第三編 債権/第三章 事務管理
民法 第697条(事務管理)
重要度は過去問の出題年度などをもとにした当サイトの評価です。
この条の要点
- 管理意思の要件(誤認管理):客観的に他人の利益になっても、他人のためにする管理意思がなければ事務管理は成立しない。
- 推知できる本人の意思への従属義務:本人の意思を知り又は推知できるときは意思が優先し、反した管理は償還も現存利益に限られる。
条文原文
色付きの語句は試験で問われる重要な語句です。
第697条(事務管理)
義務なく他人のために事務の管理を始めた者(以下この章において「管理者」という。)は、その事務の性質に従い、最も本人の利益に適合する方法によって、その事務の管理(以下「事務管理」という。)をしなければならない。
②管理者は、本人の意思を知っているとき、又はこれを推知することができるときは、その意思に従って事務管理をしなければならない。
この条文の〇×問題(2問)
管理意思の要件(誤認管理)
甲が乙の所有物を自己の物と誤信して修繕した場合、他人のために事務を管理するという意思を欠いているため、甲乙間に事務管理は成立しない。
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正解 ○
正しい。事務管理は、義務なく他人のために事務の管理を始めることによって成立するが、「他人のために」には管理意思が必要である。乙の物を自己の物と誤信した甲にはその意思がなく事務管理は成立せず、支出した費用の扱いは不当利得の規定による問題となる。
学習ポイント:客観的に他人の利益になっても、他人のためにする管理意思がなければ事務管理は成立しない。
第697条1項、関連:第703条
推知できる本人の意思への従属義務
管理者は、本人の意思を推知することができる場合でも、客観的に本人の利益に最も適合する方法で事務を管理すれば足り、推知できる本人の意思に反する管理をしても差し支えない。
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正解 ×
誤り。管理者は、本人の意思を知っているとき、又はこれを推知することができるときは、その意思に従って事務管理をしなければならない。客観的に有利な方法でも意思に反する管理はこの義務に反し、費用の償還も本人が現に利益を受けている限度に制限される。
学習ポイント:本人の意思を知り又は推知できるときは意思が優先し、反した管理は償還も現存利益に限られる。
第697条2項、関連:第702条3項
根拠・関連条文
この条文を解説で参照する過去問
宅建平成30年 問5肢1
Aは、Bに対して、特段の事情がない限り、B宅の屋根を修理したことについて報酬を請求することができない。
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正しい
正しい。事務管理に報酬請求権はない(民法697条は費用償還のみ)。
マン管令和5年度 問16肢1
台風による強風で飛来物が衝突し202号室の窓ガラスが割れた場合には、Bは、Aから依頼を受けていなくても、割れた窓ガラスを修理することができるが、その修理作業は、最もAの利益に適合する方法によって行わなければならない。
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正しい
正しい。委任を受けなくても他人の事務を管理できるが(事務管理)、本人の利益に最も適合する方法で行わなければならない。
管業令和7年度 問1肢1
Aは、隣人Bが一週間ほど留守宅にしていることを知っていたので、B宅に届いた宅配品甲を、Bに無断で宅配業者から預かった。この場合におけるAの甲についての注意義務。
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誤り
誤り。無断で他人の宅配品を預かった場合は事務管理となり、事務の管理には善良な管理者の注意を要する。
解説で第697条を参照している問
問題で確認する
第697条の内容は2問の〇×問題と1問の条文穴埋めで確認できます。