第二編 物権/第三章 所有権/第三節 共有
民法 第256条(共有物の分割請求)
重要度は過去問の出題年度などをもとにした当サイトの評価です。
この条の要点
- 分割をしない旨の契約の更新と起算点:不分割契約の期間上限は更新のたびに更新時を起点に起算され、通算ではないと判断する。
- 相隣関係上の共有推定物への分割請求:相隣関係上共有と推定される物については分割請求の規定が適用されないと見抜く。
条文原文
色付きの語句は試験で問われる重要な語句です。
第256条(共有物の分割請求)
各共有者は、いつでも共有物の分割を請求することができる。ただし、五年を超えない期間内は分割をしない旨の契約をすることを妨げない。
②前項ただし書の契約は、更新することができる。ただし、その期間は、更新の時から五年を超えることができない。
条文の要点
共有物の分割請求とは、各共有者がいつでも共有物の分割を求められる権利で、5年を超えない期間の不分割契約で妨げられます(256条)。
請求は原則いつでもでき、5年を超えない不分割契約は有効で期間中は請求できません。契約は更新でき、更新の時から5年を超えない範囲で続きます。
共有物の分割請求の効力と不分割契約の制限
5年を超える定めは超過部分が効力を持たないだけで契約自体は無効になりません。境界標など相隣者の共有と推定される物には分割請求の規定が適用されません(257条)。
| 項 | 役割 | 内容 |
|---|---|---|
| 1項本文 | 効果 | 各共有者はいつでも共有物の分割を請求できる |
| 1項ただし書 | 例外 | 5年を超えない期間内は分割をしない旨の契約ができる |
| 2項本文 | 効果 | 不分割契約は更新できる |
| 2項ただし書 | 要件 | 更新後の期間は更新の時から5年を超えられない |
具体例
A・B・Cが「3年間は分割しない」と契約し、その期間中にAが共有地の分割を請求しました。
5年以内の不分割契約は有効なので、期間中のAの請求は認められません。
反例(結論が変わる)
同じ設定で、契約が10年の不分割を定め、5年経過後にAが請求した場合に変えます。
5年を超える部分は効力を持たないため、5年経過後の請求は認められます。
関連条との違い
過去問で誤りとされた肢の型
- 行政書士平成22年 問29ア
5年以内の不分割契約は無効で期間中も請求できるとする誤り。契約は有効で期間中は請求できない
- 司法書士平成28年度 問54ウ
10年の不分割の定めを登記できるとする誤り。5年を超える定めは登記できない
- 管業令和5年度 問29肢1
5年以内の不分割契約があってもいつでも請求できるとする誤り。期間中は請求できない
ほかの誤り肢は「この条文を解説で参照する過去問」で確認できます。
法令版: 2026年6月24日施行版
この条文の〇×問題(2問)
分割をしない旨の契約の更新と起算点
共有物を分割しない旨の契約は、当事者が更新することによってその効力を延ばすことができ、更新の時から数えて5年を超えない期間であれば、さらに分割をしない契約を存続させることができる。
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正解 ○
正しい。分割をしない旨の契約は五年を超えない期間内であれば有効で、更新も可能である。更新後の期間は当初の契約時からの通算ではなく更新の時から五年を超えない範囲で許されるため、反復更新により実質的に長期間存続しうる。
学習ポイント:不分割契約の期間上限は更新のたびに更新時を起点に起算され、通算ではないと判断する。
第256条1項ただし書・2項
相隣関係上の共有推定物への分割請求
境界線上に設けられた境界標や囲障のように相隣者の共有に属するものと推定される物についても、共有関係の解消を図るため、各共有者はいつでもその分割を請求することができる。
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正解 ×
誤り。境界線上に設けた境界標・囲障等は相隣者の共有に属するものと推定されるが、いつでも分割を請求できるという共有物分割の規定はこれらの共有物には適用されず、分割請求はできない。共有と推定されることと分割請求が認められるかは別の問題である。
学習ポイント:相隣関係上共有と推定される物については分割請求の規定が適用されないと見抜く。
第257条、関連:第229条・第256条1項
根拠・関連条文
この条文を解説で参照する過去問
行政書士平成22年 問29ア
各共有者は、いつでも共有物の分割を請求することができるから、たとえA・B・Cの間で5年間の共有物分割禁止の契約があった場合でも同契約は無効であり、Aは、BおよびCに対して甲土地、乙土地および丙土地の分割を請求することができる。
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誤り
5年を超えない範囲の共有物分割禁止特約は有効(256条1項ただし書)で、期間中は分割請求できない。誤り。
司法書士令和7年度 問48ウ
複数の者を抵当権者とする抵当権の設定の登記を申請する場合において、当該抵当権について5年を超えない期間は分割をしない旨が定められたときであっても、その定めを申請情報の内容とすることができない。
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誤り
誤り。共有抵当権について分割禁止の定め(民264条・256条1項ただし書——5年を超えない範囲での分割禁止)があるときはその定めが登記事項となる(不登法59条6号)ため、申請情報の内容とすることができる(する必要がある)。
司法書士令和6年度 問9ア
共有者は、共有物について、5年を超えない期間内は分割をしない旨の契約をすることができる。
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正しい
正しい。共有者は5年を超えない期間内は分割をしない旨の契約をすることができる(256条1項ただし書)。
司法書士平成28年度 問54ウ
A及びBが所有権の登記名義人である甲土地について、AとBが10年間共有物分割を禁止する旨の定めをし、当該定めを追加する旨の所有権の変更の登記を申請することができる。
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誤り
誤り。共有物分割禁止の定めは5年を超える期間では定められず(民法256条1項但書)、10年間の定めは登記できない。
マン管令和3年度 問2肢1
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誤り
誤り。正しい記述はイとエの二つ。不分割契約は更新も可能(ただし更新後の期間も5年以内)で、専有部分の共有については分割請求もできる。
マン管令和3年度 問2肢2
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正しい
正しい。イ(共用部分の共有持分は分割請求できない)とエ(規約共用部分も同様に分割請求できない)の二つが正しい。
マン管令和2年度 問9肢1
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正しい
正しい。建物が全部滅失した場合は、敷地の共有持分について各者が他の者に対し分割を請求することができる(ア正しい)。
管業令和5年度 問29肢1
A、B、Cは、共有する区分所有権について5年を超えない期間内は分割をしない旨の契約をしていた場合であっても、いつでも101号室の区分所有権の分割を請求することができる。
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誤り
誤り。5年を超えない期間の共有物不分割の特約は有効であり、その期間中は分割請求ができない。
管業平成28年度 問4肢1
各共有者は、5年を超えない期間内は乙の分割をしない旨の契約をしない限りは、いつでも乙の分割を請求することができる。
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正しい
正しい。共有物の分割請求は原則いつでもでき、5年を超えない範囲の不分割契約のみ有効(民法256条)。
問題で確認する
第256条の内容は2問の〇×問題と1問の条文穴埋めで確認できます。