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第二編 物権/第二章 占有権/第一節 占有権の取得

民法 第186条(占有の態様等に関する推定)

分野:占有権

出題試験:宅建重要度 中行政書士重要度 中司法書士重要度 高マンション管理士重要度 中管理業務主任者重要度 中

重要度は過去問の出題年度などをもとにした当サイトの評価です。

この条の要点

  • 賃貸借の権原による所有意思推定の反証:所有意思は推定にすぎない。賃貸借など他主占有の権原で覆り得る。
  • 前後両時点からの占有継続の推定:前後の占有を証明すれば中間の継続を推定。全期間の証明は不要。

条文原文

色付きの語句は試験で問われる重要な語句です。

第186条(占有の態様等に関する推定)

占有者は、所有の意思をもって、善意で、平穏に、かつ、公然と占有をするものと推定する。

②前後の両時点において占有をした証拠があるときは、占有は、その間継続したものと推定する。

条文の要点

占有の推定とは、占有者が所有の意思をもって善意・平穏・公然に占有するものとする推定で、前後両時点の占有の証拠で継続も推定されます(186条)。

推定されるのは所有の意思・善意・平穏・公然で、無過失は列挙にありません。推定なので反証で覆り、賃貸借など他主占有の権原が示されれば所有の意思の推定は破れます。

占有の推定の立証負担への効果

無過失は本条の列挙に含まれず、10年時効では占有開始時の無過失を占有者が立証します。一方で188条は占有物について行使する権利を適法に有すると推定し、即時取得では善意無過失の主張・立証を占有者が不要とする整理が働きます。

項役割内容
1項効果所有の意思・善意・平穏・公然の占有を推定する(無過失は含まない)
2項効果前後両時点の占有の証拠があれば、中間の継続占有を推定する

具体例

CがAから動産を買い受けて善意・平穏・公然に占有し、Aが無権利者だったことについて即時取得を主張しています。

占有の態様と188条の権利の適法推定が働き、Cの無権利への悪意・有過失を主張・立証するのは相手方です。

反例(結論が変わる)

同じ設定で、相手方がCに対し賃貸借による他主占有の権原を示した場合に変えます。

他主占有の権原が示されれば所有の意思の推定は覆り、自主占有への転換は185条の要件を問い直します。

関連条との違い

  • 民法 第162条:10年時効は占有開始時の善意無過失を要件とするが、無過失は186条の推定外で占有者が立証する
  • 民法 第185条:他主占有の権原がある者が自主占有に転じるには、占有させた者への所有の意思の表示又は新権原が要る
  • 民法 第187条:承継人は前の占有を併せて主張できるが瑕疵も承継する。186条の推定は現占有者の占有の態様についてのもの

過去問で誤りとされた肢の型

  • 司法書士平成27年度 問6ウ

    10年時効の要件の無過失まで推定されるとする誤り。186条の推定に無過失は含まれない

  • 行政書士平成23年 問29イ

    即時取得の無過失は推定されず占有者が立証するとする誤り。188条の権利の適法推定が働く

  • 司法書士平成25年度 問8肢4

    占有者が善意無過失を証明しないと即時取得を主張できないとする誤り。悪意等の立証責任は相手方側

ほかの誤り肢は「この条文を解説で参照する過去問」で確認できます。

法令版: 2026年6月24日施行版

この条文の〇×問題(2問)

賃貸借の権原による所有意思推定の反証

甲が乙所有の土地を賃借して引渡しを受けた後、長年その土地を占有している場合、占有者には所有の意思が推定されるため、賃貸借契約書が提出されても甲の自主占有の推定は覆らない。

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正解 ×

誤り。民法186条1項は占有者の所有意思を推定するが、これは反証を許さない「みなし」ではない。賃貸借契約書は、甲が所有者としてではなく賃借人として占有を始めたことを示すため、所有意思の推定を覆し得る。甲が自主占有へ転じるには、第185条の要件も問題となる。

学習ポイント:所有意思は推定にすぎない。賃貸借など他主占有の権原で覆り得る。

第186条1項、関連:第185条

前後両時点からの占有継続の推定

ある者が五年前と現在の両時点で同じ物を占有していたことを証明したときは、反証がない限り、その間も占有が継続していたものと推定される。

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正解 ○

正しい。民法186条2項は、前後の両時点で占有した証拠があるときは、その中間も占有が継続したものと推定する。したがって、占有者は中間のすべての日時に占有していたことを個別に積み上げて証明する必要はない。もっとも、中間で占有が中断したとの反証があれば推定は覆る。

学習ポイント:前後の占有を証明すれば中間の継続を推定。全期間の証明は不要。

第186条2項

この条文を解説で参照する過去問

行政書士令和4年 問28肢1

Aが所有する動産甲(以下「甲」)の保管をAから委ねられ占有しているBが、甲を自己の物と称してCに売却した場合、甲に対するCの即時取得の成立要件について、占有開始におけるCの平穏、公然、善意および無過失は推定される。

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妥当である

占有の平穏・公然・善意・無過失は推定される(民法188条・186条)。妥当。

行政書士平成23年 問29イ

Cは、カメラの占有を平穏、公然、善意、無過失で始めたときにカメラの所有権を即時取得するが、その要件としての平穏、公然、善意は推定されるのに対して、無過失は推定されないので、Cは無過失の占有であることを自ら立証しなければならない。

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妥当ではない

善意・無過失を含む占有の態様は186条・188条により推定されるので、Cが無過失を自ら立証する必要はない。妥当でない。

司法書士令和6年度 問7ア

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誤り

誤り。占有者は所有の意思をもって、善意で、平穏に、かつ、公然と占有するものと推定される(186条1項)。善意も推定対象に含まれる。

司法書士平成27年度 問6ウ

甲土地を10年間占有したことを理由として甲土地の所有権を時効により取得したことを主張する者は、法律上、その占有の開始の時に善意であったことだけでなく、無過失であったことも推定される。

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誤り

誤り。占有者の推定されるのは所有の意思・善意・平穏・公然の占有であり(民法186条1項)、無過失は推定されない。

司法書士平成25年度 問8肢4

Aから甲を賃借していたFは、甲をBに売却し、その現実の引渡しをした。この場合において、Bは、Aに対して甲の即時取得を主張するためには、Fが甲に関し無権利者であることについて自己が善意無過失であったことを証明しなければならない。

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誤り

誤り。占有者の所有の意思・善意・平穏・公然は推定されるため(民法186条1項)、悪意の主張・立証責任は相手方が負う。

管業令和5年度 問29肢4

102号室について、Dは、所有の意思をもって、善意で、平穏に、かつ、公然と占有をするものと推定される。

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正しい

正しい。占有者は所有の意思をもって善意で平穏かつ公然に占有をするものと推定される。

問題で確認する

第186条の内容は2問の〇×問題と1問の条文穴埋めで確認できます。