問34肢3

営業保証金は、金銭による供託のほか、有価証券をもって供託することができるが、金銭と有価証券とを併用して供託することはできない。

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誤り

誤り。金銭と有価証券の併用供託は可能。

宅建令和3年10月 問34肢4

有価証券を営業保証金に充てる場合における当該有価証券の価額は、国債証券の場合はその額面金額の100分の90、地方債証券の場合はその額面金額の100分の80である。

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誤り

誤り。国債は額面100%、地方債は90%(記述の数字が逆)。

宅建令和2年10月 問35肢4

Aが甲県内に本店及び2つの支店を設置して宅地建物取引業を営もうとする場合、供託すべき営業保証金の合計額は1,200万円である。

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誤り

誤り。本店+2支店の営業保証金は1,000万+500万×2=2,000万円。

宅建平成30年 問43肢3

宅地建物取引業者は、宅地建物取引業の開始後1週間以内に、供託物受入れの記載のある供託書の写しを添附して、営業保証金を供託した旨を免許を受けた国土交通大臣又は都道府県知事に届け出なければならない。

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誤り

誤り。営業保証金は業務開始『前』に供託が必要(開始後1週間以内ではない)。

ほか6肢は、各過去問のページで確認できます。

問題で確認する

第25条の内容は4問の〇×問題と1問の条文穴埋めで確認できます。