資格ジュピター条文穴埋め・判例演習

第二編 物権/第六章 地役権

民法 第283条(地役権の時効取得)

分野:用益物権(地上権・永小作権・地役権)

出題試験:宅建重要度 中行政書士重要度 中司法書士重要度 高

重要度は過去問の出題年度などをもとにした当サイトの評価です。

条文原文

色付きの語句は試験で問われる重要な語句です。

第283条(地役権の時効取得)

地役権は、継続的に行使され、かつ、外形上認識することができるものに限り、時効によって取得することができる。

条文の要点

地役権の時効取得とは、継続的に行使され、かつ、外形上認識できる地役権に限り時効により取得できることです(283条)。

継続と外形上の認識可能性は「又は」ではなく「かつ」の両方が要件です。単に通行するだけで通路の外形がない行使は要件を満たさず、地中の送水管など外から見えない利用も時効取得できません。

地役権の時効取得の対象となる地役権の範囲

所有権の時効取得(162条)と違い、地役権は種類を限定した上で時効取得を認めます。通路の開設がない通行は「継続」の要件自体を満たさないと解されています(判例)。

項役割内容
1項要件対象は継続的に行使され、かつ、外形上認識できる地役権に限る
1項効果その二要件を満たす地役権だけが時効により取得できる

具体例

AがBの土地の地中に通った送水管を使い、外から見えない形で20年間引水し続けました。

外形上認識できない行使は要件を満たさないため、Aは引水地役権を時効取得できません。

反例(結論が変わる)

同じ設定で、AがBの土地上に自ら開設した明らかな通路を20年間使い続けた場合に変えます。

継続と外形上の認識可能性を両方満たすため、通行地役権の時効取得が認められ得ます。

関連条との違い

  • 民法 第162条:所有権の時効取得は20年間の占有(善意無過失なら10年)。地役権は継続と外形の二要件を満たすものに限定される
  • 民法 第281条:付従性で地役権は要役地に従たり分離譲渡できない。時効取得した地役権も同じ付従性を持つ
  • 民法 第282条:不可分性は分割しても効力が各部に及ぶ性質。時効取得の可否とは別の問題

過去問で誤りとされた肢の型

  • 宅建令和2年12月 問9肢1

    継続又は外形のどちらかで時効取得できるとする誤り。「かつ」で両方が要件

  • 司法書士平成31年度 問6オ

    通路を開設しないまま20年間通行すれば時効取得できるとする誤り。通路の外形がない通行は要件を満たさない

ほかの誤り肢は「この条文を解説で参照する過去問」で確認できます。

判例

  • 通行地役権の時効取得の継続の要件最高裁判所 1955年12月26日

    通行地役権の時効取得の「継続」の要件には、承役地に通路の開設があるだけでなく、その開設が要役地所有者によってなされたことを要する

法令版: 2026年6月24日施行版

この条文を解説で参照する過去問

行政書士平成29年 問29オ

地役権は、継続的に行使され、かつ、外形上認識することができるものに限り、時効によって取得することができる。

正誤と理由を見る

地役権の時効取得は継続的に行使され外形上認識できるものに限る(283条)。妥当。

行政書士平成24年 問29肢4

Aは、少なくとも20年にわたって、自己のためにする意思をもって、平穏、かつ、公然と乙土地の一部を通行していれば、A自らが通路を開設していなくても、乙土地上に通行地役権を時効取得することができる。

正誤と理由を見る

妥当ではない

地役権の時効取得は継続的かつ表現され得る方法で行使できるものに限られ(283条)、通路の外形がない行使では取得できない(判例)。妥当ではない。

司法書士令和6年度 問10オ

Aが、B所有の甲土地の地中に通された送水管を使用して、外形上認識し得ない形でA所有の乙土地への引水を継続して行っていた場合には、Aは、乙土地のための甲土地の引水地役権を時効によって取得することができない。

正誤と理由を見る

正しい

正しい。地役権は継続的に行使され、かつ、外形上認識することができるものに限り時効取得できる(283条)。地中の送水管による引水は外形上認識できないので時効取得できない。

司法書士平成31年度 問6オ

他人の土地を20年間通路を開設することのないまま通行した隣地の所有者は、その他人の土地について、通行地役権を時効により取得することができる。

正誤と理由を見る

誤り

誤り。通路を開設しないで単に通行しただけでは、地役権の継続的かつ表現された行使(繼続・表現の要件)を満たさず、通行地役権の時効取得はできない(民法283条・判例)。

宅建令和2年12月 問9肢1

地役権は、継続的に行使されるもの、又は外形上認識することができるものに限り、時効取得することができる。

正誤と理由を見る

誤り

誤り。地役権の時効取得は、継続的に行使され、かつ外形上認識できるものに限られる(民法283条—『又は』ではなく『かつ』)。

問題で確認する

第283条の内容は1問の条文穴埋めで確認できます。