第三章 不利益処分/第一節 通則
行政手続法 第12条(処分の基準)
この条の要点
- 処分基準の具体化義務:処分基準は設定・公表は努力だが具体化は義務。
- 処分基準の設定・公表義務の有無:処分基準は設定も公表も努力義務にすぎない。
条文原文
色付きの語句は試験で問われる重要な語句です。
第12条(処分の基準)
行政庁は、処分基準を定め、かつ、これを公にしておくよう努めなければならない。
②行政庁は、処分基準を定めるに当たっては、不利益処分の性質に照らしてできる限り具体的なものとしなければならない。
条文の要点
処分基準とは、不利益処分をするか否か、どのような不利益処分にするかを法令の定めに従い判断するための基準です(12条・2条8号ハ)。
行政庁は処分基準を定め、かつ公にしておくよう努めなければならないという努力義務です。策定も公表も努力義務にとどまり、審査基準の定め・公表とは義務の強さが異なります。
処分基準の義務の強さ
基準の策定と公表は『努めなければならない』努力義務で、定めた場合に公表の法的義務が発生するわけでもありません。他方、定めるに当たって不利益処分の性質に照らしできる限り具体的なものとする義務は『しなければならない』と強く定められています。
| 項 | 役割 | 内容 |
|---|---|---|
| 1項 | 効果 | 処分基準の策定と公表を努める努力義務を課す |
| 2項 | 要件 | 定める場合は不利益処分の性質に照らしできる限り具体的なものとする義務 |
具体例
行政庁Aが営業停止に関する処分基準を設けないまま、Bに営業停止を命じようとしています。
処分基準の策定は努力義務なので、基準がないことだけで直ちに違法とはなりません。
反例(結論が変わる)
同じ設定で、Aが申請に対する審査基準を設けずにいる場合に変えます。
審査基準は『定めるものとし』『公にしておかなければならない』法的義務で、努力義務の処分基準と義務の強さが違います。
関連条との違い
- 行政手続法 第5条:5条の審査基準は『定めるものとし』、特別の支障がない限り公にしておく法的義務。12条の処分基準は策定・公表ともに努力義務
- 行政手続法 第14条:14条は個別の不利益処分に付随する理由提示の義務。12条は処分の判断基準の設定・公表で、個別処分への付随義務ではない
過去問で誤りとされた肢の型
- 行政書士令和7年 問13肢3
処分基準を必ず定めなければならないという誤り。策定・公表はいずれも努力義務にとどまるさらに処分基準は申請への処分ではなく、不利益処分の判断の基準です
- 行政書士令和6年 問13肢5
基準を定めた場合には公表の法的義務が生じるという誤り。努力義務が段階的に強くなる構造ではない
- 行政書士令和6年 問13肢2
名あて人の求めに応じて個別に示せば足りるという誤り。処分基準は一般に公にしておくことが求められる
ほかの誤り肢は「この条文を解説で参照する過去問」で確認できます。
法令版: 2026年7月24日施行版
この条文の〇×問題(2問)
処分基準の具体化義務
不利益処分の基準を設ける際、行政庁には、その処分の性格に応じて可能な範囲で具体的な内容を持つ基準とする責務が課される。
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正解 ○
正しい。処分基準の設定・公表は努力義務にとどまるが、定めるに当たっての具体化は「しなければならない」との強い表現で義務付けられる。定める場合には不利益処分の性質に照らしてできる限り具体的な内容が求められる。
学習ポイント:処分基準は設定・公表は努力だが具体化は義務。
第12条2項、対比:同条1項
処分基準の設定・公表義務の有無
行政庁は、不利益処分をするかどうかの判断に必要となる処分基準を必ず定め、これを公にしておかなければならない。
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正解 ×
誤り。処分基準については、定めかつ公にしておくよう努めなければならないとされ、設定自体も公表も努力義務にとどまる。申請に対する処分における審査基準が設定・公表ともに法的義務とされるのと対照的な扱いである。
学習ポイント:処分基準は設定も公表も努力義務にすぎない。
第12条1項
根拠・関連条文
この条文を解説で参照する過去問
行政書士令和7年 問13肢3
行政庁は、申請に対する処分について処分基準を定めなければならないが、その処分基準を定めるにあたっては、処分の性質に照らしてできる限り具体的なものとしなければならない。
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妥当でない
処分基準は「定め、かつ、公にしておくよう努める」努力義務(行手12条)であって策定義務規定ではない。
行政書士令和6年 問11肢4
本件処分は、申請に対する処分を取り消すものであるので、本件処分をするに際して、行政庁は許認可等の性質に照らしてできる限り具体的な審査基準を定めなければならない。
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妥当でない
取消処分は不利益処分であり、申請に対する処分の審査基準(行手5条)ではなく処分基準(12条)の問題。
行政書士令和6年 問13肢2
処分基準は、不利益処分を行うに際して、その名あて人からの求めに応じ、当該名あて人に対してこれを示せば足りるものとされている。
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妥当でない
処分基準は名あて人への個別提示ではなく、公にしておくよう努めることが求められる(行手12条)。
行政書士令和6年 問13肢5
行政庁が処分基準を定めることは努力義務に過ぎないが、処分基準を定めた場合には、これを公にする法的義務を負う。
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妥当でない
処分基準の策定・公表はいずれも努力義務(行手12条1項)で、定めた場合に公表義務が生じるものではない。
行政書士令和5年 問13ウ
不利益処分を行う場合の処分基準を定めて公にしておくこと
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処分基準の策定・公表は努力義務(行手12条『努めなければならない』)。
行政書士令和元年 問13ウ
行政庁が、処分基準を定めたときは、行政上特別の支障があるときを除き、法令により申請の提出先とされている機関の事務所における備付けその他の適当な方法により公にしておかなければならない。
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処分基準は、定め、かつ公にしておく努力義務である(行手12条1項)。審査基準の公表義務(行手5条3項)と異なり、『公にしておかなければならない』とする強い義務表現が誤り。
行政書士平成23年 問12肢1
不利益処分について行政機関が定める処分基準は、当該不利益処分の性質に照らしてできる限り具体的なものとしなければならない。
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正しい
処分基準は不利益処分の性質に照らしてできる限り具体的なものとしなければならない(行手12条)。正しい。
問題で確認する
第12条の内容は2問の〇×問題と1問の条文穴埋めで確認できます。