第三編 債権/第五章 不法行為
民法 第720条(正当防衛及び緊急避難)
重要度は過去問の出題年度などをもとにした当サイトの評価です。
この条の要点
- 第三者の利益を防衛するための加害行為:免責される防衛行為には第三者の権利・利益を守る行為も含まれる。
- 急迫の危難による物の損傷と被害者の救済:他人の不法行為を避けるため第三者の物を損傷しても免責。被害者は不法行為者に請求できる。
条文原文
色付きの語句は試験で問われる重要な語句です。
第720条(正当防衛及び緊急避難)
他人の不法行為に対し、自己又は第三者の権利又は法律上保護される利益を防衛するため、やむを得ず加害行為をした者は、損害賠償の責任を負わない。ただし、被害者から不法行為をした者に対する損害賠償の請求を妨げない。
②前項の規定は、他人の物から生じた急迫の危難を避けるためその物を損傷した場合について準用する。
この条文の〇×問題(2問)
第三者の利益を防衛するための加害行為
他人の不法行為に対する防衛のためにした加害行為が損害賠償の責任を免れるのは、行為者自身の権利又は利益を守るためにされた場合に限られ、第三者を守るための防衛行為には及ばない。
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正解 ×
誤り。他人の不法行為に対する防衛のためのやむを得ない加害行為が免責されるのは、自己又は第三者の権利又は法律上保護される利益を防衛する場合である。防衛の対象は行為者自身に限定されず、第三者を守るための防衛行為にも免責が及ぶ。
学習ポイント:免責される防衛行為には第三者の権利・利益を守る行為も含まれる。
第720条1項
急迫の危難による物の損傷と被害者の救済
飼い主が相当の注意を怠ったために他人の飼い犬が暴れ出し、その危難を避けるため通行人が第三者の塀を損壊した場合、塀の所有者は通行人に賠償を請求できないが、犬の飼い主に対しては損害賠償を請求することができる。
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正解 ○
正しい。飼い主が相当の注意を怠ったため犬が暴れ出したときは、飼い主は718条1項により責任を負い、他人の不法行為にあたる。この不法行為から自己の権利を防衛するため、やむを得ず第三者の塀を損壊した通行人は720条1項本文により賠償責任を負わない。他方、同項ただし書により、塀の所有者は不法行為をした飼い主に賠償を請求できる。
学習ポイント:他人の不法行為を避けるため第三者の物を損傷しても免責。被害者は不法行為者に請求できる。
第720条1項、関連:第718条1項・第720条2項
根拠・関連条文
この条文を解説で参照する過去問
行政書士令和4年 問34肢3
野生の熊が襲ってきたので自己の身を守るために他人の宅地に飛び込み板塀を壊した者には、正当防衛が成立する。
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妥当でない
野生の熊からの逃避は『他人の不法侵害』に対する防衛ではないため正当防衛は成立しない(緊急避難の問題・民法720条2項)。
行政書士令和4年 問34肢4
路上でナイフを振り回して襲ってきた暴漢から自己の身を守るために他人の家の窓を割って逃げ込んだ者には、緊急避難が成立する。
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妥当でない
民法上の緊急避難は、他人の物から生じた急迫の危難を避けるためその物を損傷した場合に認められる(720条2項)。暴漢から逃れるため第三者の家の窓を割る本肢はこの要件に当たらず、妥当でない。
行政書士令和4年 問34肢5
路上でナイフを持った暴漢に襲われた者が自己の身を守るために他人の家の窓を割って逃げ込んだ場合、窓を壊された被害者は、窓を割った者に対して損害賠償を請求できないが、当該暴漢に対しては損害賠償を請求できる。
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妥当である
緊急避難による物の損壊でも被害者は避難した者に賠償請求できないが、侵害した暴漢には請求できる(民法720条2項但書:賠償責任を負わないが、不法侵害者への請求は可能)。妥当。
解説で第720条を参照している問
問題で確認する
第720条の内容は2問の〇×問題と1問の条文穴埋めで確認できます。